NieR Re[in]carnation(ニーア リィンカーネーション)のネタバレ解説・考察まとめ

『NieR Re[in]carnation』とは、2021年2月に正式サービスが開始したスマートフォン向けロールプレイングゲームアプリ。
SQUARE ENIX発のアクションRPGとしてファンから人気の呼び声高い『NieR』シリーズの最新作。
辺り一帯を美しい建造物に囲まれた不思議な場所で1人の少女が目を覚ました。傍らには自らを「ママ」と名乗る謎の生物。
今作では、彼女の失ったものについて紐解かれていく様を魅力的なアクションや幻想的なBGMと共に描く。

アケハと国の大名が、襖越しに会話をしている場面

真っ暗な和室の中で、アケハという名の女が静かに主の言葉を聞いている。
主とは、彼女が忠誠を誓う国の大名であった。
「先の任は大義であった。引き続き頼むぞ。」という扉越しの声。
予め渡されていた人相書きを胸にしまい、ただ一言「承知。」とだけ答えると、女は街へと繰り出す。
厚い雲に覆われた空とは裏腹に、街は活気に満ち溢れていた。
道行く童子が浮かべる無邪気な笑顔。
それを見たアケハは、もしかしたら自分にもあんな生き方があったのだろうかと思いを馳せる。
そしてすぐにかぶりを振った。
人殺しの自分と彼らでは、歩むべき道が違いすぎる。
しかし、どこか羨ましいと感じる気持ちは、襲い来る賊を倒した後も消えないままであった。

STORY2 「玉響の花」

幼少期に、アケハが厳しい訓練に明け暮れている場面

アケハの脳裏に蘇るのは、辛く厳しい訓練の日々。
主君の為にと、毎朝疲弊した体に鞭を打って行われるそれは、幼い彼女にとって苦痛でしかない。
人殺しを生業とする家に生まれたアケハ。彼女は幼いながらに、一族の人間として殺しの運命を背負っていたのだ。
雨に引きずられて嫌な記憶を思い出してしまったと、惨めな気分で溜息を吐く。
彼女は眼前の門番を音もなく斬り捨てると、使命を果たすべくそびえ立つ城へ足を向けた。

STORY3 「翳り無し」

アケハが、標的である敵大名の跡取り息子に刃を向ける場面

今回の殺しの標的は、敵大名の跡取り息子であった。相手は血統を重んじる家柄。
それも、警護で固められた安全な城の中で世継ぎが死んだとなれば、必ず騒ぎが起きる。
アケハの役目は、城内に混乱を生じさせ味方が攻め入る隙を作ることだった。
辿り着いた座敷の奥で、人相書きによく似た子供を見つける。
顔に刀を突きつけても、怯えるどころかこちらをじっと見据えるばかりで動こうとはしない。
少しやつれたその顔を見て、アケハはその子供が男装をさせられた女児であることに気が付いた。
何故そんなことをしているのか、と問えば彼女は家への恨み言を漏らし始める。
「私は父の人形です。勝手に産み落とされ、勝手に生かされる、ただの道具。斯様な家、滅んでしまえばいい。」
それを聞いてアケハは、目の前の子供はかつての自分と同じなのだと感じた。
生まれながらにして、他人に生きる道を決められてしまった者。
「どうか殺してください。」と願う少女を前に、アケハは逡巡する。

STORY4 「散りゆく赫に五月雨ぞ消ゆ」

血の海の中で倒れるアケハに、少女が駆け寄る場面

長い沈黙。少女に刀を向けてから、どれほどの時間が経ったのだろうか。
アケハは刃を腰の鞘に納め、先程の言葉に偽りはないかと尋ねる。すると娘は震えながら頷いた。
一言「承知。」とだけ答えて、元来た道を戻る。
座敷の入口には、既に少女に向けて差し向けられた多くの兵が集まっていた。
人数では圧倒的に不利だったが、それでも彼女の顔に恐れの色は見られない。
やがて数刻の後、座敷の中は血の海と化していた。力を使い果たしぐったりと倒れるアケハの傍に、娘が駆け寄る。
何故彼女を助けようと思ったのか、アケハ自身にもよく分かっていない。
ただ彼女は、家に縛られて苦しむのは自分だけで十分だと考えた。
人ひとりを救ったところで、今まで奪った沢山の命の償いにはならない。
それでも、地獄への手土産くらいにはなるのかもしれない。そう考えて、アケハは静かに瞼を閉じるのだった。

五章:冠雪の章 「遥かなる頂き」(アルゴー、槍)

STORY1 「生き甲斐」

道を遮るクレバスを前に、アルゴーが斧で木を切り倒し進もうとする場面

雪深い山道を、アルゴーというひとりの男が歩いていた。
辺り一面凍り付いた地面と、自らが吐き出す吐息で白く染まる視界。
そんな悪条件の中でも、彼は登り続ける。道中大きなクレバスがあれば、斧で木を切り倒し進んだ。
空に月が昇り、肌を刺すような寒さに襲われても、歩みを止めることはない。アルゴーはこの山に、それほどの魅力を感じていたのだ。
誰も制したことのない険しい山。それを前にして、彼は自らの冒険家としての生き甲斐が刺激されるのを感じ取っていた。

STORY2 「不退転」

突如吹雪きだした雪山の中、アルゴーが懸命に歩を進める場面

雪山が突如、アルゴーを拒絶するように吹雪き始めた。肌を刺すような痛みすら感じる風雪に、彼の足取りも重くなる。
少し歩いた先に風をしのげそうな岩陰を見つけ、そこで一時の休憩を取ることにした。
一息ついて、ふと懐の手紙の存在を思い出す。それはこの山に挑むことになった時、愛娘がお守りと共に渡してくれたものだった。
手紙から僅かに感じる娘の温もりが、アルゴーに再び山へと立ち向かう活力を与える。
吹雪が止むのを待って、彼はまた先へ進み始めた。
辿り着いた山の中腹には大きな湖があり、その傍に何者かが倒れている様子が窺えた。
どうやら先駆者がここで力尽きて亡くなったらしい。遺体をくまなく調べてみると、懐から手記が見つかった。
そこに記されていたのは、家族を残してこの山に挑み、挙句死んでいくことに対しての後悔の念であった。
文字はひどく震えている。それが凍えていたせいなのか、あるいは悲しみからきたものなのかはアルゴーにも分からなかった。

STORY3 「呵責」

険しい崖を登る最中、アルゴーが足を滑らせ落下する場面

男の目の前に、高く巨大な壁が立ちはだかっていた。この壁を登り切れば、辛く険しい山を制覇することが出来る。
何度か足を滑らせ、地面に落ちることを繰り返しながらも、アルゴーは遂に頂上へと辿り着いた。
人跡未踏の山の頂に存在していたのは、朽ちた神殿。いつの時代に作られたかも定かでないそれに、彼はそっと足を踏み入れる。
自らの中にある冒険家としての血が騒ぐのを感じていたのだ。そして神殿の奥で、信じられない光景を目にする。
力なく横になっているのは、家に残してきたはずの愛しい妻。
驚愕に目を見開くと同時に、彼女の言葉がアルゴーの脳内に流れ込んできた。
「生まれてくる子供がいるのに、何故置いていったのか。」そう囁く声。
しかし冷静になってよく目を凝らしてみれば、それは見知らぬ妊婦の凍死体であった。
彼女の手に握られたお守りは、アルゴーが娘から貰ったものとよく似ている。
それを目にしてようやく、彼は家族の元へと帰る決意をしたのだった。

STORY4 「願い」

母娘が家でアルゴーの話題に花を咲かせながら、帰りを待ちわびている場面

雪降る森の中の、とある小さな一軒家。身重の女が、忙しなく家事をしている。
そんな中、ゴンゴンと乱暴に玄関の扉を叩く音がした。
「きっと山に行っていたお父さんが帰ってきたんだ」と娘が嬉しそうに出迎える。
しかしそんな期待とは裏腹に、扉の外には誰も立っていなかった。
きっと風のいたずらだったのだろうと結論付け、母子はアルゴーについての話に花を咲かせた。
「お父さんが帰ってきたら、私が作った手袋をあげるの。」と娘が無邪気に笑う。そのうち、母親が急にお腹を押さえて苦しみだした。
今まさに、新しい命が生まれてこようとしていたのである。
そんな折、アルゴーは果てしない暗闇の中で目を覚ました。なんとかして起き上がろうと懸命にもがく。
しかし、手足はどんどん重く冷たくなっていくばかり。その感覚に、彼は悟った。崖から落ちたあの時に、気を失ってしまっていたのだと。
山頂に辿り着いたことも、あの神殿で見たものも、全てはアルゴーの夢でしかなかった。
冷えて既に感覚の無くなった指で、娘からのお守りをそっと握る。その温もりを感じながら、静かに瞼を閉じた。

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