シークレット・ミッション(韓国映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シークレット・ミッション』とは、2014年に日本で公開された韓国のアクション映画である。監督はチャン・チョルスで、韓国のインターネットポータルサイト「ダウム」に掲載されたウェブ漫画を原作にしている。北朝鮮の軍人であるウォン・リュファンは、秘密特殊任務のため韓国へスパイとして潜入する。しかし指令を待つうちに、北朝鮮上層部の都合で秘密特殊部隊の存在を隠蔽するため、リュファンたちに自決命令が下されてしまう。この作品は国の思惑や家族愛、コメディとシリアスが複雑に絡み合った目の離せない物語となっている。

韓国のソウルにある小さな町で、姉のユランと暮らす男子高校生。男子高校生らしく快活で調子がよく、ユランに近づく男たちに対しては常に敵対心を持っている。ユランが勤め先の上司に言い寄られた際はためらうことなく食って掛かり、むしろユランに止められてしまう程だった。スパイとして町で暮らし始めたヘジンを後輩としてかわいがっており、どこに行くにも連れまわしていた。

韓国警察の人物

ソ・スヒョク(演:キム・ソンギュン)

韓国警察の刑事で、5446秘密特殊部隊担当の責任者になる。警察上層部からは5446秘密特殊部隊のメンバーを全て始末するように言われるが、スヒョク自身はそれを何とか避けたいと奔走する。ヘジンを捕らえた後、リュファンにその身の安全を託される。しかし結局ヘジンの強い意志によりリュファンの元に行かせてしまい、ヘジンを失うこととなる。結果的に単独行動をしたスヒョクは同僚たちに取り押さえられ、韓国警察はリュファンたちを攻撃することになる。

『シークレット・ミッション』の用語

北朝鮮

北朝鮮の軍内部

正式名称は朝鮮民主主義人民共和国。国内最大の都市である平壌直轄市を首都とする、社会主義共和制国家である。軍事境界線(38度線)を挟み、朝鮮半島の南に位置する韓国と隣接している。朝鮮労働党を執権政党とする一党独占体制の国であり、その最高指導者は世襲制となっている。世界で最も抑制的な国の1つと言われ、国民は独立メディアや労働組合、政治的反対などあらゆる自由を認められていない。また、国は密かに強制収容所を運営しており、政府に害があると判断された者は拷問や強制労働を課せられているという。他国国民の拉致やテロリズム、核実験、ミサイル発射などを繰り返しているため、国際社会からも危険視されている国である。本作ではリュファンたちが所属する5446秘密特殊部隊を所持する国であり、リュファンたちは北朝鮮の発展のため敵国の韓国に潜入した。

5446秘密特殊部隊

本作で北朝鮮が所持する、特殊工作部隊。リ・ヘランの父であるリ・ヒショクが16年前に極秘裏に創設した部隊で、北朝鮮の支配党である朝鮮労働党の幹部でも知るものはほとんどいない。選ばれた者のみが幼少期から部隊に所属することができ、工学や銃などあらゆる事柄について学ぶ。部隊内部はいくつかの班によって構成されており、実力によってその班長が選出される。リュファン、ヘラン、ヘジンは全員5446秘密部隊の優秀な班長である。北朝鮮自体が韓国との関係緩和路線をとることが決まり、部隊の存在が露呈すると立場の悪くなるヒショクによって、隊員の総員自決とともに部隊の隠ぺいが決まった。

韓国

ドングたちが暮らすソウルの街並み

正式名称は大韓民国。ソウル特別市を首都とする、大統領制を採用する共和制国家である。冷戦により北朝鮮と朝鮮半島を二分して発生した国であり、1950年の朝鮮戦争以降、北朝鮮との間には小規模な軍事的対立が続いている。1980年代中期まで独裁政権であったが、1987年より民主化となった。主な産業はITや自動車、エレクトロニクス等で、サムスン電子や現代自動車など多くの大企業を抱える。しかし近年では、高齢者の貧困や高い自殺率、長い労働時間など、国の急激な経済成長による格差が問題視されるようになっている。本作ではリュファンたち北朝鮮からのスパイが潜伏する敵地として描かれるが、ソウルの町の人々はリュファンたちを温かく迎え入れる。

祖国統一

北朝鮮を主とした、「朝鮮半島の自主的な平和統一」を目指す思想のことである。この思想は冷戦で朝鮮半島が二分された当初からある思想で、北朝鮮の執権政党である朝鮮労働党や大衆団体など北朝鮮の体制を支持する団体で持たれている。本作でも北朝鮮は「祖国統一」を第一の目標に掲げ、リュファンたちを韓国に送り込む。しかしその実態は武力で韓国を制圧するため、情報収集などを目的としたスパイ任務だった。

朝鮮労働党

北朝鮮の執権政党で、最高責任者は「総書記」と呼ばれ世襲制となっている。北朝鮮内部では「労働党」「党」と呼ばれる。また、北朝鮮の憲法である「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法」には「朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮労働党の指導の下にすべての活動を行う」と明記され、朝鮮労働党は北朝鮮の行政よりも上位に位置づけられている。北朝鮮には朝鮮労働党以外にも朝鮮社会民主党と天道教青友党があるが、これらは朝鮮労働党を支持する党であるため、実質朝鮮労働党の一党独裁制となっている。北朝鮮で企業や団体の要職や公務員になるためには、朝鮮労働党の党員でなければならない。北朝鮮では朝鮮労働党がすべての決定権を持つため、本作でも北朝鮮の方針が韓国との関係緩和路線に切り替わった時点で、それに反する5446秘密特殊部隊の存在は隠ぺいされることが決まった。

『シークレット・ミッション』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

自分を犠牲にしてでも母を守りたいリュファン

リュファンから北朝鮮の母への手紙

リュファンが2年もの間愚鈍な青年を演じていた理由は、祖国である北朝鮮と母の生活を守るためであった。しかし5446秘密特殊部隊は、産卵して故郷に帰る習性を持つ鮭に例えられて「サケ」と呼ばれており、成果を残しても死ぬ運命にある。同じ北朝鮮からのスパイであるヘランはこの表現を気に入っていない様子だったが、リュファンはむしろ「母のためなら自分の命くらい差し出す」と決意を新たにする。それだけリュファンにとっては母の存在が唯一と言っていいほど大切なものなのだ。それを表すかのように、リュファンは出せない母への手紙を何枚も書き続け、心の中で母に話しかけ続けるのだった。

町の人々に触れて自分を見失うリュファン

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@kamick2014

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