アフロ田中(高校・中退・上京・さすらい・しあわせ・結婚・マイホーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『アフロ田中シリーズ』とは、2001年よりのりつけ雅春が『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載を開始した青春ギャグ漫画。主人公である田中広(たなかひろし)は天然のアフロヘアーという特徴を持った平凡な中身の青年。そんな彼の成長に応じて、『高校アフロ田中』、『中退アフロ田中』、『上京アフロ田中』、『さすらいアフロ田中』、『しあわせアフロ田中』、『結婚アフロ田中』、『マイホームアフロ田中』とタイトルを変更しながらシリーズ化されている。2012年に実写映画化、2019年にテレビドラマ化された。
『アフロ田中』の概要
『アフロ田中シリーズ』とは、2001年からのりつけ雅春が『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載を開始した青春ギャグ漫画。本作の主人公である田中広(たなかひろし)は、天然パーマのアフロヘアーという外見をした平凡な青年である。異性への尽きない興味と衝動を抱えながら、仲間たちとバカ騒ぎをする。下ネタが満載で少々下品な表現もあるが、男性が持つ特有の空気感を感じることができる作品。人間あるあるネタも多く、特に青年男性にとっては共感できるポイントが多いとして話題になっている。
田中の成長に応じて、第1作である『高校アフロ田中』から始まり、『中退アフロ田中』、『上京アフロ田中』、『さすらいアフロ田中』、『しあわせアフロ田中』、『結婚アフロ田中』、『マイホームアフロ田中』とタイトルを変更しながらシリーズ化されている。このうち、『高校アフロ田中』から『結婚アフロ田中』までは全10巻ずつの構成となっており、『マイホームアフロ田中』は2022年10月より連載が始まった。
本シリーズの特徴としては、全編を通してタイムリーに田中を追っていくことである。メインのストーリーは田中の日常であり、各シリーズごとに人生の分岐点としての出来事が起こる。恋の悩み、青春の悩み、仕事の悩みなどの苦悩が描かれながら成長を追っていくヒューマンドラマである。また、男性から見た女性像が厳格に表現されており、ギャグ漫画にもかかわらずリアルな人間描写に長けている。
2012年に『アフロ田中』のタイトルで監督・松井大悟、主演・松田翔太で映画化が実現。興行収入1.8億円を記録する人気映画となった。2019年にはテレビドラマ化も実現し、監督を石田雄介、主演を賀来賢人が務めている。
『アフロ田中』のあらすじ・ストーリー
『高校アフロ田中』
『アフロ田中』シリーズ第一弾。
ある朝、学校に行こうとした立華高校1年生の岡本一(おかもとはじめ)は、学生服のアフロが岡本の自転車のカギを壊そうとしているところに出くわす。カギを壊し終え、自転車を走らせるアフロだが、ギアが故障していたため坂の上で止まってしまう。追いついた岡本はアフロを撃破。ところがそのアフロは、その日付けで岡本のクラスに転校してきた田中という男だった。岡本が意外に強かったことを羨み、ボクシング部に入部しようとついていく。先輩の仕掛けた入部テストをクリアした田中は、ボクシング部としてドキドキの高校生活を開始させた。というところからアフロ田中の物語は始まる。女性に対しての興味が強いのだが全くモテず、惰性な高校生活を送る。高校生ということでまだまだ心が幼い青年アフロ田中は、思春期独特の悩みである童貞卒業を夢見て本気で様々な困難に切り込んでいく。
高校1年生は、少し大人になったような気分になるが、まだまだ子供だ。田中はアフロヘアーのせいか、実年齢よりも老けて見えるため、外見の高校生らしさは薄め。しかし言動は完全に中学生を通り越し、小学生に近い。女性と交際をしたいという衝動からくる下ネタや、将来はお金持ちになりたい、楽して暮らしたい欲求からくるトラブルなどで笑わせてくれる高校生男子特有の空気感がある。
物語中盤からは田中や仲間たちの恋模様などがストーリーの中心に高校生らしい甘酸っぱさに満ちていく。田中は考えすぎな性格のために空回りする場面が多いが、楽天的な彼は精神的なダメージを感じない。
『中退アフロ田中』
高校をサボり続けていた田中は、学校の先生から学生を続けるかやめるかと問われ、中退を選んでしまった。学校を中退したことで、時間を持て余した田中であるが、月日が経っても何もせず、家の周りを散歩するか、テレビを見てゴロゴロしているだけの自堕落な息子に母はため息ばかりついている。
とうとう母に「これから毎月3万円入れなければ、この家を追い出す」と言われ、仕方なく肉体労働に就くも1か月で退職。
手元に残った給料18万円の使い道をあれこれ考えた結果、なぜか15万円のプレハブハウスを買うことにした。
不思議な状況ではあるが、田中は実家の庭で独立をすることに成功した。
社会人として少しずつではあるが、成長を見せていく。
『上京アフロ田中』
埼玉の実家に暮らしながら、トラックの運転手をしていた田中。だが、勤め先の社長の「東京へ行け」の一言で事実上の解雇では、と思いつつも田中は20歳で単身上京することになってしまう。 アテンドされた仕事は東京の地下深くでトンネルを掘る土木作業員。きっちり8時間の肉体労働、疲れた体は銭湯で癒す、そんな田中の東京ライフは健全かと思いきや、様々なトラブルに巻き込まれていくことになる。
初めての寮での共同生活で慣れない部分が多く様々なストレスを抱えていく。意を決した田中は一人暮らしを決断する。社会をまだまだ知らない田中は、東京の家賃事情や賃貸物件を借りる際の敷金・礼金を知らず、最初こそ打ちのめされるが、無事にボロアパートへの引っ越しに成功した。そんな中で隣人のキャバクラ嬢に因縁をつけられたり、地元の友人たちとの考え方の違いを感じながら、ゆっくりと大人になっていくのである。お金の余裕ができてきて、人生初のストレートパーマにしたり、金髪にしたり、初合コンに参加したり着々と大人の階段を登っていく田中である。そして田中の恋にも新たな展開が訪れる。好意のある男性にムスッとした態度を取ってしまうツンデレで不器用な女子マキとの果実のような甘酸っぱい恋愛模様も描かれている。
『さすらいアフロ田中』
無事にマキと恋人同士に。千葉県でトンネルを掘る仕事をし、順風満帆な生活を送っていた23歳の青年田中である。
そんな中でオーストラリアに語学留学に行っているマキに会いに、単身海を渡ることになった。彼女には一切連絡をせず、完全なるサプライズでの突撃。空港まで田中を送っていった同僚たちは、彼の不穏な未来を想像してしまう。初の海外で英語ばかりの看板に動揺を走らせる田中であったが、なんとか満身創痍でマキの住むアパートにたどり着く。彼女の住んでいるアパートのエレベーターに乗り込もうとしたとき、熱烈なキスを交わすカップルの姿を目撃する。なんとそのカップルの女性はマキであった。これにて、不遇ながら2人の関係は終焉を迎えてしまう。 付き合っていた彼女の浮気現場に出くわし、大失恋を喫したせいか、どうも毎日がすっきりしない。人生初の「トラウマ」がアフロ頭につきまとう。
「人生をリセットしよう。嫌なことを全部忘れるために、旅に出かけよう。」と考えた青年田中は、自分探しの「さすらい」の旅に出ようと動き出す。」
北海道から沖縄までのバイク旅を計画することになった田中。一人で旅をする気満々であったが、紆余曲折があり友人の村田大介(むらただいすけ)も付いていくことになる。道に迷ったり、旅の途中で一文無しになったりと苦労をしながら旅をするが遂に沖縄に到着。そして出会うべくして出会ってしまった1泊1500円の激安ゲストハウス「月見荘」(つきみそう)で泣けなしの貯金を崩して過ごすことに。地元へ帰るお金も、月見荘へ宿泊するお金もないので路上詩人という胡散臭い職業でお金を稼ごうとする。しかし、路上詩人で収入を得ることができず、最終的には自身が長らく愛用したバイクを売ることで得たお金で無事に旅から帰ることに成功する。尚、村田は引き続き沖縄へ滞在を続けることになる。
そして失恋を癒すのは新たな恋。無事に旅から帰ることに成功した田中は、旭工務店(あさひこうむてん)の正社員になり、また元の職場で働き始める。田中の誕生日ということもあり早速職場の人たちは合コンを計画してくれる。そこで漫画家志望の女性ナナコと知り合う。眼鏡で地味な、彼の周りにはいなかったタイプ。10点でも0点でもない通称「7の女」、なんとナナコのほうからアプローチをしてくるという驚きの状況になる。田中もまんざらでもなく新しい恋にのめり込んでいく。 無事に交際も成功して仕事も恋も順調な田中であったが、時折「漫画家になる」という目標を持つナナコと、なんの目標も持たない自分とを比べてしまい、自分の人生について考え込んでしまう。そんな中、田中たちの次の仕事現場が決まるが、なんとそこは遠い異国の地フィリピンだった。
『しあわせアフロ田中』
28歳になった田中。高校時代からの友人村田に誘われ、ゲストハウスのオーナーになることを決意する。そんな田中の新天地は神奈川県の三崎。港が有名な街である。ゲストハウスの周囲は海が見える高台で、老人が多く住む少々寂しい地域。しかし、目標を得た田中の瞳は輝いていた。田中は以前の仕事先である旭工務店を辞め、マグロ加工会社に勤務をする。慣れない重労働と人間関係に苦戦し、人間は働きすぎだと嘆きながらお金を稼ぎ、築100年の古民家を改築しようと奮闘していく。学生時代には耐えることを知らなかった田中、世の中に嘆きを効かせながらも必死に働いていく。ゲストハウスの建設は、東京オリンピック開催までにという少々ゆるい期限。ナナコも夢を追っている状態でなかなか会えない日々が続くも、田中は新しくできた「ゲストハウス経営」という目標に向かっていく。そしてついに 1年かかったゲストハウスが完成。CEOである村田の名スピーチも終わり、泥酔して眠りにつくとなんとゲストハウスが大火事になってしまう。すべてを失った田中と村田はそれぞれの道を歩むことになる。自身のしあわせの資金調達のために、再度旭工務店に就職を果たす。さらにナナコの猛プッシュにより同棲生活を開始。高校生だった田中が、仕事をはじめ、彼女ができ、同棲を開始した。そしてナナコとの交際も6年が経過しようとしていた。
『結婚アフロ田中』
付き合い始めて6年、同棲を始めて1年になる二人であるが、排泄物の処理をいやな顔せずにしてくれた恋人のナナコを見て田中はプロポーズすることを決意する。プロポーズは無事に成功して夫婦としての新しいい生活を開始する。ナナコのすべてを受け入れ、夫婦としてやっていこうとやる気満々の田中だが、田中の「すべてをさらけ出してほしい」という言葉に、ナナコも怒っていいやら恥ずかしいやらで、振り回されてしまう。相手の両親にあいさつをしに、山田家を訪れた田中。反対されることもなく、結婚の報告を済ませる。ナナコへ贈った指輪が高額だったことで自己満足に浸るが、彼には新たに「結婚式の費用」が立ちふさがることになる。あまりの出費に結婚式を挙げることを渋る田中だが、彼女の言葉巧みな誘導により、結婚式を開催することに。準備に悪戦苦闘する田中の友人知人たちにも、それぞれ出会いや別れがあり、少しずつ変化していくのであった。
『マイホームアフロ田中』
ナナコと結婚し娘を授かった田中は、幸せに暮らしていた。そこに、ナナコから家を購入しないかとの話を持ちかけられる。お金が無く、だからといってローンは絶対に利用したくない田中は、新たに「マイホーム問題」に直面することになる。
『アフロ田中』の登場人物・キャラクター
主要人物
立華高校ボクシングに在籍している5人組。
田中広(たなかひろし/演:松田翔太)
本作の主人公。天然パーマのアフロヘアが特徴で、世の中に文句が溢れているひねくれた男である。本作のタイトルにもなっている「アフロ田中」とは、彼のことを指す。日本男児としての誇りを持っており様々な方面で謎の男気を発動する。突然感情のギアがフルスロットルになることがあり周りを巻き込んだ事件を起こすことが多い。高校生時代から変に冷めている部分があり、周りからは変人扱いを受けていた。
高校を中退してからは、アルバイト生活とニートのを繰り返した。その結果母親に生活費と家賃を要求されたため、実家の庭に一人暮らし用のプレハブを置き、一人暮らしを始める。尚、家事や食事に関しては実家頼みで母に失望されていた。『中退アフロ田中』で、運送業者加山運輸に就職したが、東京へ行くことを促され実質解雇を宣告される。地元の埼玉から東京に上京をし旭工務店の契約社員になる。社員寮に住んでいたが、自由な生(性)活ができないことに嫌気が差し寮の向かいのアパートにて一人暮らしを始める。『さすらいアフロ田中』では千葉の現場になったため東京のアパートを引き払い寮生活に戻る。シリーズ中盤で一度旭工務店を退職し親友の村田とバイクで日本一周の旅にでる。最終的に沖縄へ辿り着いたが、お金が尽きてバイクを売り千葉へ戻り旭工務店に復帰し正社員になる。
岡本一(おかもとはじめ/演:田中圭)
目次 - Contents
- 『アフロ田中』の概要
- 『アフロ田中』のあらすじ・ストーリー
- 『高校アフロ田中』
- 『中退アフロ田中』
- 『上京アフロ田中』
- 『さすらいアフロ田中』
- 『しあわせアフロ田中』
- 『結婚アフロ田中』
- 『マイホームアフロ田中』
- 『アフロ田中』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 田中広(たなかひろし/演:松田翔太)
- 岡本一(おかもとはじめ/演:田中圭)
- 村田大介(むらた だいすけ/演:遠藤要)
- 大沢みきお(おおさわ みきお/演:堤下敦)
- 井上真也(いのうえ しんや/演:駒木根隆介)
- 『アフロ田中』の用語
- 立華高校
- 旭工務店
- さすらい
- 火事場のミーム
- 『アフロ田中』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 『アフロ田中』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 立華町は埼玉県加須市がモデル
- 小規模スケールでの公開ながら大成功を収めた劇場版『アフロ田中』
- 作者の実体験が散りばめられた本作
- 『アフロ田中』の主題歌・挿入歌
- 映画版
- 主題歌:鶴「夜を越えて」