熱帯魚は雪に焦がれる(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『熱帯魚は雪に焦がれる』とは萩埜まことによる日本の漫画である。『電撃マオウ』(KADOKAWA)にて2017年8月号から2021年5月号まで連載された作品。
東京から田舎に引っ越してきた高校1年生の天野小夏が、同じ高校の先輩・帆波小雪と高校の水族館部を通じて出会うところから物語は始まる。孤独を抱える2人の女子高生が、学校生活を共に過ごすことで徐々に惹かれあっていくガールズシップ・ストーリーである。
小夏の父が内緒で帰ってくるときに「サプラーイズ!」と言って小夏を驚かせる。毎回サプライズで帰ってくるので、小夏父の登場シーンはサプライズから始まることが多い。小雪にも真似されるくらい周囲にも浸透している。
ジョージ
水族館部にいるサメで、小雪の相談相手でもある。夜の一般公開日に、観客の期待に応え、輪くぐりできるくらい賢い。1巻でペリカンに餌の魚を取られている。
リク
水族館部にいるケヅメリクガメ。学校外を散歩させるのが日課で、周囲の住民たちからも受け入れられている。手綱なしでも小雪の後を付いてくる。
『熱帯魚は雪に焦がれる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
帆波小雪「サンショウウオお好きなんですか?」
小夏と小雪が出会う最初のシーン。見知らぬ土地に引っ越してきて不安を抱えている小夏が訪れたのは、水族館部の一般公開だった。突然小雪に「サンショウウオお好きなんですか?」と話しかけられ戸惑う小夏だったが、笑顔で話しかけてくる小雪に興味を持つ。小夏が水族館部に入るきっかけとなる大事なセリフである。
天野小夏「我慢しなくていいのに…」
小雪が砂浜でジョージの餌をとっているとき、ペリカンに餌を奪われてしまう。必死に追いかける小雪だったが追いつけずに転んでしまい、それを小夏に見られてしまう。小雪普段人にダメな部分を見せないようにしていたため、小夏に心配されてもつい「大丈夫だから」と答えてしまった。その様子を見た小夏は、父に寂しさを隠して笑う自分を重ねてしまい「我慢しなくていいのに…」と小雪に言った。この一言で優等生を演じていた小雪が、小夏の前では演じる必要がないことに気づく。このやりとりで小夏は小雪に対する興味がさらに増していった。
広瀬楓「あたしは今の先輩のほうが好きですよ!!」
小夏と仲良くなった楓は、水族館部とも親交が深まり小雪とも気軽に会話できる仲になった。素の自分を見せることが怖いと感じている小雪だが、周囲からは小夏と出会って小雪は少し変わったように見えるという。楓に「前の完璧な先輩」から「面白く話しかけやすい先輩」に変わったと言われるが、小雪はそれが良いことなのか悩んでいた。そんな小雪に楓は「あたしは今の先輩のほうが好きですよ!!」と伝える。素の自分に自信の持てない小雪が、この言葉に勇気をもらうところが印象的である。
帆波冬樹「姉ちゃんも周りのこととか気にすんなよ」
一般公開の日に思わず出た素の自分を周囲の人に見られてしまい、逃げ出してしまった小雪。偶然その現場に居合わせた冬樹は、展示を見ている最中に小雪と再会する。なんて声をかければいいか迷っていると、冬樹の友人が小雪に、冬樹も母親と一緒に来ていたのを恥ずかしがって自分たちと回っているとバラしてしまう。恥ずかしさで咄嗟に「言うなや!」と声を荒らげる冬樹だったが、自分も小雪のように人目を気にしていたことに気が付いた。冬樹は母と一緒に帰ると言い、小雪に「姉ちゃんも周りのこととか気にすんなよ」と声をかけた。姉を思う冬樹の優しさが伝わるセリフである。
『熱帯魚は雪に焦がれる』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
水族館部のモデル
作者・萩埜まことが小学三年生の時に初めて描いた漫画が水族館もので、その作品が忘れられず『熱帯魚は雪に焦がれる』が出来上がった。水族館の仕事を題材にすると主人公の年齢が上がってしまうため部活で調べてみたところ、実際に愛媛県立長浜高校に水族館部があることを知る。作者も愛媛出身で運命を感じたので部活をテーマに描くことを決めたという。取材に行くまでは水槽展示程度のものだろうと思っていたが、水族館部だけでなく、学校全体で運営するほど力を入れている部活であった。作者が取材に訪れた時は、カフェやブラスバンドの演奏など大盛況だったという。部員や顧問の先生たちの水族館部にかける熱量にも圧倒されたと語る。
自販機のミラクル
『熱帯魚は雪に焦がれる』では実際の風景を元に描かれることが多く、1巻2話に登場した「小夏がアイスを買った場所」と3巻10話で「小雪が飲み物を買おうとするシーン」は同じ場所だった。しかし1巻のシーンを描いたときに設定資料の写真を見たが自販機が設置されておらず、作者も「そこまで厳密に再現しなくても」と、オリジナルで自販機を描こうとしていた。念のため、そのシーンを描く前に自販機の設置場所をグーグルマップで確認したという。すると1年半前にはなかった自販機が、作者の欲しいと思っていたところに設置されるというミラクルが起った。そのおかげで心置きなく描けたとインタビューで語っていた。
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目次 - Contents
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』の概要
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』のあらすじ・ストーリー
- 小夏と小雪の出会い
- 小夏と小雪、それぞれの想い
- 隠してきた本音をぶつけ合う小夏と小雪
- 別々の道を選んだ小夏と小雪
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 天野小夏(あまの こなつ)
- 帆波小雪(ほなみ こゆき)
- 広瀬楓(ひろせ かえで)
- 帆波家
- 帆波冬樹(ほなみ ふゆき)
- 帆波先生
- 天野家
- 小夏の父
- 友人
- 山岸
- 近藤
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』の用語
- サンショウウオとカエル
- 七浜高校
- ハマチショー
- サプライズ
- ジョージ
- リク
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 帆波小雪「サンショウウオお好きなんですか?」
- 天野小夏「我慢しなくていいのに…」
- 広瀬楓「あたしは今の先輩のほうが好きですよ!!」
- 帆波冬樹「姉ちゃんも周りのこととか気にすんなよ」
- 『熱帯魚は雪に焦がれる』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 水族館部のモデル
- 自販機のミラクル
- 作者のこだわり