歪みの国のアリス(歪アリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『歪みの国のアリス』とは、携帯電話向けホラーゲームである。サンソフト内のGセクション部が「ナイトメア・プロジェクト」名義で開発。2006年に配信を開始し、2015年にスマホ向けリメイクされた『歪みの国のアリス~Encore(アンコール)』を配信。配信当時の携帯電話向けゲームの中でも有名なヒット作となった。主人公「葛木亜莉子(かつらぎありこ)」通称「アリス」は、目を覚ますと学校の教室にいて、フードを被った男「チェシャ猫」と共に「シロウサギ」を探す事になる。

時間くん(じかんくん)

時間を操る事出来る生き物。
首が無いため女王から嫌われ、お城の地下牢に閉じ込められていた。
亜莉子に姿は見えず声も聞こえない。そのためグラフィックは存在しない。
チェシャ猫には時間くんが見え会話も出来る。
チェシャ猫曰く人間の腸の姿に似ているらしい。
かなりの悲観主義者で、亜莉子が気持ち悪がり「嫌い」と言ったため生きる気力を失くし、アリスの手にかかって死にたいと言う。
亜莉子が拒否するとならば自殺すると言い出したが、亜莉子の説得により生きる気力を取り戻した。

芋虫(いもむし)

寝袋に入った小人。
選択肢によっては登場しない。
女王の城から時間くんを探さずに脱出すると出会える。
チェシャ猫を頼りにしている亜莉子に「猫に騙されるな」と忠告する。
亜莉子が忠告を受け入れ芋虫を信じるとNORMAL END「赤い猫」、忠告を受け入れずチェシャ猫を信じるとNORMAL END「僕のアリス」になる。
なお芋虫はどちらのルートでもチェシャ猫に踏み潰される。

グリフォン

鷹の頭と翼に、ライオンの体、蛇の頭が尻尾になっている想像上の生き物。
主に喋るのは蛇の頭の方で、鷹の方も意思を持っているが知能が低い。
温厚な性格で、亜莉子に再会すると「随分大きくなったなぁ」と言った。
6章で台詞のみで登場。
選択肢によっては登場しないこともある。
5章で女王の館から出る際に左を選ぶと会うことが出来る。

あんぱん

ボディビルダーのような外見をしているあんぱん。
頭には塩漬けの桜が乗っている。
こしあんとつぶあんがおり、どちらが真実のあんぱんかを争い、日々戦争をしている。
亜莉子はあんぱんたちの戦争に巻き込まれ、地球最後の日につぶあんとこしあんどっちのあんぱん食べるかと問い詰められる。
亜莉子はアリスとしてこしあんかつぶあんかどちらかを選ぶように言われるが、自分はアリスじゃないと言った事であんぱんたちは怒って亜莉子を泉に突き落とした。

『歪みの国のアリス』の世界観・用語

歪みの国

幼少期の亜莉子が作った精神世界。
歪みの国の住人は亜莉子のストレスを吸収し亜莉子を救っている。
当時はシロウサギが亜莉子の一番側に居た。
亜莉子は歪みの国に依存し、アリスと呼ばれないと返事をしない時期もあった。
しかし由里に歪みの国の存在を強く否定されたため、亜莉子は歪みの国を閉じて忘れてしまう。
シロウサギだけは雪乃として亜莉子の側にいることにし、亜莉子の歪みを吸い続けていた。
そのため歪みを吸いすぎてしまったシロウサギ自身も歪んでしまう。
亜莉子は歪みの国の事を覚えていなかったが、住人達は亜莉子を覚えていたため「おかえり僕らのアリス」と亜莉子の帰還を喜ぶ。
住人達は亜莉子の事を「アリス」と呼ぶ。

食べ物

本作の中で食べ物についての表現がいくつかある。
ストロベリージャムパンは人の形をし、動いて喋り意思がある生き物であるが、食べ物である。
亜莉子はストロベリージャムパンの欠片を食べて体が小さくなった。
亜莉子自身もハリネズミなどに食べ物という認識を受けており、腕が二本あるんだから一本欲しいと言われるなどする。
アリスの肉は極上とされており、亜莉子を食べようとしてる歪みの国の住人も多い。
チェシャ猫は亜莉子がお腹が空いたのかと思うと、自分を食べるように言う。
あんぱん達はこしあんかつぶあんかを争っている。勿論彼らも食べ物である。
またあんぱんを食べると体が大きくなる作用がある。
廃棄処分になる予定だった廃棄くんもまたパンであり、パンであるために食べられたいという衝動を持っている。
このように人型で意思を持った生き物も食べ物であることが多く、チェシャ猫や亜莉子など食べ物では無いものも食べ物という認識がある。

『歪みの国のアリス』の見所/名言・名セリフ/名シーン・名場面

チェシャ猫の存在感

ギザギザの歯でニッタリと笑っているチェシャ猫。不気味な外見であるが本作屈指の萌えキャラ。

不気味な存在で、ホラーが苦手な人にとってはそのビジュアルだけでもドキッとしてしまうチェシャ猫。
しかしチェシャ猫は亜莉子に優しく、喋り方は穏やかで、亜莉子を守る存在である。
亜莉子も初めはチェシャ猫を怖がるも、慣れてくるとチェシャ猫への態度が軟化していく。
そんな二人の会話はホラー作品であることを忘れてしまう程コミカルで可愛らしい。
だがストーリーの中で何度か亜莉子とチェシャ猫がはぐれる事があり、その度に包帯の女が登場する。
初めは不気味な存在であったチェシャ猫が居ないと、亜莉子もそして恐らく多くのプレイヤーも不安な気持ちになってしまう。
途中、チェシャ猫は女王さまによって首を切られてしまうが、頭と胴体が分かれても平然と生きており、胴体は胴体で行動し、頭は亜莉子が抱えて歩く事になる。
チェシャ猫の生首はそれまでのチェシャ猫と同じ要領で話をするため、生首になっても亜莉子との掛け合いは相変わらずコミカルで可愛らしい。
本作を知らない人が見たら怖ろしいであろう亜莉子がチェシャ猫の生首を抱えている画像も、プレイ後は微笑ましく見えてしまうのではないだろうか。
ノーマルエンド「赤い猫」「僕のアリス」では、亜莉子が時間君を探さずに城を出た事で歪みの国の天理が落ち、チェシャ猫が自分の意思を芽生えさせる。
歪みの国の住人は亜莉子の意思を越えられない存在であったが、チェシャ猫は亜莉子の意思を越え、亜莉子を自分だけのものにしようとする。
「赤い猫」では亜莉子に拒まれ亜莉子を食べてしまい、「僕のアリス」では亜莉子がチェシャ猫を受け入れ二人でどこかへ行ってしまうというもの。
チェシャ猫のファンの間では、チェシャ猫が明確に亜莉子への執着を示すため、ある意味ハッピーエンドだと言われている。
トゥルーエンドでは引越しの日に亜莉子の前に再び姿を現し、亜莉子はチェシャ猫と共に祖母の家に向かう事になった。
キャラクター人気ランキングでは2位の亜莉子と差をつけてチェシャ猫が1位となっている。

コミカルな描写

カビだらけになった廃棄くん。ちょっと不良っぽいグレた口調が印象的。

本作はホラーゲームであるが、キャラクターの個性が濃く、要所要所にコミカルさがあるのが魅力。
例えばストロベリージャムパンたちは食べられたいという衝動が強く、過去にドードーを満腹死させてしまったことがある。
そのストロベリージャムパンの中の一人がウカレウサギによって床に落とされ、廃棄処分になってしまう。その名も「廃棄くん」。
廃棄くんは食べてもらいたいという願望はあるが、誰もカビだらけの廃棄くんを食べる事はできない。
やさぐれてしまう廃棄くんであるが、亜莉子と出会い運命は変わる。
廃棄くんは亜莉子を捕まえ、その際に「俺を食え。うまそうに、だ」「食わなければ殺す」と言った名言を発する。
廃棄くんは亜莉子がアリスであると気づくと、これを機に廃棄処分になろうと思うが、亜莉子はそれを拒絶。
亜莉子は廃棄くんを公爵夫人に食べさせることにより、廃棄くんの夢の夢を叶え、公爵夫人が食中毒になり食べるのを止めた事で公爵さまの要望にも応えることが出来た。
他にも亜莉子とチェシャ猫の何気ない会話もクスリと笑えるものが多く、凡そホラーとは言えないこういったコミカルさが、ホラーゲームが苦手な人にも受け入れられ、本作のヒットに繋がったといえる。

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