ねこ、はじめました(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ねこ、はじめました』とは、2015年から少女雑誌『ちゃお』にて連載されている環方このみの漫画で、単行本の発売やボイスコミックも制作されている。交通事故に遭ってしまった主人公で男子高校生の和代尚は、たまたま近くにいた野良猫と中身が入れ替わってしまう。同じ学校に通っている野山チカに拾われニャオと名付けられた尚は、チカのペットとしての生活が始まる。猫になったからこそ知ることができた猫社会の厳しさや猫のしぐさ、人間と猫の違いなどが面白おかしく描かれている大人気コメディー作品である。

『ねこ、はじめました』の概要

『ねこ、はじめました』とは、小学館から発売されている『ちゃお』をはじめとする複数の少女漫画雑誌にて2015年から連載されている環方このみの漫画作品である。2022年までで発行部数が40万部を突破している。2020年には第65回小学館漫画賞児童向け部門を受賞。その人気ぶりから、2017年にはボイスコミックも制作された。
また、単行本は10巻まで発売されている。関連本として『ねこ、はじめました』から15話を厳選収録した別冊『ねこ、はじめました~なんでか今日もねこぐらし~』や、新作が収録された『ぎゅっとしたいの!』が発売されている。

ある日交通事故に遭ってしまった主人公で男子高校生の和代尚(かずしろなお)は、たまたま近くにいた野良猫と中身が入れ替わってしまっていた。訳が分からず歩き出した尚は、目の前にいた猫の集団から攻撃されてしまい、猫社会の厳しさを痛感する。お腹を空かせた尚は、おにぎりを分けてもらった女子高校生の野山チカ(のやまちか)が落とした生徒手帳を自宅まで届けることにする。このことがきっかけで、尚は「ニャオ」と名付けられチカのペットとして暮らし始める。
チカが学校に行っている間、元の姿に戻る方法を探すためにチカの部屋から脱走していた尚は、病院にいる自分の人間の姿を目撃する。何とか人間の自分と出会いたいと探し回っていた尚は、ひょんなことで元の姿に戻ることができた。しかし、それは一時的なものでまたもや同じ野良猫と中身が入れ替わってしまい、猫生活を続けることになるのだった。

『ねこ、はじめました』のあらすじ・ストーリー

運命が変わった瞬間

男子高校生の和代尚(かずしろなお)は、ある日交通事故に遭ってしまう。しかし尚は、事故現場に居合わせた人々の心配する声を聞きながら自分の体を乗せて走り去っていく救急車を見送っていた。搬送される自分を見送っていることや痛みもなく体が動くことに違和感を覚えた尚が目にしたのは、ガラスに映る猫の姿だった。
この状況をすっかり夢だと思い込んだ尚は、高いところから飛び降りてみたり狭い隙間を潜り抜けたりと猫になったことを満喫する。調子に乗り野良猫たちに声をかけてしまった尚は、猫たちによって滅多打ちにされてしまう。体の痛さと空腹から倒れ込んだ尚に一人の女の子が躓いてしまった。転んだ女の子が持っていたおにぎりを盗み出した尚だったが、猫ということもあり包みを開けれずにいた。
そんな尚の様子に気づいた女の子は、おにぎりの包みを開けて尚に半分おすそ分けしてやる。女の子の優しさに癒されていた尚は、女の子が落としたであろう生徒手帳を拾う。生徒手帳には野山チカ(のやまちか)と書かれており、チカが自分と同じ高校に通う女子高生だということが判明する。
翌日、チカの生徒手帳をくわえて高校に向かった尚は、なかなかチカに近づくことができずにいた。そんな時尚は、自分が意識不明になっていると話す同級生に遭遇する。人間の姿の自分の中身はどうなっているのかが気になった尚だったが、まずはチカに生徒手帳を届けることを優先した。
タイミングを見計らいながらチカの後をつけた尚は、とうとうチカが住むアパートまで来てしまった。何とか生徒手帳を玄関ポストに入れることに成功した尚は、チカがストーカー被害に遭っているのではとチカの友人が話すのを聞いてしまう。なぜか、チカをストーカーから守らなければという使命感にかられた尚がベランダに回り込み部屋を覗いていた。
タイミング悪くカーテンを開けたチカとチカの友人に見つかってしまった尚は、ストーカー扱いされてしまうのだった。

チカちゃんとの出会い

チカの生徒手帳を届けた尚は、なぜかそこでチカとチカの友人からストーカー扱いされてしまう。空腹だった自分におにぎりを分けてくれた優しいチカまでもが疑いの目を向けていることにショックを受ける尚だったが、次の瞬間チカが思いもよらない行動をとった。
チカは、目の前にいる尚を抱き上げると「私この子飼う!」と宣言した。この瞬間から尚はチカの飼い猫として生活していくことになったのだ。チカに迎え入れられた部屋は足の踏み場もないほどの散らかりようで、尚は驚く。物に躓いてしまう尚を見たチカは、幼馴染の山縣叶太(やまがたかなた)に尚を預けるとどこかに行ってしまった。
きれいに片づけられた叶太の部屋でのんびり過ごしていた尚だったが、突然叶太に抱きしめられ驚いてしまう。叶太は、目つきが悪く強面な印象の男子高校生だったからだ。しかし叶太は部類の猫好きだったのだ。無事にチカの元に返された尚は、散らかり放題だったチカの部屋がきれいに片づけられていることに感動する。チカは爪とぎや猫トイレを置けるようにと一生懸命に部屋を片付けていたのだった。

実は尚と同じ高校の同級生でもあるチカは、とにかくドジで天然な性格をしていた。尚のために買ってきたキャットフードを開けようとすれば周りに飛び散ってしまうほど豪快に開けてしまったり、何もない所で転んでみたり靴下を左右別のものを履いて登校したりと、毎日尚をハラハラさせてしまっていた。そのおかげで、猫用のトイレではなく人間用のトイレで用を済ませてしまった猫らしからぬ尚の行動を目の当たりにしても、あまり深く考えずにいたチカには尚は何度もホッと胸をなでおろすのだった。
そんな毎日の中で尚が仮病を使った際に、心配したチカが動物病院に駆け込んだことがきっかけで尚は「ニャオ」と名付けられることになる。自分のことを第一に考えて生活をしてくれるチカに感謝をしていた尚は、ドジで天然なチカの行動や言動に呆れながらもチカとの生活に幸せを感じながら猫生活を満喫していた。
チカと生活する中で、尚は高校のクラスメイトや同級生の学校生活では見えなかった一面を垣間見る機会が増えていく。このことは尚にとって人として大きく成長するきっかけとなっていくのだった。

猫は危険がいっぱい

「ニャオ」と名付けられ飼い主となったチカとの楽しい生活を送っていた尚は、ある時総合病院に入院している人間の姿の自分を見つける。人間の自分の現状を確かめることと、元の姿に戻るための手段を探すべくチカが登校している時間帯にアパートを抜け出すことを決意する。
自分でベランダの扉の鍵を開けて外に飛び出した尚だったが、走ってきた自転車や車にぶつかりそうになったり、小さな子供と鉢合わせては毛を引っ張られたりと様々な障害物を目の当たりにする。人間だった時には何とも思っていなかったことが、猫や犬にとってはとても危険なんだということを知った尚は更なる恐ろしい事実を知ることになる。
それは猫の世界だった。街中を歩いている尚は野良猫たちに襲われることが度々あったのだ。ただ近くにいる猫のそばを通り過ぎただけであっても、その猫と目が合ってしまえばたちまち喧嘩モードに突入することになる。毎回のようにボロボロにやられてしまう尚は、猫の世界には縄張りというものあることを知ってか知らずか猫の世界は危険だということを身をもって感じるのだった。そんな尚は、いつの日からか周囲の猫たちを「ネコ先輩」と呼び敬意を払うようになる。

猫世界の厳しさを身をもって体験した尚はある日、チカが知り合いから預かったマカロンという子猫と過ごすことになった。マカロンはやんちゃ盛りなのかことあるごとに尚に攻撃をしてはすばしっこく逃げ回る。子猫のパワフルさに圧倒されながらも猫としては先輩になるマカロンを「子ネコ先輩」とリスペクトすることにした尚は、マカロンが繰り広げるイタズラにひたすら耐えるのだった。

尚が人間に戻る日がやってきた

チカの留守に部屋を抜け出していた尚は、ある日偶然人間の姿の自分を見かける。事故の衝撃で記憶喪失や言葉を発しなくなったなど噂されていた人間の姿の尚は、無事退院することができていたのだ。中身が猫であろう人間の姿の自分がしっかり買い物もできていたことに驚き感心する尚だったが、時折見せる猫っぽい仕草にやはり中身は猫であると確信する。
何とか元の姿に戻れないかと、尚は人間の姿の自分に飛びかかろうとするが見事に避けられてしまう。猫の尚を避けた弾みで転んでしまった人間の姿の尚は骨折の疑いで再入院することになってしまった。

人間の自分とのコミュニケーションもとることもできないまま元に戻るチャンスが遠のいてしまった尚は、チカとの生活を満喫することにした。部屋の中のありとあらゆる狭い場所を探しては体のフィット感を試して楽しんでいた尚は、ある日チカが預かっていた子猫のマカロンが鏡の前の自分に驚く姿を目の当たりにする。猫は鏡に映る姿が自分だとわかっていないことを知った尚は、人間の自分の中にいる猫が自分自身が猫であったと気づいていないのではと考える。

元の姿に戻る方法も分からないまま人間の姿の自分を探す尚は、唐揚げ・コロッケの匂いにつられて公園に向かった。なんとそこにはコロッケを食べようとする人間の姿の自分がいたのだ。コロッケめがけて尚が飛びついた瞬間、人間の姿の自分と一緒に転んでしまった。気が付いた尚は人間の姿に戻っていることに驚く。突然のことに戸惑う尚だったが、手元にあった唐揚げとコロッケをペロッと平らげると、チカのペットになっているニャオのことを思い出し探し始める。
部屋からいなくなっていたニャオを探していたチカと出くわした尚は、チカとともにニャオを探す。無事見つけたニャオを捕まえようとした尚の顔にニャオが飛びついてきた次の瞬間、再び尚とニャオは入れ替わってしまった。猫の姿に戻ってしまった尚は、チカと一緒にチカのアパートに帰るしかなった。

尚の脱走を心配したチカに首輪やハーネスをつけられることになった尚は、部屋から脱走していたことがチカにバレてしまったことからしばらく外出できずにいた。そんな時人間の姿に戻った際にコロッケの味を噛みしめていた尚は、事故に遭った時にもコロッケパンを食べていたことを思い出す。コロッケが中身の入れ替わりに関係しているのではと考える尚だったが、元の姿に戻るためのヒントが全く分からないままチカとの猫生活はまだまだ続くのだった。

『ねこ、はじめました』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

和代 尚(かずしろ なお)/ニャオ

CV:内田雄馬
1999年11月生まれの男子高校生で、1年2組に所属しているこの物語の主人公である。注意されるよりも褒められた方が伸びるタイプ。考えていることが顔に出やすい。『週刊少年サムデー』という漫画雑誌を愛読中。幼少期に「クマーマン」と名付けてクマのぬいぐるみを可愛がっていた。傘に「俺」と大きく書いていたことから、チカからは「傘太郎」と呼ばれていた。
交通事故に遭い、猫と入れ替わってしまう。同じ高校に通う野山チカに拾われてからは「ニャオ」と名付けられて猫生活を送っている。人間の3歳くらいの知能がある、自称紳士であることから、チカの着替えや入浴を覗くことはしていない。チカが買ってきたネズミのぬいぐるみがクマーマンに似ていたことから、手荒なことはできずに一緒に寝たりしている。

野山 チカ(のやま ちか)

CV:井上遥乃
1999年6月17日生まれで、和代尚と同じ高校に通っている女子高生。母親から「人生の修業」と言われ一人暮らしをしている。カフェでアルバイトをしている。とにかくドジで天然系である。リボンをたくさん持っているのだが片づけが苦手で、時々ニャオが荷崩れの被害に遭っている。
尚が人間の頃から実はニャオのことを見かけていて知っていた。そのため、尚がニャオの中身と入れ替わってしまった後に出会った際に運命を感じてニャオをペットにすることに決める。人間の頃の尚が自分の傘に「俺」と書き込んでいたことから、尚のことを「傘太郎」と呼んでいる。

チカの知人

園田 朱未(そのだ あけみ)

CV:香坂さき
チカとは同じ高校の同級生で友達。クールな性格をしていて勘が鋭い、手先が器用な女の子。ホイップクリームたっぷりの飲み物が大好き。猫が苦手と宣言しながらも、チカの部屋に遊びに行くたびにニャオのことを気にかけている。ニャオが様々な表情を見せても無反応。

たまき

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