体操ザムライ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『体操ザムライ』とは2020年10月から12月にかけて放送されたスポーツアニメ作品。21世紀初頭の日本を舞台に、元日本代表の体操選手・荒垣城太郎が様々な出会いを通して運命を変えていき、引退の危機から脱していく姿を描く。『ユーリ!!! on ice』や『ゾンビランドサガ』でも知られるMAPPAが制作を手掛け、クオリティの高い動きや演目のシーンは最大の見所である。ORANGE RANGEの楽曲「上海ハニー」がOPテーマとして使われるなど、当時流行っていたものが多く登場するのも特徴の1つとされる。

『体操ザムライ』の概要

『体操ザムライ』とは2020年10月から12月までテレビ朝日系列『NUMAnimation』枠で放送されたスポーツアニメ作品である。CGによる滑らかでリアリティ要素の強い体操シーンが大きな見所で、丁寧な演技にキレのいい動きと相まって反響を集めた。監督は『交響詩篇エウレカセブン ハイレボリューション1』の清水久敏、シリーズ構成は『シドニアの騎士』や『ゾンビランドサガ』の村越繁が担当。
元日本代表の体操選手・荒垣城太郎はケガで引退を勧告されるが、謎の少年・レオナルドとの出会いから現役続行を決意。ピークを過ぎている事を承知しながらも体操を続けたい城太郎を中心に、周囲の人間の助けを借りて活躍する姿を描くヒューマンドラマでもある。
ストーリーは体操をテーマに、体操選手達の時に熱く、時に笑え、それでいて泣ける人間模様が描かれる。スポ根要素の強い作風だが、一度は引退を勧告されたベテラン選手を主人公として、年齢や世間の声に耐えながら体操を続ける姿を描くのが斬新な要素だ。主人公は物語開始時点で引退の波に差し掛かっているとはいえ、家族やコーチなど理解者に恵まれており、彼らとの厳しくも温かいやり取りもキャラクターの魅力として楽しめる。時には何気ない会話がスランプの突破口となる事も多いので、日常シーンと言えど見逃せない。

『体操ザムライ』のあらすじ・ストーリー

引退を迫られる中で起きたレオナルドとの出会い

2002年。元日本代表の体操選手・荒垣城太郎は、ケガや加齢によって思うように演技ができなくなっていた。そのせいで成績不振に陥り、コーチの天草から引退を勧められた事もあり、城太郎は引退を決意する。ところが家族旅行に行った先の鬼怒川温泉で謎の青年・レオナルド(レオ)が現れ、そのまま家までついてきてしまう。居候となったレオはある日城太郎が所属するクラブに現れ、軽やかな体操を見せながら城太郎に引退しないで欲しいと説得する。せめて家族には前もって引退を打ち明けようとする城太郎だが、レオの妨害もあって言い出せず、遂に引退会見当日を迎える。
引退を表明しようとする中でレオの言葉に加え、妻と娘が自分のメダルを見て喜ぶ姿を思い出し、城太郎の口から出た言葉は「引退しま…せぬ」。マスコミが騒然とする中で現役続行が決まり、周囲の人々に支えられながら運命に抗うべく、城太郎の新たな戦いが幕を開けた。

リハビリを続けながら南野鉄男との勝負に挑む

後日、引退会見を台無しにしたせいで天草に怒られる城太郎。衰えた分は練習量でカバーしようとする城太郎に天草は「金輪際面倒は見ない」と冷たく告げ、クラブから追い出してしまう。1人になった城太郎は自分で決めたメニューで練習するが、オーバーワークを顧みずに続けた結果肩を壊しかけてしまい、レオがバイト先で知り合ったブリトニーの接骨院に連れていかれる。ブリトニーは鍼治療で城太郎の肩を治し、あのまま続けていたら肩が使い物にならなくなったと告げる。トレーニングの前準備として太極拳を中心とした治療メニューを組み、更に定期的な鍼治療を条件に城太郎の専属医となった。
来る日も来る日も太極拳を続けるうちに体の負担を感じなくなり、体操から一時的に離れて体を休ませる事の重要性に気付く城太郎。現役時代に自分の体を気遣う天草の言葉も無視していたのを思い出し、クラブに戻ると実力を過信していたのを認めた上でもう一度コーチになって欲しいと天草に頼み込む。天草もそれを望んでおり、再び城太郎のコーチとして一からやり直す事を決意した。

その直後、「バンダナ王子」こと南野鉄男がクラブに現れ、城太郎に勝負を申し込む。勝負の日は1ヶ月半後に決まり、城太郎は肩などを鍛え直すべく基礎訓練に励む中、遂に当日を迎える。肩への負担を考慮して天草が組んだ技で挑み、かつて失敗してしまった演技も克服させるなど、個人総合5位の実力者である鉄男と接戦を繰り広げる。勝負は城太郎の勝ちに終わったが、鉄男は春の大会でリベンジを果たすべく、更なる練習に励むのだった。

レオの授業参観出席

ある日の夕方、レオは買い物中に同級生からいじめられる玲の姿を目撃する。レオのお陰でその場はとりなしたものの、「サムライ」である父の存在を重荷に感じる玲は恥ずかしくなり、レオに絶交宣言までしてしまう。そんな中で玲の学校で授業参観が決まり、忙しい城太郎や以前に派手な姿から目立ちすぎてしまったマリに代わり、レオは出席を決意。正装姿で授業参観に出たレオは子供達と打ち解けるが、あまりにオーバーな応援から玲の堪忍袋の緒が切れ、父を侮辱された件も正面から言い返してみせる。レオが授業参観に行ったのは1人で溜め込みがちな玲を気遣っての行為で、結果的に胸のつかえが取れた玲はレオと仲直りし、翌日には晴れやかな笑顔でクラスメイトと接するのだった。

玲ちゃんの家出

城太郎は復帰戦となるNHK杯を終えたが、その翌日にレオが消息を絶ってしまう。そんな折に天草から日中合同合宿の話を聞き、誕生日が近い玲に申し訳ないと思いながらも、世界最強と言われる中国代表選手の姿を間近で見たいと望む城太郎。参加は許されたものの玲は寂しさを覚えていき、更にビッグバードが夕飯の鶏肉で食あたりを起こしてしまう。検査入院としてビッグバードを獣医に預けた後、1人ぼっちな状況に耐え兼ねて家を飛び出す玲。中国代表との顔合わせを済ませた城太郎や、突然帰ってきたレオも必死に捜す中、マリの指示で動いていたカラーギャング達が玲を発見。母の代わりを果たそうと気負いすぎていた玲はマリから母の意外な一面を聞かされ、「我慢する事なんて何一つない」と諭される。そして城太郎の前で買ってもらった自転車に乗れなかった事を打ち明けた。後日、夕陽の河原では城太郎とレオに見守られながら、退院したビッグバードと共に自転車を乗りこなす玲の姿があった。

明かされるレオの正体

第42回NHK杯、中国代表との合同合宿を経て、「体が動く限り体操は続ける」と限界を自覚しながらも決意を新たにする城太郎。3回宙返りによる持ち技「アラガキ」を超える「アラガキ・マーク2」の完成に励み、幾多の特訓やレオのアドバイスもあって遂に技を完成させる。しかしそんな折、レオの正体が天才バレエダンサーだと明らかになり、バレエから逃げ続けている事を城太郎に指摘されたレオは荒垣家から姿を消してしまう。
そして11月14日。全日本体操競技選手権大会が開催され、城太郎達はそれぞれ全力で技を競う。1日目の終了後、玲はレオの護衛を務めるエージェント・スカーレットに呼び出され、宿泊先のホテルでレオからイギリスに帰ると告げられた。レオの表情はプレッシャーに囚われており、玲も突然の別れに戸惑い、家でその事を伝えられた城太郎も暗い表情を浮かべる。3人の心が晴れないまま、大会は2日目を迎える。

納得できない玲はレオを会場まで連れてきて、城太郎の演技を見てもらおうと提案。周囲の協力を得て空港に向かい、レオの説得に成功すると急いで会場に引き返す。鉄男が9.850と本大会中最高得点を出し、集中する城太郎の耳に玲、そしてレオの声援が届く。2人の励ましにより「アラガキ・マーク2」を成功させ、9.975と最高得点を更新する。城太郎は優勝を果たすと同時に、その生き様を日本中の人々に知らしめるのだった。

ロンドンのバレエシアターで迎えるエピローグ

大会から2年後、城太郎はレオからバレエ劇場のチケットを受け取り、家族を連れてイギリス・ロンドンのある劇場に来ていた。期待に包まれる一同の前で幕が上がり、レオの目には一点の曇りもない。かつて城太郎に言われたように、改めてバレエと向き合いながら精一杯踊ろうとする。そして軽やかな舞を見せるレオの姿で物語は幕を閉じた。

『体操ザムライ』の登場人物・キャラクター

荒垣城太郎(あらがきじょうたろう)

CV:浪川大輔
四つ葉スポーツ所属の体操選手。長髪をヘアゴムでまとめた姿から「サムライ」の愛称で親しまれている。体操に並々ならぬ情熱を注ぐ一方、どこか抜けているため天然ボケをかます事も多い。また平時は常に穏やかなため、相手の煽りや挑発は受けないものの、逆にその天然ぶりで無自覚に相手を苛立たせる場面も少なくない。体操バカと見られながらも周囲の人望は厚く、彼らの力も借りながら選手として活躍し続ける道を模索する。

レオナルド

CV:小野賢章
城太郎の前に現れた謎の少年。忍者に憧れており、常に頭巾を巻いたり語尾に「ござる」を付けたりしている。本名は「レオナルド・スタージェス」と言い、「若きロイヤルの至宝」と称される天才バレエダンサー。周囲の期待に耐えられず日本まで国外逃亡してきた矢先で城太郎と玲に出会い、荒垣家の居候となる。普段はスナックマリーのアルバイトとして働く一方、バレエダンサーとしての経験や技術を活かし、城太郎の特訓に協力する事も多い。

荒垣玲(あらがきれい)

3kokagawawa
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