歪みの国のアリス(歪アリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『歪みの国のアリス』とは、携帯電話向けホラーゲームである。サンソフト内のGセクション部が「ナイトメア・プロジェクト」名義で開発。2006年に配信を開始し、2015年にスマホ向けリメイクされた『歪みの国のアリス~Encore(アンコール)』を配信。配信当時の携帯電話向けゲームの中でも有名なヒット作となった。主人公「葛木亜莉子(かつらぎありこ)」通称「アリス」は、目を覚ますと学校の教室にいて、フードを被った男「チェシャ猫」と共に「シロウサギ」を探す事になる。

部屋の中に居てパンとシチューを差し出してきた男。

【NORMAL END】END1 「仲間はずれ」

雪乃の誘いを断ったルート。

亜莉子は雪乃の誘いを断り家に帰った。
ドアの前にチェシャ猫が現れ、亜莉子に「まだ早いよ」と言う。
しかし亜莉子は、自分にシロウサギなど関係ないと言ってチェシャ猫の言葉を聞かず家の中に入った。
家の中は真っ暗で電気をつけようとすると、母と、母の婚約者の武村が「恥ずかしい」と言って電気を付けるのを拒む。
だが亜莉子は電気をつけると、二人は無残な姿で殺害されていた。
亜莉子は驚くが、包丁が腹部に刺さっている武村が「君がやったんだ」と亜莉子に言う。
亜莉子は家を出て隣の家の人に助けを求めた。
しかし隣人も見るも無残な姿で死亡しており、よく見れば街は死体だらけであった。
自分だけが生きてることを知った亜莉子は「私だけ仲間はずれ」と呟く。
そこへ母と武村が来て「一緒に行こう」と言う。
その言葉に亜莉子は安堵し、武村に刺さっていた包丁を抜きそれを自らの首へ向けた。

第4章 真夜中のお茶会

お茶会をしている「ネムリネズミ」。

亜莉子はチェシャ猫に連れられ、公園に辿り着いた。
チェシャ猫曰く、ここで「ネムリネズミ」と「帽子屋」がお茶会をしているらしい。
普通の公園の中にテーブルと椅子があり、席には赤子ほどの大きさがある「ネムリネズミ」と、シルクハットを首まで被った「帽子屋」がいた。
テーブルの上はおびただしい数の時計と、割れたティーセット、テーブルに突き刺さったフォークがあり荒れていた。
亜莉子を見ると帽子屋が「今何時だと思っているんだ」と怒り出し、亜莉子が「三時」と答えると、「三時になってからどれだけ経ったと思っているんだ」と言う。
一方、ネムリネズミは亜莉子にお茶を入れようし、途中で眠りについていた。
亜莉子は二人にシロウサギの話をし、どこかで目撃したか聞く。
すると「ついさっき」「随分昔」と二人同時に答えた。
亜莉子は二人の回答に頭を整理しつつ、どこへ行ったか聞くと、ネムリネズミは近くにあったバラ園を指差した。
バラ園の入り口のアーチには白薔薇が生えており、亜莉子が近づくとチェシャ猫が緊張した声を上げて亜莉子を呼び止めた。
亜莉子が振り向くのと同時に白薔薇が亜莉子を襲い、亜莉子は身動きが取れなくなってしまう。
チェシャ猫に助けを求めると、チェシャ猫は自分の爪で自分の腕を切り割き、その血に反応して白薔薇はチェシャ猫を襲う。
それに構わずチェシャ猫は薔薇の蔓から亜莉子を解放した。
亜莉子は自分を助けるために白薔薇に襲われるチェシャ猫を助けるために、お茶会のテーブルの上にあったものをあれこれ投げつけ、頭に血の上った亜莉子を止めに入った帽子屋を白薔薇に投げつけた。
帽子屋の手にはティーポットがあり、そのお湯が白薔薇にかかり白薔薇はチェシャ猫を解放した。
白薔薇が血を吸うのは常識だと言って帽子屋は怒るが、亜莉子はその常識を知らない。
謝る亜莉子にチェシャ猫は「アリス、僕らのために泣くのはよくないよ」と言って手を握り、またもチェシャ猫の手が暖かくなり、亜莉子の動悸は治まった。
それと同時に亜莉子はチェシャ猫の顔が歪んだように見えたが、もう一度見てみるといつものニンマリとした顔であった。

亜莉子はどうやって薔薇園を通るか考える。
帽子屋曰く、白薔薇は四時になると寝てしまうという。
しかし亜莉子たちが来てから時計はずっと三時のままで、全く動いていなかった。
ならば時計の針を進めればいいのではないかと、亜莉子は近くにあった時計を手に取るが、時計を動かすネジが見つからない。
時間は「時間くん」しか動かせないのだと帽子屋は呆れたように言う。
段々と不思議な問答に慣れてきた亜莉子は、時間くんに時計を動かしてもらうために、時間くんはどこかと問う。
時間くんは体が無いから首も無く、首が無いものが嫌いな「女王様」に捕まってしまっているという。
ならば女王様の居る所にはどうやって行けばいいのかと問うと、土管を抜けて海を渡ると行けるという。
亜莉子が辺りを見渡すと赤と青の土管が二つ並んでいた。
ネムリネズミは「赤の土管」に入るように言い、そのまま眠りに付き持っていたフォークが帽子屋に突き刺さった。
亜莉子が土管を覗くと公園の向こう側が見え、これを通り抜けてもどこへも行かないのではないかと思いつつ、赤い土管へ入った。
【エンディング分岐あり。青い土管へ入るとEND2 「幸せのブルー」へ】

土管を出た先には砂漠と赤い海があり、赤い靄が掛かっていた。
その靄の中にシロウサギがいて、亜莉子が思わず手を伸ばしシロウサギの手を掴んだ瞬間、亜莉子の視界は白くなる。
「ウサギは残ったのね 泣かないで もう嫌なの あの火事が 君は悪くない お腹が痛い もうすぐ箱が割れる 愛しているのに この歪みは僕が望んだもの」
亜莉子は走馬灯のような幻のようなものが頭を駆け巡る。
チェシャ猫に手を引かれると我に帰り、シロウサギの姿は消えていた。
チェシャ猫は「血の海は人を惑わす。気をつけないと引きずり込まれるよ」と言っていつものようにニンマリ笑った。

海を渡っていくと言われたが、周りに船などはなかった。
チェシャ猫は「ならば歩けばいい」と言って亜莉子の手を引き海へ入るが、波打ち際なのに海は底無しに深く、亜莉子は溺れてしまう。
チェシャ猫が亜莉子を引き上げると、チェシャ猫は水面に立っており「普通、海は歩けるものだよ」と言う。
亜莉子はチェシャ猫に担ぎ上げられて、徒歩で水面を移動する。
途中で疲れて重くなったらと心配になる亜莉子であるが、チェシャ猫はアリスは持ち運べるものだと言い大丈夫そうであったため、チェシャ猫にお世話になる事になった。
チェシャ猫が海を進んでいくと、海なのに途中で一本の木があった。
その木には白い花が咲いており、亜莉子はその花に見覚えがあった。
その時、耳障りがし亜莉子が振り返ると、水面を子犬の人形が歩いて近づいてきた。
ホテルの通路で見たあの子犬の人形であった。
人形は途中で燃え出し、しかしなお亜莉子に向かって歩いてきた。
亜莉子はチェシャ猫に逃げるように言うが、チェシャ猫は動かなかった。
人形は焦げながら海に沈んで行き見えなくなった。
今のはなんだったのかと口にしようするが、聞いてはいけない気がして亜莉子は言葉を飲み込んだ。
そして一瞬花の香りが強くなった気がして亜莉子が振り向くと、白い花が一枚海に落ち、赤く染まっていた。

お茶会をしている「帽子屋」。

【NORMAL END】END2 「幸せのブルー」

「青い土管」に入るとなるルート。

亜莉子が青い土管へ入ると、「あおはしあわせ えいえんのいろ あおーくなーれ」という声がした。
亜莉子は土管の中でナイフを拾い、自分の腕から赤い血が流れているのに気づく。
悲鳴を上げようとするが、口からも血が溢れ出す。
そして良く見れば全身の血が一滴も残さずに流れ出ていたのである。
亜莉子が土管を抜けると、青い空が広がる公園があった。
公園には小さい女の子がブランコに座っていた。
亜莉子が声を掛けると、女の子は泣いて目を赤くし、頬は叩かれて赤くなっていた。
亜莉子はそれを「良くない色だ」と思う。
女の子は何も悪い事はしていないのに母に叩かれたのだという。
亜莉子が女の子の頬に手を触れると温かみがあった。
こんなものがあるから悲しいのだ、と亜莉子は思った。
女の子は亜莉子になぜそんなに青いのか病気なのかと聞くと、幸せだから青いのだと答える。
そして「あなたも幸せにしてあげようか?そしたらママにぶたれても悲しくないよ」と言うと、女の子は目を輝かせて喜んだ。
亜莉子は女の子に近づきながら、後ろ手にナイフの触感を確かめた。
「ね?青は好き…?」

第5章 首切りの城

城の主の「女王」。

亜莉子とチェシャ猫が海岸に辿り着くと、そこには古びたお城があった。
扉の前で亜莉子がノッカーを鳴らすが応答は無く、ドアを引いてみるとあっさり開いた。
亜莉子は扉から城の中を覗き、ゆっくりと入っていく。
「首に気をつけるんだよ」というチェシャ猫の言葉に振り返る亜莉子の前でドアがしまってしまう。
チェシャ猫と分断された亜莉子は、チェシャ猫の名を呼びドアを開けようとするが、先ほどは軽く開いたドアは固く閉じていて開かなかった。
仕方なく亜莉子は先に進むと、大広間と思われるところに着いた。
当たりは薄暗く、亜莉子は柔らかい何かに躓く。
明かりが欲しいと壁を探るとレバーがあり、引いてみると燭台に火がついた。
明るくなって周りを見渡すと、そこには沢山の死体が転がっていた。
人間・ネズミ・鳥などの種類は問わない沢山の死体は皆共通して首がなかった。
あまりの事に唖然とした後に亜莉子はパニックになり、入ってきた扉からチェシャ猫に助けを求めて叫ぶが扉は開かなかった。
死体と同じ場所に居る事に恐怖を感じた亜莉子は、一番近くにあった扉の中へ飛び込んだ。
扉の中は食堂と思われる場所であった。
食堂は埃が積もっていて長い間使われた形跡がなかった。
食堂の奥にある扉から香ばしい匂いが漂い、近寄ってみると床に給食着を着た円い人が転がっていた。
円い人は右手にお玉を持ち、歌を歌っていた。
亜莉子が声を掛けてみると、円い人は亜莉子を「メアリアン」と呼び、起こしてくれと頼む。
そして鍋がこげたのはメアリアンが遅刻したからだと愚痴を言う。
彼は「ウミガメモドキ」で、転んでひっくり返ってしまうと自力では起き上がれなかったのである。
ウミガメモドキは亜莉子の事を253日遅刻しているメアリアンだと思い込んでいるようであった。
亜莉子は自分はメアリアンじゃないと言いかけるが、近くにアリスの唐揚げ・アリスのソテー・アリスのカルパッチョと書かれたレシピを見つけ、自分はメアリアンだと名乗った。
ウミガメモドキは亜莉子に一人ではこなせない様な量の仕事を頼む。
女王が使用人たちの首を刎ねてしまったから、現在城に居る使用人はウミガメモドキとメアリアンだけなのである。
何故首を刎ねてしまったのかと亜莉子が尋ねると、ウミガメモドキは女王様は首が好きだからと答える。
アリスだとバレれば食われ、使用人になれば首を刎ねられてしまう。亜莉子はここに居ては危険だと判断し、使用人の仕事を即辞退した。
ウミガメモドキは亜莉子の腰にしがみつき、望まれて就職するのが良い職場だと訴えるが、亜莉子は就職する方にも選ぶ権利があると反論する。
亜莉子は腰にウミガメモドキがしがみついたまま移動し大広間に戻った。
すると可愛らしい声が響き、ウミガメモドキは平伏する。
件の女王様が登場したのである。
女王はウェーブの掛かった金髪にピンク色のドレスを着た、亜莉子よりも年下のように見える美少女であった。
女王は亜莉子に名前を尋ねてきたため、亜莉子はメアリアンだと答える。
すると女王は突然亜莉子を抱きしめ、耳元で「嘘はいけないわアリス」と囁く。
何故分かったのかと問うと、女王は自分がアリスを忘れるわけが無いと言って微笑んだ。
亜莉子は素直に嘘を付いた事を謝ると、女王は「これからは首になってずっとここにいてくれる?」と言い、どこから出したのか巨大な鎌を右手に持ち、左手で亜莉子を抱きしめ、そのまま亜莉子の首を狩ろうとする。
亜莉子は女王を突き飛ばし何をするつもりだと叫ぶが、女王は顔を傷つけてしまうから動かないでと歩み寄ってくる。
ウミガメモドキは未だに亜莉子の事をメアリアンだと勘違いしており、労働力がこれ以上少なくなっては困ると、女王に亜莉子の命乞いをする。
機嫌を損ねた女王はウミガメモドキに向かって鎌を振り下ろすが、ウミガメモドキは首を胴体にしまいこんでしまう。
女王は胴体に引き篭もったウミガメモドキを鎌の柄で弾き飛ばし、亜莉子に近づきながら微笑んだ。
「アリス、ここにいれば安心よ。誰もあなたを傷つけたりしない。」「無理しなくていいの、あなたは頑張ったわ…。」「でももう限界よ、だから捨ててしまいましょうね。」と優しい声で語りかけてくる女王。
亜莉子は言葉の意味は理解できなかったが、今まで感じていた死の恐怖とは違う恐怖と動悸が襲ってきた。
亜莉子がシロウサギの名前を口に出すと、女王は「追いかけてはいけない」「ここに居れば守ってあげられる」と声を荒げ、鎌を振り上げた。
亜莉子は鎌をかわし、城の二階へ逃げた。
【亜莉子が「二階」「大扉」どちらに逃げるかでルート分岐あり。大扉に行くとNORMAL END「赤い猫」「僕のアリス」のどちらかで確定。】

亜莉子が鎌を避け二階に逃げると、二階の廊下には沢山の生首が並んでいた。
亜莉子は怯えるが背後から女王が迫ってくる気配を感じ、近くにあった部屋に入った。
入った部屋は寝室で、亜莉子はベッドの中に隠れると、間を開けずに女王が部屋に入ってきた。
亜莉子に拒まれた女王は涙声でアリスの名を叫んでおり、亜莉子は女王が泣いていた事に後ろめたさを感じた。
女王が部屋を去った後、どこからか女王の足音とは違う物音が聞こえてくる。
音のするところを探っていると、絨毯の下の床に鉄製の箱のような物が埋まっていた。
箱を開けて見ると、螺旋階段の隠し通路になっており先ほどの物音が聞こえてきた。
亜莉子は迷った挙句、螺旋階段を下っていった。
螺旋階段の下は薄暗い牢屋で、沢山の時計が置いてありアラームが鳴り響いていた。
先ほど亜莉子が聞いた物音はこのアラームの音であった。
あまりの煩さに亜莉子が叫ぶとアラームは一端止まるが、しばらくすると再びアラームが鳴り響く。
【エンディング分岐あり。亜莉子がアラームを無視し続けるとEND5 「無視の代償」へ】

亜莉子は近くに合った鍵を使って南京錠を開けてアラームを止める。
亜莉子が再び階段を登ろうとすると背後で何かが這いずる気配を感じた。
その気配はずるりずるりと這いずって亜莉子に近づいてきて、ひんやりとした触感で亜莉子の足に絡みつき、肩へ登り、首に巻きついた。
亜莉子は目に見えないがなんだか分からない物が首に巻きついている事に恐怖するが、その首に巻きついたものをそのままに螺旋階段を上がった。
女王と鉢合わせすることなく大広間に着くと、亜莉子が入ってきた扉が開いており、亜莉子はそのまま外に出た。
扉の外にはチェシャ猫がいつもと同じニンマリと笑った顔で立っており、亜莉子は思わず涙が出た。
本当は走り寄りたかったが、首に居る者が何をするか分からないためベソをかきながらゆっくり歩いてチェシャ猫に近づいた。
亜莉子が首のところに何かいるかと聞くと、チェシャ猫はあっさりと「いるね」と答えた。
亜莉子は悲鳴を上げ、チェシャ猫の「キライ?」という問いに「嫌いだ」と返す。
するとチェシャ猫は亜莉子の肩からその何かを抱き上げ、「駄目だよアリス、時間くんを泣かせるのは良くないよ。時間くんは悲観主義者なんだ。」と言う。
亜莉子にはその何かは見えないが、亜莉子が探していた「時間くん」であったらしい。
チェシャ猫と時間くんがなにやら会話をし、チェシャ猫は亜莉子に「時間くんが殺して欲しい」って言ってると伝える。
時間くんはアリスに嫌われて生きる気力を無くしたため、せめて最後の望みとしてアリスの手に掛かって死にたいと訴えているという。
チェシャ猫は時間くんに「アリスは時間くんが見えないから急所は狙えない」と返事をするが、亜莉子は自体が飲み込めず頭が真っ白になっていた。
しかし時間くんを殺すことを拒絶すると、時間くんは今度は「自殺する」と言い出した。
小一時間かけて時間くんを説得し誤解を解き、時間くんは生きる気力を取り戻した。
亜莉子は時間くんが見えていないため、チェシャ猫を解して公園の時間を進めて欲しい事を頼む。
すると時間くんはアリスの頼みを聞き入れ、地面を這って公園に向かった。
亜莉子は時間くんはどんな形状をしているのかとチェシャ猫に尋ねると、チェシャ猫はしばらく悩んだあと「チョウに似てる」と答えた。
「蝶」というような雰囲気には感じられなかった亜莉子は不思議に思うが、チェシャ猫はその後一言「ニンゲンの腸」と付け足した。

時間くんがいた牢屋。時間くんは亜莉子には見えない。

亜莉子も公園に向かおうと踏み出したのと同時に、チェシャ猫が亜莉子を突き飛ばす。
亜莉子の目の前でチェシャ猫の首が飛び、胴体が地面に倒れ、チェシャ猫の胴体の向こう側には微笑んだ女王がいた。
何が起こったのかと途方に暮れた亜莉子はチェシャ猫の首に歩み寄る。
チェシャ猫の首はニンマリと笑ったままの表情で、フードは何故かズレていなかった。
亜莉子は涙を流し、女王を非難し「大嫌い」と叫ぶ。
女王はその言葉に狼狽し、泣きそうな顔になりながら「だから猫は嫌いなのよ。私のほうがずっとアリスを想ってるわ…」「猫なんて導く者のくせに。番人の次に遠くにいるのよ。」「それなのにアリスを泣かせるなんて」と呟く。
亜莉子は言葉の意味が分からなかったが、足元でその言葉に賛同する声が聞こえる。
チェシャ猫は生首の状態で喋っていた。
「君は僕らのために泣いてはいけない。それでは意味がなくなってしまう。」と、真剣に言うチェシャ猫に亜莉子は混乱する。
チェシャ猫は「猫は普通首と胴体が離れても死なない」と言い、とりあえず大丈夫なようである。
亜莉子は安堵し、チェシャ猫の生首をきつく抱きしめ、チェシャ猫は「猫は窒息すると死ぬ」と言葉を付け足す。
女王はチェシャ猫の生首をぞんざいに掴み、二人は口喧嘩を始める。
女王はチェシャ猫のフードを掴んでいたが、フードは全くずれなかった事に亜莉子は感心する。
今度こそちゃんと首を刎ねると言い女王が鎌を亜莉子に向けようとすると、チェシャ猫の胴体が起き上がり女王から鎌を奪い取る。
女王が文句を言っても反応しないチェシャ猫の胴体に、チェシャ猫の首は「カラダには耳がないからね」と他人事のように言った。
チェシャ猫の胴体は鎌を持ったまま高速で森へ走り去ってしまい、女王は「だから猫は嫌いなのよ!」と叫びながら追いかけて行った。
亜莉子はチェシャ猫の首を抱き上げ、包帯で切断面を覆って隠す。
胴体は追いかけなくても良いのかと問うと、チェシャ猫は「体は頭の言う事を聞くのにウンザリしてたんだから自由にしておやり」と言う。
亜莉子は首が飛んでも風が吹いてもずれないチェシャ猫のフードの中に関心が行き、チェシャ猫の顔が気になる亜莉子はフードの裾に手をかける。
するとチェシャ猫は「見たら二度と戻れないよ。それでも見るのかい?」と言う。
【エンディング分岐あり。亜莉子がフードの中を見るとEND6 「フードの中」へ】

現在のチェシャ猫に不満は無いと思い、亜莉子はフードの中を見るのを止めた。
亜莉子はエプロンの裾を結んでチェシャ猫をそこに入れて公園に戻ろうとするが、海の上を渡れなかった事に気づく。
途方に暮れていると、チェシャ猫が帰り道は一つじゃないと言う。
辺りを見回してみると、城の奥の森に古井戸があった。
チェシャ猫は、古井戸は行きたい場所に通じていると言うが、落ちたら死んでしまいそうなくらい深そうな井戸であった。
亜莉子が井戸に腰掛けて戸惑っていると、チェシャ猫の首が前に動き亜莉子は引きずられるように井戸に落ちた。
井戸はとても深かったが、それほどの落下スピードでもなく、余裕の出来た亜莉子はどのくらい深いのかチェシャ猫に尋ねると、井戸の気分次第だといわれた。
突如井戸の中が明るくなり、井戸の壁が見えるようになる。
壁には一面に肖像画が飾られており、包帯の女が焦げた犬の人形を抱いていた。
亜莉子は恐怖を感じ目を離せないでいると、肖像画の女は顔を覆っていた包帯を取り始めた。
見たくないと亜莉子が目を瞑ると、「底だよ」というチェシャ猫の声がした。
底を見ると白い人影があり、それはシロウサギであった。
亜莉子は井戸の底にお尻から着地し、臀部への痛みを感じつつあたりを見渡すと、公園のお茶会をしていたテーブルの上にいた。
時計の時間は4時になっていた。
バラ園の入り口にシロウサギがいて、腕に抱いている人形は足と手が生えており、頭だけがなかった。
シロウサギは「クビ クビ クビ♪クビはどこだろ♪クビがなくっちゃ♪笑ってもらえない♪」と歌いながらバラ園の中へ消えて行く。
亜莉子はシロウサギを追わなければという気持ちと、行きたくないという気持ちを抱き足を止めていた。
そして自分が恐怖に似た焦燥感を感じている事に疑問を感じる。
チェシャ猫の促す声が聞こえ、亜莉子の中にも「もう――それしか、ないから。」という声が聞こえる。
亜莉子はバラ園へと踏み出した。

首を刎ねられてしまったチェシャ猫。生首になっても元気である。

【NORMAL END】END5 「無視の代償」

亜莉子が時計のアラームを無視し続けるとなるルート。

亜莉子はアラームの音を無視し、螺旋階段を登り元の部屋に戻ろうとする。
しかし気が付くとまた時計が鳴り出した場面に時間が巻き戻っており、亜莉子はもう一度アラームを無視して階段を登る。
するとまた時計が鳴り出した場面に時間が撒き戻ってしまう。
何かおかしいと思いながら、亜莉子は4度アラームを無視し、ついに階段を登りきった。
だが亜莉子が隠し階段の出入り口から顔を出すと、頭上から「こんな所にいたのね、アリス」という声が聞こえた。
女王は亜莉子の髪の毛を優しく持ち上げ、亜莉子が声の主を確認する間もなく、大きな鎌が亜莉子の首を切断した。
亜莉子は自分の体が階段を落ちていく音を最期に聞いたような気がした。

【NORMAL END】END6 「フードの中」

亜莉子がチェシャ猫のフードの中を見るとなるルート。

チェシャ猫の「二度と戻れなくなる」という言葉を聞いても、亜莉子は好奇心に負けフードをめくった。
一ヵ月後、教室で女子生徒たちの噂話の声が聞こえてくる。
桂木亜莉子は失踪しており、最近になって見つかったという。
しかし目撃談によると亜莉子は猫の生首を大事そうに抱えていて、もう正気ではなかったらしい。
「ヤバイくない?」と生徒達の噂話は続く。
亜莉子は嬉しかった事も悲しかった事も皆忘れ、猫の首だけが残った。

【NORMAL END】END3 「赤い猫」

女王から逃げる歳に「大扉」に逃げ、その後の選択で「芋虫を信じる」となるルート。

亜莉子は女王から逃げ、大扉に手をかける。
今度はすんなりと扉が開き、チェシャ猫と再会した。
亜莉子は振り返ったチェシャ猫が真顔に見えたが、もう一度見るといつも通りニンマリと笑っていた。
女王に追いかけられて時間くんの事を忘れてしまったという亜莉子に、チェシャ猫は別の方法があるから公園に向こうと言う。
チェシャ猫の断定的な言葉に亜莉子は違和感を覚えた。
二人が公園に戻ってみると、ネムリネズミと帽子屋が何者かに殺害され血で真っ赤に染まっていた。
チェシャ猫はシロウサギの仕業かもしれないと言う。
「シロウサギはアリスを食べたいんだ」とチェシャ猫は言うが、亜莉子はそうとは思えなかった。
その理由は分からず、考えると頭痛がした。
チェシャ猫は「僕がシロウサギから守ってあげよう」と言葉を続ける。亜莉子はチェシャ猫の言動にまたも違和感を覚えた。
死体を見た事で気分が悪くなった亜莉子はベンチに座り、チェシャ猫は水を汲みに行った。
すると亜莉子の足元に「芋虫」が現れた。
芋虫は亜莉子にチェシャ猫の言葉を信じてはいけない、猫は甘い言葉で欺くと忠告する。
亜莉子は否定するが、芋虫は帽子屋とネムリネズミを引き裂いて殺したのはチェシャ猫だと言う。
確かに二人は爪で引き裂かれて死んでいた。
すると突如芋虫はチェシャ猫に踏み潰され、チェシャ猫は「芋虫の話を聞いてはダメだよ。芋虫は人を惑わす害虫だ」という。

チェシャ猫にネムリネズミと帽子屋を殺したのはチェシャ猫なのかと問う。
チェシャ猫は否定せず、その態度から亜莉子は芋虫の言った事が真実だと気づく。
何故そんなことをするのかと亜莉子が問い詰めると、「皆、邪魔だよ。アリス以外は必要ない」と言う。
これまで亜莉子と一緒に居なかった時、チェシャ猫は一体何をしていたのだろうと亜莉子は思う。
「アリス、僕らのアリス。だけど僕は僕だけのアリスが欲しくなった」「僕だけのアリスになってくれるのなら、もう誰にも君を傷つけさせない。君は僕の中で永遠の夢を―。」というチェシャ猫。
亜莉子は再び何故と問うと、「すぐそばにあるのに手に入らない辛さはアリスが一番良く分かってるだろう?」という。
亜莉子はその言葉に耳を塞いで蹲る。
「気付かないままなら良かったのにね」という言葉と共に、チェシャ猫は亜莉子の首に手を伸ばす。
亜莉子が身を引くよりも前にチェシャ猫が亜莉子を引き寄せ、割けた口を大きく開ける。
公園に亜莉子の悲鳴が響き渡った。

街中を歩く雪乃の前に灰色の猫が現れる。
猫の口は割けた様に大きく、血が滴っていた。
雪乃が「ねこ」と呟くと、灰色の猫はニンマリと笑った。

【NORMAL END】END4 「僕のアリス」

女王から逃げる歳に「大扉」に逃げ、その後の選択で「チェシャ猫を信じる」となるルート。

亜莉子は女王から逃げ、大扉に手をかける。
今度はすんなりと扉が開き、チェシャ猫と再会した。
亜莉子は振り返ったチェシャ猫が真顔に見えたが、もう一度見るといつも通りニンマリと笑っていた。
女王に追いかけられて時間くんの事を忘れてしまったという亜莉子に、チェシャ猫は別の方法があるから公園に向こうと言う。
チェシャ猫の断定的な言葉に亜莉子は違和感を覚えた。
二人が公園に戻ってみると、ネムリネズミと帽子屋が何者かに殺害され血で真っ赤に染まっていた。
チェシャ猫はシロウサギの仕業かもしれないと言う。
「シロウサギはアリスを食べたいんだ」とチェシャ猫は言うが、亜莉子はそうとは思えなかった。
その理由は分からず、考えると頭痛がした。
チェシャ猫は「僕がシロウサギから守ってあげよう」と言葉を続ける。亜莉子はチェシャ猫の言動にまたも違和感を覚えた。
死体を見た事で気分が悪くなった亜莉子はベンチに座り、チェシャ猫は水を汲みに行った。
すると亜莉子の足元に「芋虫」が現れた。
芋虫は亜莉子にチェシャ猫の言葉を信じてはいけない、猫は甘い言葉で欺くと忠告する。
亜莉子は否定するが、芋虫は帽子屋とネムリネズミを引き裂いて殺したのはチェシャ猫だと言う。
確かに二人は爪で引き裂かれて死んでいた。
すると突如芋虫はチェシャ猫に踏み潰され、チェシャ猫は「芋虫の話を聞いてはダメだよ。芋虫は人を惑わす害虫だ」という。

亜莉子は芋虫の言葉に迷いが生じたが、チェシャ猫はずっと自分を守ってくれたことを思い出す。
そして「私はチェシャ猫を信じている、だからいいの――」と言いきった。
チェシャ猫は亜莉子を担ぎ上げ、歩き出す。
亜莉子は何処へ行くのと問うが、チェシャ猫の事を微塵も疑っておらず、チェシャ猫はそんな亜莉子を愛おしく思った。
亜莉子が本来やらなければならなかった時間くんを探すのを止め城を出た時点で、チェシャ猫は亜莉子の意思を越え、自分の意思を持つようになった。
シロウサギを探さなくてもいい、何も考えなくて良いと、チェシャ猫は言葉巧みに亜莉子を唆す。
亜莉子はその言葉に思考放棄し、チェシャ猫の言葉を自分の真実とし、全てを捨てた。
チェシャ猫には亜莉子だけ、亜莉子にはチェシャ猫だけとなり、チェシャ猫は亜莉子をどこかへ連れ去っていく。
「僕のアリス。君が望むなら、僕は今まで通り、君の忠実な猫を演じ続けよう。その為なら、僕は何でもする。そう、何でも、ね。」

第6章 赤と黒の迷宮

0tRoom373
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