だから私はメイクする(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『だから私はメイクする』とは、シバタヒカリによる日本のヤングレディース漫画。原案は、劇団雌猫によるエッセイ集『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』。『FEEL YOUNG』2019年8月号より2021年4月号まで連載された。メイクが好きすぎてあだ名が「マリー・アントワネット」の女、推しのためにセルフネイルに励む女、自分のしたいおしゃれと周囲の目で板挟みになっている女など、メイクを通して現代の戦う女性を描いたオムニバスストーリー。2020年にテレビドラマ化もされている。
『だから私はメイクする』の概要
『だから私はメイクする』とは『FEEL YOUNG』(祥伝社)2019年8月号より2021年4月号まで連載された、シバタヒカリによる日本のヤングレディース漫画。原案は、劇団雌猫によるエッセイ集『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』。2020年10月にテレビ東京系「ドラマパラビ」で全6話でテレビドラマ化されている。主演は神崎恵で、志田彩良、吉田朱里、島崎遥香などが出演している。
凄腕のBA(ビューティーアドバイザー/美容部員)の熊谷すみれを主軸に、メイクが好きすぎてあだ名が「マリー・アントワネット」の女、推しのためにセルフネイルに励む女、自分のしたいおしゃれと周囲の目で板挟みになっている女など、メイクを通して現代の戦う女性を描いたオムニバスストーリー。
『だから私はメイクする』のあらすじ・ストーリー
あだ名がマリーアントワネットの女
BLオタクで地味顔の錦織笑子(にしきおりえみこ)は、高校時代、クラスメイトに興味本位でメイクの話を聞いてみた。するとクラスメイトはアイプチ等を使って笑子に化粧を施し、自分の顔が激変したことに衝撃を受ける。すっかりメイクの虜になった笑子は友人の心配をよそに、メイク道を大爆進。大学生となって久々に友人は笑子と再会するが、笑子のバッチリメイクのあまりの変化に驚愕する。
大学では、気合の入った濃いメイクからついたあだ名が「マリー様」(マリー・アントワネット)だと言う。また、すっぴんとメイク後の顔があまりに違うため彼氏から振られるが、笑子自身はそこまで変われる自分に喜びを感じていた。
月日は流れ30歳になった笑子は、婚活に勤しむ日々を送っていた。メイクが不評で落ち込む笑子だったが、祥伝(しょうでん)デパートに凄腕BAがいると聞き、立ち寄ることに。そこには熊谷(くまがい)すみれという美しいBAがいて、「自分がしたいメイクばっかじゃダメなんですかね」と相談する。すると熊谷は「どんな理由でメイクするかに関わらず、自分のことを好きになれることが大事だと思います」と返した。高校時代にメイクで感動した自分を思い出した笑子は元気になり、再びメイク道を爆進するのだった。
推しネイルを始めた女
少女漫画家の川松奏子(かわまつそうこ)は、大好きな五人組男性アイドルグループがいるおり、グループの推しネイルを始めようと決心する。しかしセルフネイルを始めて2週間、思うようにネイルがうまくいかず落ち込んでしまう。
ある日、出版社で雑誌の企画のためにやってきた熊谷とエレベーターで偶然出会う。思わず失敗したネイルを隠してしまうが、熊谷はそれを素敵な色だと褒めた。奏子が応援しているアイドルグループの色だと言うと、熊谷は「いつでも自分の好きが目に入るのって、楽しいですよね」と笑った。奏子はセルフネイルが上手くいかないと相談すると、かつては自分もそうだったと熊谷は言った。しかし、お客様にネイルの色を褒められ、会話が弾んで嬉しくなり、ネイルをするのが楽しくなったと言う。奏子は「反省さえも糧にして、私の大好きを描こう!」と決意してセルフネイルを再開。
漫画の原稿も終わり、出版社に赴くと気になっていた男性社員、中村(なかむら)とバッタリ会う。中村はイキイキとしている奏子を見て、雰囲気が変わったと照れるように言った。それを見た担当編集者の竹(たけ)は、奏子と中村をくっつけるために飲み会のセッティングをしようと提案する。普段なら断っていた奏子だが、応援してくれる推しネイルを見て、「お願いしてみようかしら」と返すのだった。
周りの添削行為にうんざりする女
転職したばかりのOL亀山(かめやま)は、笑子と奏子のオタク仲間でファッションやメイクが大好き。しかしオシャレをして出勤すると、会社の男性達から髪型やメイク、ファッションを干渉されうんざり。翌日シンプルな格好で出社すると男性たちは、今日はフツーだねとかやっぱり化粧は薄い方がいい等再び干渉してくる。それに亀山は再び苛立ちを募らせた。終業後、亀山がオフィスを出ようとすると、偶然年上同期の吉成(よしなり)と一緒になる。たまたま同じ駅で降りた亀山と吉成は駅前のトイレで別れた。亀山はメイク直ししようと一旦トイレへと戻り出てくると、そこにはバッチリメイクにオシャレなファッションに着替えた美しい吉成の姿があった。驚く亀山だったが、お互い祥伝デパートのコスメ売り場が目的だったため一緒に向かうことに。そこには熊谷がおり、一緒にタッチアップすることとなった。タッチアップ中、吉成は亀山になぜこんな格好するか聞かないのかと驚きながら聞く。それに対し亀山は「ファッションて自己表現の手段だと思ってるので、私は吉成さん自身の話を聞きたいと思っています!」と答え、吉成は嬉しくなる。熊谷が会社で好きなことを出来ないのは辛くないかと聞くと、吉成は自分にとっては怒っていないことが一番大事で、こんなドキドキを「ちくしょー!」だなんて思っていたくないじゃないですか。と答えた。それを聞いた亀山は、私も大好きなものを前に、いつも笑っていたいと心から思うのだった。それから亀山と吉成は、会社では地味な格好をして、終業後自分の好きなファッションやメイクで着飾って二人で出かけるのが日課となった。
ワーク・ビューティー・バランスメソッドを持つ女
敏腕OL北郷兎咲(きたごううさ)はロボットアニメオタク。取引先と午前過ぎまで飲み会、翌朝7時出勤に関わらず、スーツにシワ一つなく肌もツヤツヤで、プレゼンまで完璧にこなす敏腕社員だ。
後輩の岡田がどうやって美と仕事を完璧に両立しているのか聞くと、北郷はそれを「ワーク・ビューティー・バランスメソッド」と名乗り、まず一つ目は「金」と答えた。
まだ仕事を始めたばかりでボロボロだった頃の北郷は、高校時代の友人熊谷のコスメ売り場を訪れ、熊谷から高級な化粧品を提案された。その値段に躊躇する北郷だったが、熊谷は「どんな方法でも笑っていられればいんだと思う。頼っちゃおうよ!」と言った。自分のために罪悪感なくお金を使っていいことに気づいた北郷は、栄養ドリンクや足をすっきりさせるシート、むくみを取るマッサージ家電やパックなどを使い、時間を有効活用することに。また、自分の力を一番発揮させてくれるメイクやネイル、ファッションという装甲をまとい、戦う体を作り上げることも大事だと熊谷は言った。しかし今後服装規程が厳しくなる北郷の会社。北郷はスーツの下に仕立てのいいスケベな下着を身に着けるなど、見えないところで楽しむ工夫も忘れないことが大事だと言った。
そして北郷には誰にも内緒にしている最後の「ワーク・ビューティー・バランスメソッド」がある。仕事終わり昔の男性の友人を居酒屋へ呼び出し、セックスしないかと打診した。肌がツヤツヤとなった北郷は社内コンペでも優勝し、自分に遠慮なく生きる道を突き進んでいくのだった。
謙遜してしまう女
月野輪子(つきのりんこ)は公民館で水彩画教室の先生を務めている。友人の熊谷から打診を受け、ドバイの美容サロンで働くことになった。ドバイの美容サロンではフェイシャル、ヘアケア、ネイル、ワックス脱毛も扱っている。ドバイでは宗教上の理由から全身を布で覆った女性達が来店するが、布を取ると皆美しくゴージャスで、美を楽しんでいた。またネイルでは自分の顔を描いてもらうなど、自分自身を愛しており、輪子は少し戸惑う。
ある日、輪子が買い物をしていると、見知らぬ女性に身につけていたアクセサリーを褒められるが、そんなことはない、ただの安物だと返してしまう。お気に入りの物のはずだったのに謙遜してしまう自分に恥ずかしくなり、自分を変えようと決意する。そして自分の通う美容サロンを訪れ、全ての施術をお願いする。頭の先からつま先まで美しくなった輪子は、自分を愛する大切さを知り、自信を取り戻す。
「私なんか」と自信が持てない女
祥伝デパートで働く凄腕で美しいBAの熊谷。しかし6年前までは猫背で地味な女性だった。コスメの世界に憧れていたが自信がなく、祥伝デパートでも後方業務を希望したが、人手不足でコスメカウンターに配属される。「私なんか」というスタンスで、薄いメイクで野暮ったい熊谷。指導員の猫田(ねこた)にメイクを施され、「私なんかで思考停止して目曇らせんな!」と笑う猫田に少しずつ自信をつけていく。
それから美しい立ち姿にメイクや髪型をバッチリ決め、自信に満ちた姿で仕事をし、いつしか凄腕BAと噂されるようになった。
月日は経ち祥伝デパートが閉店することとなった。営業最終日、指導員の猫田だけでなく、熊谷によって変わった多くのお客様達が訪れる。転職先は引く手あまたの状態だったが、熊谷はそれを全て断って国家資格を取得し、新たな道へと進んでいくのだった。
推しのためにイメチェンする女
女性アイドルグループ、ギルティメルティーのまほ(通称まほきゅん)の大ファンの珠緒(たまお)。珠緒は普段男にモテることを目的としてメイクをしていた。とある合コンで女性アイドルファンであることを小馬鹿にされた珠緒。そんな中ギルティメルティーの好きな所を聞いてくれる男性が一人おり、後に付き合うことになる。
ある日のギルティメルティーの握手会で珠緒はまほに「可愛いねっ」と褒められる。そして珠緒は男ウケのファッションやメイクから、まほのためのファッションやメイクにシフトチェンジする。ライブを全力で楽しめる為に崩れにくいファンデにしたり、まほの憧れの中性的な格好の為に髪もショートにし、ファッションもカジュアルになった。彼氏に男ウケする格好じゃなくてごめんと謝るが、彼氏は珠緒が楽しいならそれでいいと笑った。
そしてまほに会うたびコスメをプレゼントして喜ばれるが、数ヶ月後まほは突然アイドルを卒業してしまうのだった。
それから時は経ち、珠緒は新しい推しを見つけ、仲間と推し活を楽しんでいた。自分の好きなスタイルで推し活に励む珠緒。まほと出会ったおかげで世界で一番オシャレを楽しんでいると思う珠緒だった。
アイドルとして自信が持てない女
アイドルに憧れ17歳でその世界に飛び込んだ播堂真帆(ばんどうまほ)。ギルティメルティーというアイドルグループで通称まほきゅんとなった真帆は半年が経ち、自信の持ち方がわからなくなっていた。ある日、メイクが上手くできずに悩んでいると、グループの子からオススメのコスメカウンターを紹介される。
そこへ向かうと真帆の前にBAの猫田が現れた。「メイクをしてどんな気持ちになりたいかお聞きしていいですか?」と猫田が尋ねると、「大丈夫って思えるようになりたいんです…でもどうしたらなれるのか…」と真帆は言い、「皆どうやって正解を見つけていくんだろう…」と続けた。すると猫田は「正解なんてないですよ!どうありたいかがあるだけで、だからここにあるものは全部お客様の願いを叶える可能性がある!その中から素直な気持ちに従って選んだものは、きっとお客様の大丈夫を作ってくれますよ!」と言った。それから真帆は少しずつ自信を持ち、自分と向き合えるようになるのだった。
それから数年経って24歳となった真帆は、アイドルを辞め、ブランドの企画デザイン部で慌ただしい毎日を送っていた。自分と向き合い、自分のやりたいことを見つけたのだ。
ロリータ服を着続ける女
天馬翔子(てんましょうこ)はロリータ服好きのOL、30歳。大学生の妹と二人暮らしをしている。ある日、ネットショップで購入したロリータ服が似合わず、その原因が加齢であることに気づいてショックを受ける。稼いだお金の大半をロリータ服に捧げてきた翔子に、妹の由仁子(ゆにこ)は 「少女でもないのに少女趣味はやめて、30らしい服着りゃいいじゃん」と言い放った。その言葉を元に翔子と由仁子は喧嘩してしまう。
翌日の仕事帰り、翔子は一人でファミレスへと赴いた。その斜め後ろにBAの猫田と熊谷が偶然座り、翔子はつい聞き耳を立てる。猫田には子供が一人おり、マタニティ服が柔らかい印象のものが多いことから、かっこいいマタニティ服を作ろうとしていると言った。それに対し熊谷は「こうあるべきの息苦しさってありますよね」と返した。それに続けて「通ってきた道を戻ることは出来ないけれど、整備することは出来る」と言い、その言葉が翔子に刺さる。
その後家に帰った翔子はロリータ服の断捨離を始める。それに対して由仁子は「お姉ちゃんのロリ服への愛は、うちなんかの一言で変わっちゃう程度なんだ」と煽った。
週末、二人で出かける予定をしていた翔子と由仁子。支度をした由仁子が翔子の部屋へ入ると、そこにはロリータ服を着た翔子がいた。翔子がクローゼットを漁っている時、昔似合わなかった派手なロリータ服を着てみると今になって似合うようになっていたり、捨てられないロリータ服をどう着こなそうか研究していたのだ。
翔子は由仁子に「傷ついたのは少なからず私もそう思ってたからなんだと思う」と言い、「それでも今は、おばあさんになるまで着続けるぞ〜って言いたい!」と続けた。
ロリータ服を着続けるのは98%自分のため。残りの2%は由仁子が自分が大事なものを自分勝手な理由以外で手放さないように願ってのことだと翔子は心の中で思うのだった。
理想の自分のために努力する女
中丸千鶴(なかまるちづる)はグラビアアイドル磯山●やかに憧れるあと少しで29歳を迎える女性。しかし理想とは裏腹に、千鶴は胸同士が離れていて、トップの位置が低いバストの持ち主だった。しかも年を取るにつれてバストが溶けかけのアイスのように垂れてきていることに気づく。30歳を迎えるまでにどうにかしようと千鶴は補正下着を買おうと下着屋へと向かう。補正下着は完成までに2、3ヶ月かかり、しっかりしたカウンセリングに思わず恐縮してしまう。また普段着けているブラジャーのサイズが合っていないことを指摘され、正しいサイズや着け方をレクチャーされる。
それから一週間、正しくブラジャーを着けていると、離れていた胸が寄り、トップも少し高くなっていた。29歳の誕生日、友人にパーソナルに通い始めたことを告げ、バストは磯山●やか、腹筋はTW●CEのモモりんを目指すと言う。
それから2ヶ月後、補正下着を受け取った千鶴は気づけばFカップとなっており、30歳の自分がきっと素敵になると胸を膨らまるのだった。
メイクをせず走り続ける女
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目次 - Contents
- 『だから私はメイクする』の概要
- 『だから私はメイクする』のあらすじ・ストーリー
- あだ名がマリーアントワネットの女
- 推しネイルを始めた女
- 周りの添削行為にうんざりする女
- ワーク・ビューティー・バランスメソッドを持つ女
- 謙遜してしまう女
- 「私なんか」と自信が持てない女
- 推しのためにイメチェンする女
- アイドルとして自信が持てない女
- ロリータ服を着続ける女
- 理想の自分のために努力する女
- メイクをせず走り続ける女
- 周りと比べて傷つく女
- 『だから私はメイクする』の登場人物・キャラクター
- BA(ビューティーアドバイザー/美容部員)
- 熊谷すみれ(くまがいすみれ/演:神崎恵)
- 猫田(ねこた/演:藤原紀香)
- 熊谷の友人
- 北郷兎咲(きたごううさ/演:太田莉菜)
- 月野輪子(つきのりんこ/演:石川恋)
- 丹希(にき)
- その他主要人物
- 錦織笑子(にしきおりえみこ/演:島崎遥香)
- 川松泰子(かわまつそうこ/演:阿部純子)
- 亀山(かめやま/演:片山友希)
- 珠緒(たまお)
- 播堂真帆(ばんどうまほ)
- 天馬翔子(てんましょうこ)
- 中丸千鶴(なかまるちづる)
- 喜多木ツネ(きたぎつね)
- その他
- 吉成(よしなり/演:井上祐貴)
- 竹(たけ)
- 中村(なかむら/演:山口大地)
- 岡田(おかだ/演:奥村佳代)
- 丸山(まるやま)
- 桐ヶ谷澪(きりがやみお)
- 天馬由仁子(てんまゆにこ)
- 『だから私はメイクする』の用語
- 祥伝(しょうでん)デパート
- ギルティメルティー
- BA(ビューティーアドバイザー/美容部員)
- 『だから私はメイクする』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 熊谷「どんな理由でメイクするかに関わらず、自分のことを好きになれることが大事だと思います」
- 猫田「正解なんてないですよ!どうありたいかがあるだけで、だからここにあるものは全部お客様の願いを叶える可能性がある!その中から素直な気持ちに従って選んだものは、きっとお客様の大丈夫を作ってくれますよ!」
- 翔子「それでも今は、おばあさんになるまで着続けるぞ〜って言いたい!」
- 『だから私はメイクする』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 女性やオタクのホンネを聞き出す同人サークル・劇団雌猫
- テレビドラマ化
- 一番苦労したエピソードは12話、丹希の話
- 『だから私はメイクする』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:lol-エルオーエル-「restart」