血と灰の女王(血灰)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『血と灰の女王』とは、『裏少年サンデー』で連載されるバトルホラー漫画。作者はバコハジメ。ヴァンパイアの王を目指す美少女のドミノ・サザーランドが、富士山の噴火により降った灰を浴びた佐神善や、善の親友の兄である狩野京児らとともに戦い成長していく姿を描く。初めは自分が化物であるという事実やヴァンパイア同士の殺し合いを受け入れることが出来なかった善だが、ドミノの覚悟と優しさに触れたことで「僕に守れる命があるから守りたい」と戦いに身を置くことを決意する。

『血と灰の女王』の概要

『血と灰の女王』とは、『裏少年サンデー』で2017年1月より連載開始されたバトルホラー漫画である。2018年次にくるマンガ大賞(Webマンガ部門)受賞。作者のバコハジメは、多摩美術大学在学中に『週刊少年サンデー』の「まんがカレッジ」に作品を投稿し、月例賞大賞などを受賞。翌年に同誌でデビュー作となる『ドリー・マー』の連載を開始した。

ヴァンパイアの王を目指す美少女のドミノ・サザーランドは、富士山の噴火により降った灰を浴びてヴァンパイアとなった佐神善(さがみぜん)と出会い、ヴァンパイアについて教えるとともに共闘することを約束。また、同じくヴァンパイアとなった善の親友の兄である狩野京児(かりのきょうじ)も下僕としてチームに迎え入れ、噴火前よりヴァンパイアであった真祖(しんそ)と呼ばれる王候補たちとの来るべき決戦に向けて準備を進める。

人間がヴァンパイアに殺された後の生々しい描写があることや、善が信頼する医師が敵になるといったシリアスな内容があることから、連載当初は作品に対し批判的な声も散見された。しかし、キャラクターそれぞれの生い立ちと本音が深堀りされるにつれ、そうした声は聞かれなくなった。

『血と灰の女王』のあらすじ・ストーリー

善とドミノの出会い

富士山が噴火した後の日本。高校生の佐神善(さがみぜん)は校門で猫の死体を発見する。善は死体を持って人目につかない場所へと向かうが、その道中に美少女と出会う。帰宅後、飼い猫のシロがいないことに気づいた善は、校門でのことを思い出して心配になり、廃墟まで探しに出かける。シロを発見したものの、酒と血の臭いがする不審者と遭遇。捕まえようとするも不審者は変身し、善に重症を負わせる。危機に陥った善を助けたのは、昼間に出合ったヴァンパイアの美少女、ドミノ・サザーランドだった。善は彼女から、不審者の正体は富士山の噴火による火山灰を浴びてヴァンパイア化した人間であることや、噴火は真祖(しんそ)と呼ばれるヴァンパイアの現王から直接選ばれた者同士の戦いのゴングであり、勝ち残った真祖は世界を支配できることを聞かされる。翌朝、善が登校すると校門には親友である狩野京介(かりのきょうすけ)の死体が置かれていた。呆然とする善の前に昨夜の不審者が現れ、殺害したのはこの男だと知る。夜になり、不審者から指示された場所で殺害理由を聞いた善は逆上。布を身体に纏ったようなヴァンパイアとなってパンチ一撃で不審者を撃退。「これ以上誰も死なせない」ために善はドミノに協力することを約束する。

ドミノの下僕集めと燦然党

組織立って動くヴァンパイアが現れたことで、ドミノは善の育成を事前に配下にしておいた狩野京児(かりのきょうじ)に命じる。京児は不審者に殺された京介の実兄。京児は頭脳明晰且つドミノが認めるほどのバトルセンスを誇るが、他人を見下す癖があるため、善は京児と折り合いが悪い。その善の気持ちを理解しつつ、京児はスパルタながらも善が己のステータスを理解して考えながら戦えるよう戦い方を伝授。修行終盤では、強襲してきた加納クレタ(かのうくれた)を二人で撃退し、レベルアップしながらチームワークを深めることにも成功した。一方、ドミノは組織のボスがドミノと同じ真祖である日ノ元士郎(ひのもとしろう)であることを突き止める。士郎はヴァンパイア連合の燦然党(さんぜんとう)を結成し公明正大な世を作るとしていたが、裏では民間人の大量虐殺を行うなど非道の限りを尽くしていた。善の小学校時の同級生・七原健(ななはらけん)も公明正大というスローガンに共感し燦然党に属していたが、その事実を知ったことで燦然党を離脱。弱者を救うドミノを目撃したことにより忠誠を誓い、チームドミノに加わることとなった。さらに、ドミノは士郎が政略結婚の駒として使うために捕われていた士郎の娘である日ノ元明(ひのもとあきら)を救出しチームにスカウト。ヴァンパイアとしての実践経験は少ないものの、潜在能力が高く伸びしろが大きいメンバーを揃えたチームドミノは、燦然党との戦いに備えるのであった。

ゴールデンパームとの協定

燦然党は148名のヴァンパイア集団であるが対するチームドミノは5名。数で圧倒的不利なドミノは、2カ月前に出会い、理念が近い位置にあると判断したもう一人の真祖であるユーベン・ペンバートン率いるゴールデンパームと協定を結ぶ。ゴールデンパームはユーベンが設立した穀物輸出企業であり、社員として強力なヴァンパイアが20名集まっていた。ドミノとユーベンの計らいにより、互いの親睦を深めるための御前試合や、ヴァンパイアの力を強くする創血式(そうけつしき)、真祖級の一撃を放つことが可能となるD・ナイトの取得を経てチームドミノは大幅なパワーアップに成功。真祖2人を擁し更に交流も深めたチームドミノとゴールデンパームの士気は非常に高く、拠点とする無人島に燦然党をおびき寄せて殲滅する作戦を決行する。

燦然党との死闘

作戦通り燦然党を無人島におびき寄せたチームドミノとゴールデンパームは、圧倒的優勢に戦いを進める。しかし、燦然党はドミノ対策として本土から拉致してきた大量の民間人を人質にとって無差別攻撃を行うなど、非道な戦略で再び形勢を逆転させる。この間、善はドミノの応援に向かう際に遭遇した燦然党のヴァンパイアを一撃で倒し索敵能力をコピーして取得。味方に指示を送りながら逆転のチャンスを窺う。そこで目にしたのは健と、ゴールデンパームのメンバーであるが普段は一匹狼のように行動する阿久津潤(あくつじゅん)が形勢逆転のため士郎に特攻する姿。二人の活躍により、ドミノは士郎をユーベンが待機する場所へと誘導することに成功する。本来はドミノとユーベンの二人がかりで、士郎との対決に挑む計画だったが、ユーベンは民間人を助けたいドミノの意図を汲み、士郎との1対1を選択。互角の戦いだったが、複数の燦然党ヴァンパイアが横槍に入ったことでユーベンは敗北。社長を失ったゴールデンパームの士気が急激に低下しただけでなく、士郎がユーベンの心臓を喰らったことで、真祖2体分の力を手にして完全に形勢は逆転してしまう。しかしドミノは、自身で開発した最終奥義であるRe・ベイキングを発動する。1対1の戦いに特化した姿となったドミノと士郎の戦いは互角。その戦いは凄惨を極めたもので、殺人を繰り返してきた燦然党メンバーも耐えきれずに見ただけで嘔吐してしまうほどであった。互角に戦うものの、士郎の強烈なパンチでドミノが負傷。絶体絶命の最中、遠く離れた場所から放たれた明のD・ナイトが士郎に命中し、その隙にドミノは決死のパンチを繰り出す。死闘の末にドミノが勝利し燦然党との死闘に終止符を打った。

『血と灰の女王』の登場人物・キャラクター

チームドミノ

ドミノ・サザーランド

本作の主人公。誰もが見惚れる美少女。富士山の噴火前からヴァンパイアである真祖の一人で、絶対女王制を敷くためヴァンパイアの王を目指す。真祖同士の戦いに備え、善や京児などを「下僕」と称して仲間を集めている。ヴァンパイア化した姿は、羽や触覚が生えコウモリのようである。攻撃は手から放たれる超強力な衝撃波と超音波を用いた遠隔操作がメイン。自身が考案したRe・ベイキングでは、ドラゴンを身に纏ったような形態となり、攻撃力が大幅にアップする。露悪的な態度で隠そうとしているが、実は人命救助に特化したヴァンパイアである。

佐神善(さがみぜん)

下僕2号。ドミノから「信念と決意の男」と評されている。一人称が僕で普段着はキャラクターTシャツを着るなど温厚な性格だが、真祖たちが警戒するほどの異様な雰囲気を併せ持つ。富士山の噴火による灰を浴びたことでヴァンパイアとなった。ヴァンパイア化すると、布を全身に纏ったような姿となる。能力はコピーで、倒したヴァンパイアの心臓を喰らうことで敵の能力を使うことができる。物語が進むにつれて精度が高まっており、チームドミノでもキーマン的存在になっていく。

狩野京児(かりのきょうじ)

下僕1号。ドミノから「私のNo.2に相応しい」と評されている。殺し合いとドミノと子供が好き。高いバトルセンス、容姿端麗、頭脳明晰、戦闘以外の雑事も全てソツなくこなすなどのハイスペック人材だが、普段の常軌を逸した行動のせいで敵が非常に多い。ヴァンパイア化すると、黒の鎧を纏う。能力は電撃。D・ナイトは大量の電撃が空から降り注ぐバベル。形状を自由に変えることで機動力の底上げに繋がっている。

七原健(ななはらけん)

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