じいさんばあさん若返る(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『じいさんばあさん若返る』とは新挑限によるおしどり夫婦コメディ漫画。2019年10月26日に作者Twitterとpixivにて発表された。2020年2月29日にはニコニコ漫画にて連載が開始された。KADOKAWAから2020年6月に1巻が発売。同年11月には2巻が発売された。それを記念としてYouTubeにてボイスコミックが公開された。青森のとある農村に住んでいる老夫婦の正蔵とイネはある日突然若返った。2人は若返りに戸惑いつつも新婚時代にすることができなかった夫婦生活を楽しむことにする。

正蔵とイネが若返るきっかけとなった夢に出てきた砂時計。砂時計がひっくり返ることで若返りの姿と老人の姿を行き来できる。正蔵とイネは砂時計の仕掛けに気づいてからは任意でひっくり返して若返りの姿と老人の姿を調整している。

ひっくり返すことで若返ることができるが不老不死になるというものではなく、砂時計の中に入っている砂は少しずつ外に排出されているため中の砂が尽きた時に寿命も尽きる。

『じいさんばあさん若返る』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

正蔵「歳とったくらいで人生見限るなんてワシもまだまだ若すぎるな!」

砂時計の夢を見た正蔵は元の老人の姿に戻ってしまった。正蔵は年老いた自身より若い姿の方がイネはいいだろうと落ち込んでしまう。しかし、イネは外見ではなく正蔵という1人の人間を好きになり愛したこと、「老い」を責める必要はないと正蔵に言う。
正蔵は無意識に「老い」を悪いことと決めつけて、できないことを諦める都合のいい理由にしていたことに気づく。そして、予定していた新婚旅行の熱海旅行には老いた姿で行くことを決意して「歳とったくらいで人生見限るなんてワシもまだまだ若すぎるな!」と言った。

イネ「私の旦那だ」

正蔵だけ元の老人に戻ってしまい、イネと一緒に買い物に行くと周りの視線を集めてしまうことを気にしていた。正蔵は外見ではイネと祖父と孫くらいの年の差があることから、外では夫婦じゃないふりをした方がいいと遠慮してイネから距離を取る。そこへ、店員から孫へのプレゼント選びをしているのかと聞かれて、正蔵は無難にイネを孫として扱おうとした。そこに、イネは正蔵を「私の旦那だ」と堂々と店員に言った。

イネは周囲を気にしてしまう正蔵の気持ちを汲みつつ、「妻」以外のポジションは嫌だという気持ちを表わした。

正蔵「ときには見守らないこともワシら大人の役目だべ」

北町高校の文化祭も残すところキャンプファイヤーだけとなった頃。将太は未乃をキャンプファイヤーでのダンスに誘おうとしていたが、未乃の側にはイネがいたためなかなか声をかけることができずにいた。そこに、イネを迎えにきた正蔵がやってきて将太に会う。正蔵は将太の胸中を察して、未乃に先に帰ると告げてイネを連れて帰ることにする。
イネはキャンプファイヤーが見たいとごねていたが、正蔵はそれを流して将太に「頑張れ」という合図を送り、学校を後にした。そして、将太は無事に未乃を誘うことに成功した。

帰りの車の中でキャンプファイヤーと未乃のダンスを見たかったとぼやくイネに、正蔵は子供の領域へ踏み込みすぎないようにたしなめ、「ときには見守らないこともワシら大人の役目だべ」と言った。

『じいさんばあさん若返る』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

リンゴ台風とは平成3年に起きた台風19号のこと

作中に出てきた正蔵とイネの結婚記念に植樹されたリンゴの木が折れてしまった原因の「リンゴ台風」とは、平成3年に実際に起きた災害のことである。

平成3年に起きた台風19号ミレーレによって東北地方でリンゴ農家が大きな被害を被ったことから、東北地方では「リンゴ台風」と呼ばれている。この台風によって収穫前のリンゴが木から落ちてしまい、生食用として出荷できなくなってしまった。そのため、ジャムなどの加工用に出荷されることとなった。
また、木がダメージを受けたことでリンゴの収穫量の回復までに時間がかかるという長期的な問題も発生した。このときの被害を教訓として、現在の東北地方のリンゴ農家は台風が近づいた場合は収穫可能なものは早めに収穫するなどして対策をしている。

ちなみに、リンゴ台風時に木に残っていたリンゴは「落ちないリンゴ」として販売されて、当時の受験生たちから人気の商品となった。

正蔵とイネの若返りを目撃して驚く未乃の横に描かれた猫はSNSで人気の猫

左側に描かれた猫

始めて正蔵とイネの若返りを見て驚いた未乃が現実を受け入れられずに放心する際に宇宙を彷徨うような描写があり、その横に猫が描かれている。これは、SNSで人気になっている猫の画像である「宇宙猫」が元ネタである。

「宇宙猫」とは名の通り宇宙を背景にして猫の写真が設置されたものである。猫の顔は真顔、もしくは驚き顔が多い。SNSでは理解を超える現象(もしくは画像、文章など)に出会ったとき、または何かを悟った時などに使用されている。
海外では「Space Cat」もしくは「Galaxy Cat」と呼ばれている。

4巻描きおろし漫画『悪魔の軽トラ』は有名走り屋漫画のパロディ

4巻に収録されている描きおろし漫画『悪魔の軽トラ』は走り屋漫画である『頭文字D』のパロディが随所に描かれている。車や効果音の描き方などが『頭文字D』に寄せられている。
また、『悪魔の軽トラ』の異名の元ネタは漫画『湾岸ミッドナイト』に登場する「悪魔のZ」から来ていると思われる。

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