告白する相手を間違えました(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『告白する相手を間違えました』とは、2015年にBコミから発売された、原案がちゃいで、作画がちごによる恋愛漫画である。ちゃいのケータイ小説を基に漫画化された。『コミックシーモア』や『Kindle』で閲覧可能な電子書籍である。神山菜穂(かみやま なほ)は、野瀬哲平(のせ てっぺい)に思い切って告白。しかし、振り返ったのは野瀬と同じ赤髪の見知らぬ青年、大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)だった。間違いの告白から始まる恋愛物語である。
祐介と野瀬が出会った頃に、野瀬が言ったセリフである。小学生の頃の祐介は野球をしたことがなかった。1人壁にボールを打ちつける野瀬に、興味本位で近づいた。野球をしたことがない祐介に、野瀬はボールを投げた。だが祐介は初めてバットを振ったので、最初からそう上手くはいかない。ボールが飛んできても、祐介は空振りだった。「お前ちゃんと球見てるか?」と野瀬が聞くと「…見えない…」と祐介が言う。「しょうがないなあ…。素振りから教えてやるよ」と野瀬は細かく指導した。「ボールをイメージするんだ。ここら辺から来るって意識して、そこに当たるようにバットを振る」と身振り手振りで教える。祐介は言われた通りにやってみた。するとボールが当たった。「何事も『出来る』ってイメージを持てば近づける。目をそらすな」と野瀬は言った。これは監督の言葉である。野瀬は「野球やるなら俺が教えてやるよ!」と言い出した。その言葉に本当に嬉しくなった祐介は、野瀬に抱きついて「ありがとう!」と言った。
この言葉は何気なく原作に登場するが、目標を達成するために大事なセリフである。まずは「自分は出来る」と肯定し、イメージする。野球に例えるなら「絶対ボールは当たる」とイメージすることから始めることが大事だ。「こうなりたい、出来る」という前向きな気持ちは、その人間の行動の推進力に繋がる。そのイメージをしっかり持っていれば、時間がかかっても大成することを、このセリフから読み取ることができる。
ファーストキスの場面
2人がキスを交わすのはこの場面が初めてである。祐介の手が菜穂の頬にのびて、髪に触れた。菜穂の心臓はドキンと大きな音を立てる。「俺は神山だけだから」と祐介が菜穂を見つめて言う。顔が近いので、菜穂の顔は真っ赤だ。「ゆうちゃん…」と菜穂は名前を呼ぶ。心のなかで、「キスしたい」と強く想った。祐介が「目瞑って」と言う。菜穂は、目を閉じた。そのまま祐介は、菜穂に優しくキスをした。ファーストキスである。2人は見つめ合って、その後笑った。「菜穂ちゃんとずっとこうしたかったんだ」と祐介が言う。「こんなに体じゅうドキドキしたのはじめて。幸せ過ぎる」と菜穂は温かい気持ちに包まれた。
恋愛漫画では、キスシーンは必須の場面だがこの描写は特筆すべき場面である。間違いの告白からはじまり、菜穂が祐介の過去を知っても好きでいたことで、祐介と菜穂の絆は確かなものになった。幾度となく問題を乗り越え、ようやくキスした2人は本当の愛で包まれている。また、描写としても菜穂と祐介の横顔は美しく描かれている。この場面は原作のなかでも名場面として挙げるシーンだ。
神山菜穂「見た目だけじゃわからなかった部分が本当に素敵すぎて会うたびに好きになる」
菜穂が初めて祐介を見た時は、厳つくて怖かった。見た目だけでは、赤髪のヤンキーだ。でも私服姿の菜穂を見て祐介は菜穂を見て「今日かわいい」と呟いた。祐介もいつの間にかSNSに呟くのではなく、素直に菜穂に気持ちを伝えるようになっていた。「褒めてもらえて嬉しいっ」と菜穂は祐介に笑顔で言う。祐介もそれを見て微笑む。「見た目だけじゃわからなかった部分が本当に素敵すぎて会うたびに好きになる」と菜穂は思う。祐介は、見た目は怖いが心優しい男の子である。人は見た目がすべてではないということを、このセリフは表現している。ストーリーが進むにつれ、読者も祐介の優しさや男らしさを知ることができる。この菜穂のセリフは、今までのストーリーを総括する名セリフなのだ。
『告白する相手を間違えました』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
作品の原点はちゃいの高校時代
『告白する相手を間違えました』の原案は、ちゃいによるものである。彼女は趣味で小説を書いている。2013年からTwitterの公式アカウントを開設。その中でちゃいは、この作品が生まれたエピソードを綴っている。
ちゃいは高校時代から小説を書いていた。そしてこの『告白する相手を間違えました』は、彼女が高校時代に書いていたものである。まさに、彼女の青春の思い出そのものだ。ちゃいは、社会人になり高校時代を振り返ることがある。「たまに読みたくなって読み返してみると、子供だなあって思うところがたくさんあるけれどいい思い出。大好きな作品です」と記している。
また、ちゃいが高校生の頃はTwitterがそこまで浸透しておらず、いわゆる「リアル」が流行っていた。だれでも無料で作成できる日記的SNS「DECOLOG」(デコログ)の中で、Twitterの前身の役割を担っていたのが「リアル」だ。いいね機能やリツイート機能はないが、個人が本当の友人たちの間で呟いていた。作品のなかでは、祐介がTwitterでつぶやく場面がある。ちゃいは、「祐介がつぶやく媒体がTwitterではなくリアルだったらまた違った展開だったかも。面白いだろうな」と述べている。
ちゃいのTwitterの更新は2018年で停止しているが、『告白する相手を間違えました』の続編を書く意欲もつぶやかれている。
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目次 - Contents
- 『告白する相手を間違えました』の概要
- 『告白する相手を間違えました』のあらすじ・ストーリー
- 告白失敗
- 赤毛の2人
- 気づかれた気持ち
- 告白
- 雨と涙の告白
- 守ってあげたいという強い気持ち
- 過去との決着
- ファーストキス
- 『告白する相手を間違えました』の登場人物・キャラクター
- 北高
- 神山菜穂(かみやま なほ)
- 優芽(ゆめ)
- 北高の野球部
- 横山(よこやま)
- 相良(さがら)
- 南高
- 大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)
- 野瀬哲平(のせ てっぺい)
- 新藤真美(しんどう まみ)
- 南高の野球部関係者
- 牧田(まきた)
- 武石(たけいし)
- 監督
- 『告白する相手を間違えました』の用語
- 北高(きたこう)
- 南高(みなみこう)
- 祐介‘s SNS
- 『告白する相手を間違えました』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 大蔵祐介「ひとつの間違いから俺はお前に惚れたんだ」
- 神山菜穂が「祐介を支える」と宣言する場面
- 野瀬哲平「何事も『出来る』ってイメージを持てば近づける。目をそらすな」
- ファーストキスの場面
- 神山菜穂「見た目だけじゃわからなかった部分が本当に素敵すぎて会うたびに好きになる」
- 『告白する相手を間違えました』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作品の原点はちゃいの高校時代