覆面系ノイズ(Anonymous Noise)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『覆面系ノイズ』とは、福山リョウコによって『花とゆめ』で連載されていた少女漫画である。本作はアニメや実写映画化などで話題となった。
物語は主人公ニノと初恋の相手モモ、そして幼少期にニノを歌で励ましてくれた謎の少年ユズの3人が再会するところから始まる。ニノのことを想い続けていたモモとユズ。そして、二人に再会したニノはユズが行っていた覆面バンド「in No hurry to shout」のアリスとしてデビューする。

『覆面系ノイズ』の概要

『覆面系ノイズと』は、福山リョウコによって『花とゆめ』で連載されていた少女漫画である。本作は2017年にアニメ化、そして同年11月には中条あやみや志尊淳といった若手実力役者によって、実写映画化もされた。
作中に登場する覆面バンドin No hurry to shout(通称イノハリ)とSILENT BLACK KITTYはアニメでキャラクターを演じた声優たちによって実際にCDデビューしイベントを行っており、実写映画のほうに至っては作詞作曲をMAN WITH A MISSIONが務めるという異例の豪華スタッフによって制作されたことでも話題となった。

本作は少女漫画ではおなじみの三角関係の恋模様が描かれているだけではなく、音楽家として成長していくキャラクターたちの友情や苦悩を描く「音楽漫画」でもある。

『覆面系ノイズ』のあらすじ・ストーリー

幼いころの出会いと別れ

歌うことが大好きな主人公有栖川仁乃(通称ニノ)は幼いころ、初恋の相手で家が隣同士だった榊桃(通称モモ)との突然の別れを経験する。それは、モモの両親が離婚したことにより、モモの母が多額の借金を背負い、逃げるために夜逃げを決行したからである。モモは別れる直前にニノの歌声を目印に再会しようとニノと約束をしていた。しかし、ニノはモモと別れた後しばらくショックで好きな歌が歌えなくなってしまった。一人でモモとの約束をした場所である由比ヶ浜でニノは杠奏(通称ユズ)に出会う。

ユズは当時病院に入院しており、看護婦さんの見回りが来ない水曜日の午後だけ病院を抜け出して由比ヶ浜で作曲をしていた。ユズは音楽家であった父親の死によって、大好きな歌が歌えなくなっていた。そこに現れたニノの声を聴いて自分の代わりに歌を歌って欲しいとお願いし、週に一回ニノに自分の作った歌を歌ってもらった。モモとの別れで元気がなくなっていたニノもユズの作った歌を歌って次第に元気を取り戻していった。
だが、ユズは突然病院を転院することになる。ユズもモモと同様ニノの歌声を目印に再会することを約束し、ニノのもとから離れていった。約束した二人の目印になるためにニノはその日から毎日由比ヶ浜で歌を歌っていた。そして、二人に会えないまま7年という時がたった。

再会

高校生になったニノの高校生活が始まった矢先、子供のころ聞いたユズの曲が校内で演奏されていることに気づいた。それは、モモがいなくなったことで落ち込んでしまっていたニノをユズが励ますために作った歌だった。音のする教室へ行くと幼いころより大人になったユズがいた。
覆面バンドin No hurry to shout(通称イノハリ)としてデビューしていたユズはボーカルとしてバンドにニノを誘う。ニノは目印である自分の声をモモに聴いてほしいという気持ちと、モモを恋しく想って叫び出したい心をユズの歌に乗せたいと参加を承諾し、ボーカルのアリスとして歌う日々がはじまった。
一方、ニノと同じ高校に通っていたモモは、すでに作曲家としてプロになっていた。しかし、昔ニノのためにと作った歌を親の借金を返すためにとお金に換えてしまっていたことに後ろめたさを感じ、ニノと距離をとっていた。しかし、モモにどのようにつらく当たられてもまた声をかけてくるニノのまっすぐな想いにモモの凍ってしまっていた心も動かされるのだった。

『覆面系ノイズ』の登場人物・キャラクター

主要人物

有栖川 仁乃(ありすがわ にの/演:中条あやみ)

CV:早見沙織
本作の主人公の少女。通称ニノ。バンド「in No hurry to shout」(イノハリ)ではアリスの名前でボーカル・ギターを務める。幼いころに別れたモモに自分の歌を届けるため、6年前から由比ヶ浜で毎朝歌い続けている。イノハリに参加したのはユズに誘われたことがきっかけ。そのユズからは「アリス」と呼ばれている。
性格はマイペースで鈍感である。

杠 花奏(ゆずりは かなで/演:志尊淳)

CV:山下大輝(アニメ)、高橋李依(アニメ幼少期)、沢城みゆき(ドラマCD)
幼いころニノと出会った曲作りをする少年。通称はユズ。ニノと同じ高校1年生だが、1年留年しているため歳は1つ上。幼少期から音楽に囲まれた過程で育っていたが、父親が飛行機事故で亡くなったことが原因で歌を歌うことができなくなる。また母親の異常な音楽への拒絶からユズは大好きな音楽そのものを自由に奏でることができなかった。母親は愛する夫の死を受け入れられず、夫は遠くに行ってしまったと信じ込み、音楽=大切な人と離ればなれになる卑しいものと考えるようになり、そんなものを自分の最愛の息子にさせるわけにはいかないとユズから音楽を取り上げていたのだ。そんな考えを持つ母親をどうしても見捨てることができなかったユズは母の教えを守りながらも、どうしても歌えない自分の代わりに歌を歌ってくれたニノに歌ってほしいとあふれてくる音楽を静かに書き溜めていた。
結局ユズが高校生になっても母親の考えは変わることなく、精神的に不安定な母親を支えるためにユズは学校を1年留年した。そんな学校で再会した当時の幼馴染たちに、母親に内緒にする形で音楽を一緒にやらないかと説得され、覆面という顔が出ない形でバンドデビューをした。しかし、バンドでニノに歌ってほしい歌を演奏すればするほどユズの中で自分の曲がニノ以外に歌われることに違和感を感じ、この気持ちのまま音楽を続けることはできないと一時はバンドを解散させてしまうことまで考えた。だが、その後ニノと再会し念願の自分の歌をニノに歌ってもらったことでニノへの気持ちも大きくなっていった。
イノハリではチェシャという名で、ギターを務めている他、作曲を手掛けている。
ニノのことが大好きだが、ツンデレであるため好意を素直に口にすることはない。
最終的にはニノはモモと恋人になることを選ぶ。しかし、ニノは恋愛的な好きではなくとも、ユズのことは恋人より特別な唯一無二の大切な人であると伝えるのだった。ユズもニノに対し何度も気持ちを伝えてきたが、ニノの迷わない目を見て二人を応援していくことを決意した。

榊 桃(さかき もも/演:小関裕太)

CV:内山昂輝、村中知(アニメ幼少期)
歌とダジャレを愛する高校1年生。ニノの幼馴染で、通称モモ。
ニノの初恋の相手である。モモは、親の夜逃げによってニノと離ればなれになってしまったというツライ過去をもつ。借金取りから逃げる日々の中で唯一モモが安らげるものがニノと一緒に歌を歌った思い出だけだった。そして、少しでもお金を稼ぐためにストリートミュージシャンとして路上ライブを行っていた時に音楽会社社員の久瀬 月果(くぜ つきか)に拾われ作曲家としてプロになった。プロになったモモにとって歌はお金を稼ぐための手段でしかなくなり、いつかニノに歌ってもらおうと溜めていた歌ですら、お金に換える生活をしていた。
しかし、高校でニノと再会し、最初は後ろめたさから距離を置いていたが、本心ではニノに自分が作った歌を歌ってほしいと思っており、昔と変わらないニノに触れニノを恋しいと思う気持ちを募らせていった。
イノハリのライバルバンドSILENT BLACK KITTYにベースとして参加している。
ニノのことが好きで、ユズとは恋敵の関係にあるが、普段は仲が良い。

悠埜 佳斗(はるの よしと/演:杉野遥亮)

CV:小野大輔
オネエ言葉を話す軽音部部長。通称ハルヨシ。高校2年生でユズたちの先輩にあたる。かつて音楽から離れていたユズを軽音部に誘った人物。イノハリではクィーンの名でベースを担当する。

珠久里 深桜(すぐり みおう/演:真野恵里菜)

CV:高垣彩陽
軽音部のボーカル。元々イノハリで口パクのアリスに声を当てていた。イノハリ脱退後はSILENT BLACK KITTYのボーカル・ギターとして活動する。ユズのことが好きだったが、ハルヨシに告白されて彼と付き合い始める。その後はハルヨシのことを意識するようになる。

黒瀬 歩(くろせ あゆみ/演:磯村勇斗)

CV:福山潤(アニメ)、鈴村健一(ドラマCD)
関西弁で話す高校1年生。通称クロ。イノハリではドラムのハッタ―として活動している。兄の婚約者の羽依のことが好き。

芸能界

梁井 壬散(やない みちる/演:渡辺大)

CV:浪川大輔
イノハリのマネージャー。通称はヤナ。いつもイノハリのわがままに振り回されている人物。ヘビースモーカーな一面もある。

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