帰ってきたヒトラー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『帰ってきたヒトラー』とは、2015年にドイツで製作されたドイツ風刺コメディ映画である。ドイツのベストセラー小説を基に映画化。容姿がヒトラーにそっくりの男が、テレビに出演させられることになった。男はカメラの前で過激な演説を繰り出し、ヒトラーのモノマネ芸人として人々に認知され、人気を博していく。しかしその正体はタイムスリップしてきたヒトラー本人だった。ドイツ社会における現代の問題を重ね、風刺的かつ現代の人間の危うさをコミカルに描く。

ネオナチ

ナチズムを復興しようとする政治的運動。多くの国に組織があり国際的なネットワークも存在する。

『帰ってきたヒトラー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

歴史は繰り返される

本作では21世紀にアドルフ・ヒトラーがタイムスリップして現れる。ヒトラーは国民がタブー視しつつも、過激で面白いものであると感じられるモノマネ芸人として人気を博した。しかし、ヒトラーは道化を演じながらも、国を支配しようと少しずつ動き出す。クレマイヤーの祖母やザヴァツキは本物のヒトラーであると気づくが、ザヴァツキに至っては精神異常だといわれ、ヒトラーを阻止することができなくなってしまう。終盤では、ベリーニがヒトラーの横で記者の「歴史は繰り返されるのでは」という質問にこう答える。「もしヒトラーが現代に蘇っても大丈夫。私たちは戦後70年歴史をみてきたのだから」その後、車は動き出し、ドイツの町を回ると多くの人が手を振り笑顔を向けていた。

ヒトラー「私はモンスターか?でもそのモンスターを選んだのは国民だ。民衆を扇動したのではない、民衆が計画を提示した私を選んだのだ。わたしは何度でも蘇る。みなの心の中にあるからだ」

ヒトラー「私はモンスターか?でもそのモンスターを選んだのは国民だ。民衆を扇動したのではない、民衆が計画を提示した私を選んだのだ。わたしは何度でも蘇る。みなの心の中にあるからだ」
ヒトラーが映画化中のザヴァツキに「お前はモンスターだ」と銃を突き付けて言われ、それに対して諭すように述べた一言。民主主義の政治ではリーダーを選ぶのは選挙であり、それは国民によって行われる。ヒトラーはよくモンスターと言われるが、それを選んだ国民はモンスターではないのか。いつでもヒトラーは人間の心の中に潜んでいるという作品からの警鐘が伝わる一言である。

ヒトラー「我々は奈落へまっしぐら。だが我々はその奈落を知らない。奈落を知り克服するようになるまで反撃を開始する」

「我々は奈落へまっしぐら。だが我々はその奈落を知らない。奈落を知り克服するようになるまで反撃を開始する」。
ヒトラーがテレビ初主演でスピーチをした最後の一言。1945年のドイツ情勢と重ね、現状のドイツを嘆き、盛り上げようとする意志が見える言葉である。
ヒトラーのスピーチは沈黙から始まった。観客のざわつきから静寂、興味を持ち出すところで語りかけるようなスピーチが行われる。視聴者や観客にとって社会風刺の入った精巧なモノマネ芸人のスピーチとして大喝采を浴びることになった。その後、テレビでヒトラーを見る機会は無いほどの人気となった。

『帰ってきたヒトラー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

徹底的な役作り

主演を務めるオリヴァー・マスッチは、ヒトラーの演説をたくさん聞くことでヒトラーの心情を理解したという。また、ヒトラーの恰好で待ちゆく人々にインタビューをしたり、自分がヒトラーであると思い込んだ病人のふりをしてカウンセラー治療を5時間受けるといった実験的かつ徹底的な役作りが行われていた。特にヒトラーの恰好で街に出て、ドイツの人々にインタビューする姿は、劇中にも使用されている。

命がけの撮影

出典: gaga.ne.jp

ヒトラー役のオリヴァー・マスッチは、ネオナチやSPD(ドイツ社会民主党)の人々と会話をするときは危険を感じたという。オリヴァー・マスッチは、ネオナチのデモ現場にヒトラーの恰好で登場し、ヒトラーの子孫として会話を交わした。しかし、そこに極左のデモが現れ、混乱状態になったという。一方でネオナチとは友好的な関係を築き、バーで議論を交わすなど実際の住民の声が映画に取り入れられることとなった。

『帰ってきたヒトラー』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):Katja Ebstein『Er ist wieder da』

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