クロエのレクイエム(Chloe's Requiem)のネタバレ解説・考察まとめ
『クロエのレクイエム』とはゲームサークル「ブリキの時計」が2013年10月2日に無料配布したフリーホラーゲーム。「ブリキの時計」は当時19歳のぬばりんと16歳のななしのちよによる女性2人のサークルであり、製作者の破格の若さとゲームの完成度の高さが話題となった。主人公のミシェルはバイオリンの演奏で脚光を浴びる早熟の天才少年。そんなミシェルは家族との確執が原因で飛び出した夜、迷い込んだ先の屋敷でピアノ好きな黒髪の少女クロエと出会い、この屋敷にかかった呪いを解いてくれるように頼まれる。
一方その頃、ミシェルの実家では父親とメイドを殴り飛び出したミシェルの捜索が行われていた。捜索を指揮する警察の面々に、ピエールが「ミシェルは、僕の兄は大丈夫なんですか!」と詰め寄る。ミシェルと仲違いしていたものの、心の底では彼を大事に思っていたピエールは、1年間もミシェルを無視し続けた自分の幼稚さを悔やんで涙を流す。
「ミシェルに何かあったら謝ることもできない……」と思い詰め、ピエールは神にむかって兄の無事を祈る。
ミシェルはクロエの亡骸を見下ろし、「僕の行いは許されないだろうけどこれからシャルロットの事を話し、お父様とメイドとピエールに謝るんだ」と前を向くのだった。
『クロエのレクイエム』のゲームシステム
容量・圧縮形式は85.4MB・ZIP、制作ツールはRPGツクールVX、対応言語は日本語。配布サイトからダウンロードしてプレイする。
移動はカーソルキーの上↑下↑右→左←で決定する。
本作は製作者のぬばりんが影響を受けたフリーホラーゲーム「魔女の家」を踏襲し、現在のフリーゲームの主流として認知された、フラグを立ててストーリーを進行させていく探索型ホラーアドベンチャーである。
クラシック音楽が題材の為、BGMではショパンやベートーヴェン、サティなど実在の曲が多数使われている。グラフィックもキャラクターの表情の変化が魅力的。
テーマソングである『クロエのレクイエム』はななしのちよ作曲で、音楽を愛しながらも大人の欲望に翻弄されていくクロエとミシェルの悲劇や、呪いに引き裂かれる2人の切ない心情を美しいメロディが盛り上げていく。
本作には謎解き要素もあるが、いずれも簡単なので難易度は髙くない。
アイテムは右手と左手に最大2個装備できる。使いたい場面ではアイテムを装備してから決定キーを押す。手に入れたアイテムを使用する場所やタイミングがわかりにくいが、「ブリキの時計」公式サイトや公式ブログにヒントがあるため参考にするといい。
何かを書く場合は羽ペン+インクと画用紙の両方を装備する。ストーリー上重要なアイテムとなるクロエのお守りは、クロエに羽ペン+インクと画用紙の両方を渡さなければ作成できないので要注意。
ラストのクロエ本体との対決では、小部屋に入る前に銀のナイフを装備していないと即ゲームオーバーとなる。
また画面左上にはハートマークが5個表示される。これはライフであり、ミシェルの呪いの汚染度を表す。
謎解きに失敗したり敵の攻撃を受けてもハートは1個しか減らないが、例外としてミシェルがバイオリンを取りに1階ホール右上の部屋へ入った時、白髪の少女(クロエ本体)の攻撃を1度でも受けてしまうとゲームオーバーとなる。このパート及びラスト手前でアランの姿をとったクロエの呪いから逃げる際は、逃げゲー要素が重視されており、上手く距離をとる慎重さが要求される。
アランの姿をとったクロエの呪いを撃破するには、隠し部屋で彼の追跡を巻き、金槌で3回ピアノを殴る。この時隠し部屋の外に逃げてしまうとストーリーが進まず、クロエ本体との対決にも突入できない。ちなみに隠し部屋の右の扉は施錠されており、左の扉からしか出入りできないので一時離脱の際は左から出る。離脱してもまた隠し部屋に入れば追いかけっこ再開となる。
階ごとの呪いを晴らすにはその都度該当する楽譜をさがしだし、クロエがピアノ、ミシェルがバイオリンでその曲を演奏しなければならない。バイオリンは1階ホール右上の部屋にあるが、この部屋へ行く通路は胸像が塞いでいる。
1階西客室の亀裂に手を入れて刷毛を、1階図書室のテーブルにて羽ペン+インクを装備し、1階ホールの絵の男性を塗り潰せば胸像がどくのでこの隙に部屋へ入る。バイオリンは部屋の奥の宝箱に収納されているが、バイオリンを入手するなり白髪の少女が突撃してくるので部屋の外までダッシュで逃げる。
また1階西客室の目のない人形を調べると「目をくれる?」という選択肢が出るが、東客室の人形の目玉を装備してない状態で「はい」と答えてもゲームオーバーになる。2階ホールのクロエのもとに戻り、「クロエの目を取る」の選択肢を選んでもゲームオーバーとなる。東客室の人形の目玉をハサミでくりぬき、その目玉を装備した後に西客室の人形の選択肢に「目玉をあげる」と答えることが重要。
ハートの残量が0になるとミシェルの精神が完全に汚染され、探索の続行が不可能になるのみならず、クロエに話しかけようとすると彼女の殺害に走ってゲームオーバーとなる。
ハートを回復させるにはクロエと話す必要がある。なおクロエ自身はミシェルの探索に同行せず、1階・2階での楽譜捜索時は2階ホール、3階・地下1階での楽譜捜索時は3階ホールで待機しているので好きな時に話しかけにいくことができる。
しかしこのハートをわざと0にしないと進めないパートがある。アランの部屋で『愛しい娘の成長記録』を読む時、その衝撃的な内容にミシェルのハートは一気に3個分削れ、「続きを読むか」の選択肢に「読む」と答えると、さらに削れて0となる。
ハートが0になったミシェルは自動的にクロエの部屋に走り込み、怒りに任せて家具を破壊していくのだが、本棚を壊した時に重要なキーアイテムであるクロエの日記を発見するので、この日記を読むまでクロエに話しかけてはいけない。
3階楽屋に入るとチェロが破壊されており、チェロ殺しの犯人(=楽器)を推理し、犯人に制裁を加えないとアランの部屋の鍵が手に入らない。チェロを破壊した犯人のヒントは、3階ホールに並ぶ椅子に右端から順に聞き込みしていくと得られる。犯人はフルートなので、金槌を装備した後楽屋へ行き、保管されたロッカーごとフルートを叩き壊す。するとロッカーの残骸の中からアランの部屋の鍵が出てくる。
地下1階東物置のピアノ演奏時は、2階通路奥の電話で告げられた数字「6321172」と、ミシェルがピアノの前に座ると画面上に出る表示、「ドA レS ミD ファ←ソ↑ラ↓シ→」を照合する。
数字のメモ「6321172」と、ピアノ横の紙のヒント「ドは1」をあわせて考えると、「ラミレドドシレ」の順にキー入力でピアノを弾くのが正解となる。
トゥルーエンドに行くにはクロエの部屋で2体の汚れた人形を入手・装備し、彼女の部屋のソファーに座らせる。すると人形が鈴をさしだすので、それを中庭でクロエの残骸が消滅後、近くを徘徊しているブランに付ける。ブランに鈴を付けるとブランから代わりにくすんだ鈴をもらえるので、これをクロエの部屋の暖炉で使用し、浄めてからノワールに付ける。
この時暖炉の炎が消えかけているので、暖炉が呟く「記された呪い」ことクロエの日記、「描かれた呪い」こと『愛しい娘の成長記録』をアイテム装備し炎に投げ込むと、クロエの友達の兵隊の声が甦る。
『クロエのレクイエム』のアイテム
燭台
屋敷1階ホールに入ってすぐの所にある。屋敷を出て扉の右側の灯りを調べると、燭台に火が点けられる。2階へ通じる階段入口の蜘蛛の巣を焼き払うのに必要なアイテム。
刷毛
1階西客室の棚を調べると手に入る。
ハサミ
1階東客室のテーブルで手に入るアイテム。2階南使用人部屋のテーブルにて家族3人の絵からクロエの絵を切り抜く時と、3階厨房のドアノブ代わりに使用する。
人形の目玉
東客室の人形の前で装備・使用すると手に入るアイテム。これを西客室の目玉のない人形に渡すと、お礼に『ピアノソナタ第14番月光』の楽譜が貰える。
『大ソナタ悲愴』
ミシェルと出会った時にクロエが2階ホールのピアノで弾いていたベートーヴェンの名曲。ベートーヴェンが自ら表題を付けた珍しい一曲であり、彼の特別な想いがこもっているとされる。
『ピアノソナタ第14番月光』
1階東客室の人形に西客室の人形の目玉を与えると入手できるアイテムであり、ベートーヴェンが作曲したクラシック曲。彼が恋したジュリエッタに捧げたものらしい。
2階ホールでクロエのピアノと共にこれを演奏すると1階の呪いが晴れる。
羽ペンとインク
1階図書室のテーブルで入手できるアイテム。2つセットになっており、後に行われるクロエ主宰の晩餐会にてメニュー表を書き換えるのやクロエがお守りを作るのに使用する。
バイオリン
ミシェルがクロエに言われて1階へ取りに行ったアイテム。
刷毛+羽ペン・インクを装備し、壁の絵画の男性を塗り潰すと通路を塞いでいた彫像が移動する。この通路を通って行ける右上の部屋の宝箱にしまわれている。
家政婦のメモ
南使用人部屋の床でミシェルが拾ったアイテム。クロエの屋敷に勤めていたA、B、C、D、E、5人のメイドの特徴が記されている。地下1階の通路にある頭蓋骨に食べさせると隠し部屋への鍵を入手できる。
テディベア
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目次 - Contents
- 『クロエのレクイエム』の概要
- 『クロエのレクイエム』のあらすじ・ストーリー
- エンディング
- ノーマルエンド1
- ノーマルエンド2
- バッドエンド1
- バッドエンド2
- トゥルーエンド・クロエ
- 『クロエのレクイエム』のゲームシステム
- 『クロエのレクイエム』のアイテム
- 燭台
- 刷毛
- ハサミ
- 人形の目玉
- 『大ソナタ悲愴』
- 『ピアノソナタ第14番月光』
- 羽ペンとインク
- バイオリン
- 家政婦のメモ
- テディベア
- クロエの母親の日記
- 家族の絵
- 小太鼓
- 『トロイメライ』
- 金槌
- 見取り図
- 画用紙
- お守り
- 『愛しい娘の成長記録』
- 工具
- メニュー表
- 『テーブルマナーの手引書』
- 鈴
- くすんだ鈴
- 『クロエの日記』
- 『カプリース24番』
- 数字のメモ
- 『夜想曲第20番』
- 頭蓋骨
- 銀のナイフ
- 『クロエのレクイエム』
- 『クロエのレクイエム』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ミシェル・ダランベール
- クロエ・アルデンヌ
- サブキャラクター
- ピエール・ダランベール
- シャルロット
- ミシェルの父親
- アラン・アルデンヌ
- クロエの母親
- メイドD
- ブラン
- ノワール
- 兵隊の人形
- クロエ
- 『クロエのレクイエム』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「私は人間。だれかのお人形じゃない。ペットでもない。そう思いたいのにみんなそう思ってくれない、お父様も、お母様も、みんなみんな」
- 「どんなに練習しても必ず批判される、どんなに努力しても意味がないって思い知らされる!」
- 「お祈り」
- 「……そうだね。楽器に罪を押し付けるのはいつも、僕らのほうだ」
- 「あなたにクロエお嬢様を救う資格があるのか。それを、確かめたかったのです。私はこの姿になってからもクロエお嬢様のことが心配で、ずっと見守っておりました。どうかお嬢様をお救いください、私には見守ることしかできません」
- 「おやすみクロエ。もう1人のクロエも」
- 『クロエのレクイエム』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- キャラクターデザイン担当のぬばりんは、血が繋がったキャラクターの顔は似るように心がけている
- 本作のキャラクターは皆赤いリボンをしており、呪いに毒されるとリボンの色が黒ずむ
- 本編に忠実な内容のものと、本編以降の事件を描いたもの、2冊の小説が刊行されている
- ニコニコ超会議2015において本作をモチーフにしたお化け屋敷が出展される
- 本作の漫画版『クロエのレクイエム -rêveur-』は、ミシェルとピエールが住む屋敷に出没する、不気味な女性の正体に迫る話である
- テーマソングの『クロエのレクイエム』は通常バージョン・オルゴールバージョン・スネアドラムバージョン・オーケストラバージョン・バイオリンバージョン・連弾バージョンの6種がある
- 『クロエのレクイエム』の関連サイト