Arcaea(アーケア)のネタバレ解説・考察まとめ

『Arcaea(アーケア)』とは、イギリスに本拠地を置くゲーム制作会社lowiro limitedにより制作・リリースされたスマートフォン向け音楽ゲーム。基本的なリズムゲームのシステムを採用しながらも、200曲以上の収録楽曲や二人の少女「光」と「対立」を主人公とした奥深いストーリーによって独自の世界観を生み出している。楽曲が多いだけでなくそれぞれに幅広い難易度が設定されており、音楽ゲーム初心者から完璧を求める上級者まで様々なプレイヤーに人気な作品となっている。

『Arcaea』の概要

『Arcaea(アーケア)』とは、2017年にスマートフォン向けアプリとしてリリースされた音楽ゲームである。開発元はイギリスに本拠地を置く「lowiro limited」というゲーム制作会社であるが、楽曲の制作やキャラクターデザインなどには日本人も多く関わっている。ゲームシステム自体は非常に単純であるが、収録楽曲の多さやキャラクター・ストーリーの豊富さ、独自の世界観などが世界中のプレイヤーを魅了しており、2020年には全世界で500万DLを達成しているほどの大人気を誇る。

音楽ゲーム、いわゆる「音ゲー」は、時代とともにその種類も多岐に渡るようになり、プレイヤー層も非常に厚い。そんな中で本作がこれほどの人気を誇っている大きな理由としては、「シンプル」であることと「難易度の幅が広い」ことが挙げられる。本作は、奥から手前に流れてくるオブジェクトを音楽に合わせてタップするというとてもシンプルなシステムを採用しているため、プレイ自体にはすぐに慣れることができる。しかし難易度の高い曲が多数存在しているだけでなく楽曲の総数も200曲を越えているため、音ゲー初心者から玄人まで様々な層のプレイヤーにとって非常にやり込みがいのあるゲームとなっている。

また、主要な二人のキャラクターである「光」と「対立」を描くストーリーも魅力の一つである。二人の少女は失われた世界で不思議な硝片「アーケア」をめぐる冒険をする。アーケアの一つ一つは「記憶」を映し出すが、光には希望に満ちたアーケアだけが、対立には絶望に満ちたアーケアだけが集まってきた。各々は心に傷を負いながらも冒険を続け、ようやく二人が出会ったとき、手を取り合いかけた二人の間に、思わぬ衝突が引き起こされることとなる。

楽曲をプレイすることで解禁されるストーリーはまるで文学作品のような形で語られるのだが、巧みな表現によって『Arcaea』独自の世界観を描写しているため、それに惹き込まれるプレイヤーが多い。ストーリーは低難易度のプレイでも解禁することができるので、プレイングがあまり得意でない人でもこの世界観を味わえるようになっている。

『Arcaea』のあらすじ・ストーリー

出典: wikiwiki.jp

Main Story選択画面。

本作では、条件をクリアすることで解禁できるストーリーが存在する。ストーリーには「Main Story(メインストーリー)」と「Side Story(サイドストーリー)」が存在し、メインストーリーは上述の「光」と「対立」を主人公とした物語である。サイドストーリーはパートナーキャラごとにいくつも存在していて、アップデートにより増えることもある。

ストーリーは一貫してノベルゲームのような形で進行するが、プレイヤーが選択肢を選ぶなどの要素はない。その表現や言い回しはかなり特徴的であり、難しい日本語も多く使われている上に、文字の上ですべては語られないため、ネット上でそのストーリー考察も盛んに行われている。

光サイド

ストーリー選択画面の左半分、「1-1」~「1-9」では、「光」サイドのストーリーが語られる。以下はその概要である。

光は、見知らぬ世界で目覚める。自身の記憶はなく、自分の名前すらも憶えていない。彼女の周囲には不可解な硝片「アーケア」が大量に浮遊しており、彼女自身はそれに触れることができないが、アーケアに近づくとそこに内包されている輝かしい光景を見ることができた。この光景は硝片に秘められた「記憶」であるようだった。

光が目にするアーケアの記憶は、どれも輝かしく幸福に満ち溢れていた。彼女はその記憶に触れることで幸福を感じることができたため、たくさんのアーケアを集めることに決めた。輝かしい記憶を内包するアーケアは、光の周りに自然と集まってくるようであり、彼女は冒険するうちに多くのアーケアを見にまとうようになった。光は輝かしい記憶に触れるその度に、底知れない幸福感を得ることができた。

しばらく経つと、光の集めたアーケアは空を覆うほどの数になっていた。光はアーケアを集めるたびに輝かしい光景を目にしていたが、光にとってその光景は幸福なものではなくなっていった。ある時、光は空を覆うアーケアの輝かしさに圧倒され、自分がどうしてこの硝片を集めているのか、この先何をしていけばいいのかという思考に囚われて、自身の心を失ってしまう。虚空を見つめ感情をも失ってしまった状態でただ佇んでいることしかできなかったが、そんな光の元に一つの際立ったアーケアが近づいてきた。そのアーケアが映した光景は、自分自身がたくさんのアーケアを求めて陽気に冒険している様子だった。それを見た彼女は、自分自身が何の思考もできず、心を失っていることに気付き、涙を流す。

自分の幸せだった光景を映すアーケアによって何とか心を取り戻した光は、この不可解な世界について理解しようという強い意志を得、それに向けて確かな歩みを進めていくことにした。

対立サイド

ストーリー選択画面の右半分、「2-1」~「2-9」では、「対立」サイドのストーリーが語られる。以下はその概要である。

対立が目覚めると、見知らぬ世界にいた。記憶が無く、自分が何者なのか、ここがどこなのかも、一切分からない。彼女がふと周囲に目をやると、不可解な硝片「アーケア」がいくつも浮かんでいた。近づいてきたものに目をやると、そこには底知れないほど醜悪で絶望に満ちた光景が映っており、対立は何ともならない不快感と行き場のない苛立ちに襲われた。対立の元にはそのような醜い硝片が付き纏うように集まってくるため、彼女はこの世界に対して酷い苛立ちを覚えるようになった。そして、あまりにも酷いそれらの光景を目にするうちに、アーケアを全て自分の周りに集めて排除することが救いだと考えるようになり、アーケアを進んで集めるようになった。

対立は、醜い光景を目にする度に苛立っていた。あまりの数に彼女の心は廃れていき、「アーケアを集める」という行為だけに安心や希望を抱いていた。ある時、大量の硝片で形作られた迷宮で、対立はこの世界が終わる光景を目にし、この世界がすでに「失われた世界」であることに気付く。対立は、数多の絶望に圧倒されるうちに、すべてを破壊するという衝動に駆られるようになった。さらにそこで彼女は、輝かしい記憶の断片を垣間見る。この記憶は彼女に正気こそ取り戻させたが、絶望の中に垣間見えた希望がなお対立の心を痛めつけ、対立は何の感情も抱かないままにただ破壊衝動に駆られていくこととなった。

光と対立

V-1でのワンシーン。左:光、右:対立。

ストーリーを進めていくと、「V-1」~「V-5」が読めるようになる。以下はその概要である。

光がいつものように探索を進めていると、ある廃墟に行き着いた。光はそこで、目覚めてから初めて、自分以外の生命に出会う。それは最早感情をほとんど失っていた対立であった。光は、警戒しつつも確かに距離を詰めるように声をかける。しかし、対立は目の前の輝かしい少女に、これまでの時間で溜まりすぎていた行き場のない鬱憤の類をぶつけたい衝動を抱いていた。

思いがけず出会った二人は、心の距離を保ちつつも、次第にお互いの経験や思いを正直に話すようになっていった。対立は、自らが目にするアーケアの記憶がすべて醜く絶望で満ち溢れていること、そしてそれによって自身の心が壊れ、今目の前にいる少女を傷つける衝動に駆られていることを打ち明けた。光は、目にしてきた光景が自分と真逆であることに驚いたが、その光景によって自分が破壊の対象にされかねないということを受け入れた。しかし、彼女は対立に「あなたの心は壊れていない、だってその衝動に耐えてくれているから」ということを言い放つ。対立は自分の感情をまだ光が理解していないと感じるが、その片隅で、光こそが自分に残された唯一の希望なのではないだろうかと考えるようになる。

出典: arcaea.lowiro.com

V-5でのワンシーン。

対立は、自分の望みがこの世界を全て破壊することだということを打ち明けた。光はそれに反発した。対立は、この世界は自分たちを破滅させる場所だと言い放ち、建物も硝片もすべてを破壊する手段を見つけ出すのだと主張した。しかし、光は食い下がらず、それはあまりにも短絡的だ、自分はあなたと共に今後を見つけていきたい、と対立に言った。対立はその言葉の意味をすぐに理解し、ここに存在していた希望の光の存在を再認識した。彼女は自身の破壊への意思を手放し、光の手を取ることに決めた。

が、その時、一つの異質な硝片が二人に近づいてきた。対立はその硝片の中に、思いもよらぬ光景を目にした。そこには貫かれた自分の身体と、それをみて微笑む光の姿があったのだ。対立は、これは未来の出来事だと、光は結局自分を裏切るのだと悟り、最後の希望は絶望の波に飲まれていった。一方で光は、硝片の光景に困惑していた。様々な思考がよぎったが、ただ一つ、彼女に新たな危機が訪れようとしていることだけを理解した。彼女は、今まで何があっても生き延びてきたということを思い出し、彼女に心を取り戻させたあの硝片に手を伸ばした。

それを見た対立は、それを敵意とみなし、光の元へと歩みを進めた。

戦い

ストーリーを進めていくと、「VS-1」~「VS-???」が読めるようになる。以下はその概要である。

対立は、光に対して攻撃を仕掛けた。光にとって、対立はもはやかつて友であろうとした少女ではなく「黒き衣に身を包んだケモノ」でしかなかった。対立は容赦なく硝片を光に向かって射出する。対立には、迷宮で世界の終わりの光景を目にしたとき、硝片を自在に操る能力が身についていた。しかし光も硝片との調和がとれており、何とか対立の攻撃を凌いでいた。

対立が猛烈な勢いで攻撃を続け、その硝片が光の頭蓋を貫かんとしたとき、光の周りに硝片の嵐が巻き起こった。対立は退き、その嵐から射出される硝片を躱し続けていた。自分の旅路がどれほどの地獄であったかということに思いを馳せるうちに、ある異変に気が付いた。自らの頬の真横を、極めて異質な「アノマリー」が漂っていたのだ。それに触れて、彼女はこの世界のすべてを理解することとなった。それだけでなく、アノマリーの力を得た対立は、一気に形成を逆転し、光を窮地へと追い込む。

VSでのワンシーン。

対立の放った硝片は、光の胸を貫いた。しかし、光は生きていた。その希望を打ち砕かれながらも、まだ息をしていた。

アノマリーの奇跡でも起きなければ、この状況は打開できない。彼女はそう考えていた。しかし、彼女はまだ生きていたいと願っていた。

ふと、対立の周りを渦巻く硝片の異変に気が付いた。調和が乱れていたのだ。それに気が付いた瞬間、大きく地面が揺れ始めた。その揺れに、宙に浮いている対立は気付く様子がない。光は、もう一度襲ってくる対立の硝片の波に対抗するように、自らも白い硝片を集め、射出した。それらはあらゆるものを通り抜け、突如強い光を放って砕け散った。その瞬間、光の周囲のすべては静止した。光に確認できるのは、空に生じたひびであった。彼女はそのひびや周囲で静止する硝片を見て「面白い」とささやき、笑った。直後、空のひびは大きくなってゆき、世界は崩壊するかのように、再編するかのように、破滅していった。

原文と考察について

原文は、以下のサイトで読むことができる。

wikiwiki.jp

考察は継続して盛んであり、掲示板やブログなどで日々更新されている。ストーリー自体が非常に考察の余地が多い内容となっているので、解釈も人によって様々なものとなっている。

Side Story

出典: wikiwiki.jp

Side Story選択画面。

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