魔法のリノベ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『魔法のリノベ』は、作者星崎真紀による住宅リノベーションを題材とした漫画であり、2015年から双葉社が発行する主婦向け漫画雑誌『JOUR』に連載されていた。家族経営のまるふく工務店を舞台に、気弱な長男の福山玄之介と、大手工務店から転職してきた主人公の真行寺小梅コンビの活躍を描く。家と家族の問題を抱える施主の要望を、リノベーションで解決していくヒューマン系お仕事漫画である。クールに見えて人情派の真行寺とお人好しな玄之介の成長も物語の見どころである。

今回の依頼は寅之介の紹介で、長年変わった間取りをコレクションしていた飯星からの、個性的な中古マンションのリノベだった。購入予定のマンションの内見をしながら要望を聞くと、飯星の中で理想はかなり固まっていた。マンションはまだ購入していない為、早くプランを作らなければ他社に売れてしまうと急いでプランを練るが、理想を実現しようとすると予算を大きく超えてしまう。そこで重要なものを二つに絞り、どちらかを捨てるプランを作った。後日寅之介も交えてプランを見せるが、案の定選ぶことができない飯星。寅之介は借入を増やすことを提案するが、飯星はどの提案もしっくりこないようだ。考えている間にマンションは他の人に売れてしまう。
後日、飯星から連絡をもらい再訪問する真行寺と玄之介。飯星は予算の都合で二択になってしまった事に引っかかりがあり、物件が売れたことにどこかほっとしていた。しかし、自分の予算では普通の間取りのマンションしか見つからないと言う。玄之介は、普通の間取りを好みの間取りにするのがリノベだ、夢を共有させてほしいと申し出る。飯星は寅之介にもう一度予算以内でマンションを探すよう頼み、玄之介と真行寺は飯星好みの間取りを追求することにした。
後日、予算内の普通のマンションと飯星好みのマンションが同時に売りに出される。またもや二択を迫られた飯星だが、まるふく工務店のプランで理想の家を自分で作り上げることに決める。

二世帯住宅

弟の結婚式の為地元に帰ってきた真行寺は、父親から家を建て直す話を聞く。弟の結婚を機に二世帯住宅にしたいという父親のプランを聞くが、そのプランは他者への気遣いが一つも盛り込まれていない。父親の独断で決まってしまうことが心配な真行寺も、打ち合わせに同席することにした。案の定、父親の要望だけが叶えられた思いやりのないプランで、真行寺は業者にさりげなく注意をし後日また打ち合わせを行うことになった。
しかし後日提案されたプランもまた、他者への配慮が全くない。同業者の仕事に口を挟むまいとしていた真行寺だったが、家族が協力し合わず孤立するようなプランを見て、間取りを見ただけでは気付きにくい難点を挙げていく。そんな中発覚したのは、母親が「父がいなくても困らない家」という注文をしていたという驚きの事実だった。
リノベをする家族の立場になった真行寺は今まで気付かなかった家族の問題に直面し、自分はお客様の力になれていたのか悩む。その様子を見た玄之介は、真行寺は誰よりもお客様に寄り添っていると元気付けた。気を取り直して仕事をしていると、実家のリフォームを頼んでいる業者から連絡が入る。父親が落ち込んでいることや真行寺と協力して父親がいないと困る家にしてほしいと依頼されたことを聞き、「家族が誰かいなくなった後の事を考えるのではなく、住み心地が良くて家族の誰もがいなきゃ困ると思える家」を提案する。この建て替えによって、亭主関白だった父親は少しだけ家族への関わり方を変えたのであった。

ペットシェアハウス

寅之介のお客様で犬猫をたくさん飼っている新婚夫婦から、お互いのペットと仲良く暮らせるようなリノベをしたいと依頼を受ける。
真行寺が弟の結婚式で帰省していたので、玄之介と寅之介でご夫婦に話を聞きに行くが、分かったのは片方の生活を優先することのない間取りを考えるのは至難の業という事だった。話し合いの中、本当に一緒に暮らせるのかと不安を感じ始めたご主人の気配を感じ取った寅之介は、物件を売るため奥様を焦らせ手付金を支払わせてしまう。まだプランもできていないのに、本当に猫と犬が住み分けながら仲良く暮らす家ができるのか悩む玄之介。
その頃ご主人も犬と猫が仲良く暮らせるのか、この結婚は正解なのかと悩んでいた。悩みを払拭するため、奥様の飼っている犬を自分の飼い猫に会わせてみることにしたが、驚いた猫は家から逃げてしまう。
相談も無く対面させたことを奥様は怒ったが、猫が逃げてしまったと聞き有休を取って探してくれる。その姿に、結婚がうまくいくような根拠が欲しくて焦っていたご主人は自分を恥じる。
新しく玄之介が持ってきたプランは、もしも犬と猫が仲良くなれなくてもお互いが無視できるような状態にできる家となっていた。不安でいっぱいのご主人が始めてみなければわからない生活を楽しめるような家だ。玄之介の持ってきたプランと言葉に勇気付けられたご主人は奥様と合流し、無事猫を見つけることができたのであった。

『魔法のリノベ』の登場人物・キャラクター

まるふく工務店

真行寺小梅(しんぎょうじこうめ)

三十歳、独身。作中で三十二歳になっている。
マイベストおむすびは梅干し+シソ+ゆかり。
山登りサークルでまるふく工務店社長と出会ったことが入社のきっかけ。
登山が趣味。帰れなくなると登山で使う寝袋を持ち込み会社に泊まることもあったが心配した玄之介により部屋に泊めてもらうことになる。
まるふく工務店のリフォーム部のテコ入れのため入社する。インテリアコーディネーターの資格保持者。
まるふく工務店に入る前は7年間株式会社グローバルライフホーム社で営業をしていたが久保寺と社内恋愛の末二股をかけられて退社することになった。
久保寺の三年先輩で指導係だった。

福山玄之介(ふくやまげんのすけ)

まるふく工務店・リフォーム部営業。
福山家長男、バツニ子持ち。仕事をしながら子供を育てるワーキングファザー。会社の上の204号室に住んでいる。
十か月前に奥さんが福山家次男と駆け落ちし離婚。父曰く女を見る目がない。
見た目が派手でグラマラス、女度が高くてワガママな女にいつも惚れる。
リフォーム部の営業になってから半年間契約成立率は一割。
前職はOA機器会社のカスタマーサービスであり、そこで「詫びの玄」と呼ばれていた。
マイベストおむすびは玄米味付けおむすび。

福山竜之介(ふくやまたつのすけ)

まるふく工務店・設計担当
福山家三男

福山蔵之介(ふくやまくらのすけ)

まるふく工務店・社長。福山家父。
妻は亡くなっている。名前は朱美。子供の名前は風水の四神から付けた。
登山が趣味であり、山岳サークルで何度か顔を合わせたことがある真行寺が就職先を探しているのを知り声をかけた。

小出(こいで)

まるふく工務店・新築 / 公共工事部。

福山進之介(ふくやましんのすけ)

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@mikimelou0

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