告白する相手を間違えました(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『告白する相手を間違えました』とは、2015年にBコミから発売された、原案がちゃいで、作画がちごによる恋愛漫画である。ちゃいのケータイ小説を基に漫画化された。『コミックシーモア』や『Kindle』で閲覧可能な電子書籍である。神山菜穂(かみやま なほ)は、野瀬哲平(のせ てっぺい)に思い切って告白。しかし、振り返ったのは野瀬と同じ赤髪の見知らぬ青年、大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)だった。間違いの告白から始まる恋愛物語である。

『告白する相手を間違えました』の概要

『告白する相手を間違えました』とは、2015年にBコミから発売された、原案ちゃい、作画がちごによる恋愛漫画である。ちゃいのケータイ小説を基にちごによって漫画化された。
原案のちゃいは、趣味で小説を書いている人物である。2013年に、ちゃいは自身のTwitterアカウントを開設した。ツイート数は100にも満たない98だが、2013年から2018年までマイペースに更新されていた。ちゃいが『告白する相手を間違えました』を創作したのは高校生時代で、ちゃい自身の学生生活を基に創られたと呟いている。小説版の『告白する相手を間違えました』はケータイ小説として作品になった。だが、実際の書籍化はされていない。
作画を担当したちごは、2012年『告白する相手を間違えました』でデビュー。2020年、芳文社では『ちくちく推して』を、電子書籍では『隣の席の、五十嵐くん』を連載。第2回GJマンガグランプリで、グランプリを受賞し、さらに第20回コバルト・イラスト大賞で佳作を受賞。どちらも集英社主催の賞だ。
ちゃいは、ちごのイラストを大変気にいっており、絵を絶賛している。現在閲覧は不可能であるが、2015年にBコミから発売される前の2013年頃、ちごのブログ『透明日和』で本作品は配信されていた。ちゃいはちごの漫画を読み、「祐介たちが動いている様を見て悶えた」と喜びのツイートをしている。
本作品の出版元であるBコミとは、電子書籍サービスである。だから『告白する相手を間違えました』書籍化されていない電子書籍である。本作品だけでなく、前述した『隣の席の、五十嵐くん』もBコミから発売されている。『告白する相手を間違えました』は『めちゃコミック』や『Kindle』でも読むことができる。
ヒロインである神山菜穂(かみやま なほ)は赤髪でヤンキーの野瀬哲平(のせ てっぺい)に片思いしている。菜穂と野瀬はお互いに違う学校であり、通学の電車も反対方向である。野瀬に一目惚れした時からずっと、反対側のホームで野瀬を見るのが菜穂の楽しみであった。だが、決意を固めた菜穂は思い切って告白した。赤髪だけを見て後ろ姿であったにもかかわらず「好きです!あなたの赤髪が大好きです!付き合ってください!」と告白。だが、振り向いた赤髪の青年は、野瀬ではなく大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)だった。菜穂の完全なる勘違いであったが、釈明する間もなく祐介からOKをもらってしまう。本当は野瀬が大好きな菜穂だが、祐介と付き合うことになってしまった。「真実を話さなければ」と思う菜穂だが、次第に祐介にも惹かれていく。また、野瀬と祐介は「赤髪コンビ」と言われて親友であったのだ。祐介と野瀬が通っている南高(みなみこう)に遊びにいった菜穂は、ひょんなことから野瀬への想いを祐介に気づかれてしまった。そこで祐介に、「本当は野瀬のことが好きで、勘違いから祐介に告白してしまった」と話した菜穂。それでも祐介は、本気で菜穂に惚れて別れることをしなかった。菜穂は祐介と向き合い、次第に本気の恋愛に発展していく。また、菜穂が通う北高(きたこう)の野球部や、幼なじみの真美も絡んできて、菜穂と祐介の恋愛はもどかしさも増す。高校時代の青春ストーリーが詰まった、恋愛漫画である。

『告白する相手を間違えました』のあらすじ・ストーリー

告白失敗

北高(きたこう)に通う神山菜穂(かみやま なほ)は、駅のホームで赤髪の青年の背中に向かって、「好きです!あなたの赤髪が大好きです!付き合ってください!」と告白した。
だが振り向いたのは、大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)という知らない青年だった。菜穂の本命は同じ赤髪の青年、野瀬哲平(のせ てっぺい)である。菜穂は赤髪という特徴だけで、間違えて告白したのだ。
しかし祐介は、「面白そうだからいいよ」と菜穂の告白をOKする。菜穂は真実を伝えられないまま、祐介と付き合うことになる。祐介は自分のSNSに「なんか告られた。面白いから付き合う。赤髪素敵だって」と呟いた。

赤毛の2人

同じクラスの優芽(ゆめ)に真実を伝えるように言われ、菜穂は祐介と駅で会う。だが野瀬が現れた。
祐介と野瀬が同じ南高(みなみこう)で、かつ親友同士であることを知り、菜穂は祐介に本当のことが言えなかった。
さらに、幼なじみの新藤真美(しんどう まみ)は、野瀬と祐介のことをよく知っており、2人は南高の「赤髪コンビ」と言われていることを教えてもらう菜穂。
祐介は愛想がなく「影」のような存在で、一方の野瀬は人気者の「光」のような存在である。だが菜穂は、祐介とメールをしていくうちに、彼が絵文字を使ったり優しい言葉遣いをするので、祐介のことを影とは思えなかった。

気づかれた気持ち

穂は南高に遊びに行った。その時、野瀬が笑顔で菜穂に挨拶するので菜穂は照れて赤らむ。その表情を見た祐介は、菜穂が野瀬のことを好きなのだと勘づいた。
だが祐介は、「別れたくない」と菜穂に言ったのだ。祐介は、菜穂に本気で惚れているのだ。菜穂はようやく決心し、野瀬と祐介を間違えて告白したことを祐介に伝えた。
菜穂は謝ったが、祐介は「ひとつの間違いから俺はお前に惚れたんだ」と菜穂の勘違いを肯定し、今の自分の気持ちを大切にした。そして2人は交際を続ける。

告白

毎日祐介とメールをする菜穂は、担任に授業中に携帯をいじっていることがバレる。罰として、部活動を応援する部活動応援委員に任命された。
同じクラスの横山(よこやま)が所属する野球部の見学に行った菜穂は、マネージャーの相良(さがら)と出会う。相良は菜穂に冷たく、笑顔を見せない。横山は女子から人気で、たくさんのギャラリーから黄色い声援を受けながら練習している。
ギャラリーのうちの1人が、相良がかつて、南高の野球部に暴行を受けた話をしていた。さらに横山から、次の対戦相手は南高であるという話を聞く。横山によると、「赤髪コンビ」という上手い選手が2人いたが、暴行事件で退部した。菜穂は、相良を暴行したのが野瀬と祐介でないかと嫌な予感がした。

真美が金髪の彼氏の束縛に遭い、身に危険が迫っていることを知った菜穂は、祐介に助けを求める。祐介は真美のことを知っているので、すぐに真美に連絡し、野瀬と共に真美を救出した。
菜穂は、祐介の優しさに心から感謝する。そして、自分の頭の中は祐介との楽しいメールや、祐介の優しさでいっぱいであることに気が付いた菜穂。
菜穂は祐介を呼び出して、本気の告白をした。祐介は菜穂を抱きしめ、2人は正真正銘のカップルになった。

雨と涙の告白

相良が貧血で倒れたため、菜穂は相良が回復するまでマネージャーの仕事を手伝う。保健室で休んでいる相良を見舞いに行った菜穂は、相良に「横山のことが好きなのか」と問われる。
菜穂は否定し、「南高の大蔵祐介と付き合った」と話した。すると相良は、「あんたの彼氏、南高の野球部だった」と告げる。祐介からは聞かされたことのない話である。

相良と南高の野球部の過去を知るため、菜穂は野球部部長の高橋(たかはし)に話を聞きに行く。高橋は、相良が野瀬と祐介に、金属バットで殴られたと話した。菜穂は衝撃を受ける。
ちょうど雨が本降りになり、祐介は菜穂を心配し、駅で傘を持って待っていた。菜穂が駅に向かう途中、相良から菜穂と祐介が交際していると聞いた横山が、菜穂と横山の交際に反対する。
横山は、祐介のことを最低な奴だと思っているからだ。さらに横山は菜穂に告白をし「神山が俺を好きじゃないのは知ってる。でもあんな不良とは付き合わないでほしいんだ」と言ってそのまま菜穂に傘をあげて帰った。

菜穂が横山に告白されているところを目撃した祐介は、菜穂に「ごめんな、黙ってて。俺野球部だったんだ。哲平と悪いことやって退部になって…。ちょっと荒れてた」と告げた。祐介は「俺なんかじゃなくてもっといい男と…幸せになったほうがいい」と言って去って行った。

守ってあげたいという強い気持ち

祐介は、菜穂と駅で別れた後、野瀬の家に向かった。そして野瀬に「俺は菜穂ちゃんと別れたくないし、野球も辞めたくない。だから俺にできる償いならなんでもする」と本音を言う。野瀬は、今まで祐介が暴力を起こしたと知ると、祐介の元から女の子が離れていったことを思い出す。

祐介にまた辛い思いをしてほしくない、祐介を傷つけるものは自分が排除すると思った野瀬は、祐介に内緒で菜穂に会う。そして、祐介と別れるように菜穂に言う。だが、菜穂は納得しなかった。
野瀬と横山、そして祐介は一体何に振り回されているのか真相が見えてこないからだ。だから菜穂は、「私は別れませんから!!」と野瀬にはっきり言う。
野瀬は、少し深呼吸して、「俺は祐介を守りたいだけなんだ…。誰もアイツを心の底から好きになってはくれなかった。祐介は誰も信じることが出来なくなって、もう一生幸せになんかなれないって諦めてたと思う。そんなときに菜穂ちゃんに出会った。今はとにかく他の子とは違って本気みたいなんだ。だから俺不安になって…。菜穂ちゃんが祐介を怖がって離れていっちゃったら祐介がどれだけ傷つくか…」と心中を告白した。
でも菜穂は「私もゆうちゃんを守りたいです」と言った。「ゆうちゃんを支えたい。彼女としてこの先ずっと」という気持ちが、菜穂のなかで確立されている。菜穂から放たれる強い意志は、野瀬の心を変えた。そして、相良の暴行事件の真相を野瀬は菜穂に話し始めた。

相良を殴った真犯人は、元野球部の先輩、牧田(まきた)である。牧田は、野球の上手い野瀬と祐介に嫉妬し、「次の試合に出るな」と言いがかりをつけた。それに反抗した野瀬が、牧田に殴りかかろうとした。これの仕返しとして、牧田は仲間と一緒に相良を金属バットで殴り、犯人は野瀬と祐介だと学校に報告するように相良を脅した。
身に覚えのないことで、監督から退部を言い渡された野瀬と祐介は、相良と話そうと北高に出向く。

だが相良は「あなた達が余計な事をしたせいであたしがこんな目に遭ったのよ。どんなに謝られてもあたしの傷は一生消えない!あなた達は絶対に幸せになんかなれないから!!」と言い放った。それから祐介と野瀬は、負の十字架を背負って学校生活を送ってきたのである。

過去との決着

一通りの過去の話を聞いた菜穂は、「私は野瀬くんもゆうちゃんも信じています」と野瀬に伝える。野瀬は、「祐介は、菜穂ちゃんが信じてくれればそれで十分だ」と最後は菜穂に笑顔を見せた。
野瀬と別れた後、菜穂はすぐに祐介と会い、開口一番に「ゆうちゃん!私はゆうちゃんと別れる気ないからね!何があってもゆうちゃんの味方なんだから!」と伝えた。「信じてくれなかった人たちの誤解は、私が解いてみせる!!」と菜穂は意気込む。

祐介と菜穂は、元通りになり誤解を解くために策を考える。そして菜穂は、相良に真実を話すようにお願いするが、相良は拒否した。学校で思い悩む菜穂に、横山が声をかけてきた。菜穂は、「ゆうちゃんは本当に何もしてないんだよ!横山君は知らないだろうけど…!野球だって本当に大好きなんだから!!」と菜穂はつい熱くなる。
菜穂の純粋な思いが、横山の気持ちを変えて、横山も協力してくれることになった。横山と祐介は会い、相良を殴ったのは牧田であることを知った横山だ。「相良が真実を話さないなら、先輩を探すことの方が得策かも」と祐介が言い、現在社会人である牧田を探す方向で話はまとまった。

さらに真美も、野瀬や祐介の無実を信じて、牧田に繋がりそうな人たちの連絡先を保存していた。そのうちの1人の武石(たけいし)に、横山、菜穂、真美の3人で会いに行く。 武石に会い、横山が「あなたたちに暴行されたせいで今でもトラウマ抱えてる女の子がいるんです。やってもいない事で非難されて傷ついている友達がいるんです。謝ってもらえませんか」とお願いする。だが武石は反省せず、50万出せば牧田の居場所を教えると言い出した。もちろんそんな大金など持っていないことを知っている武石は、菜穂と真美を自宅に閉じ込め、横山だけ追い出した。横山は危機を感じ、すぐに祐介にメールする。

横山からのメールを見た祐介は、野瀬と一緒に菜穂たちを救いに行った。事なきを得たが、野瀬は「やっぱり菜穂ちゃんはダメだ。また祐介を傷つける。今だってこんな事になったせいで、逆に俺らが危ない目に遭ってたかもしれない。菜穂ちゃんは言ったんだ、俺の代わりに祐介を守るって。でも無理だ。やっぱり祐介は、俺が守らなきゃ」と、真美に言う。
「逆に縛り付けてるの分かんないの?哲平」と真美は言って、野瀬を抱きしめる。「あんたももう、自分のこと許してやんな」と真美の優しい声に、野瀬は肩の荷が降りた。

武石に牧田の居場所を聞いた祐介と野瀬は、牧田に会いに行くことになる。祐介は、ふと野瀬と出会った頃のことを思い出していた。
無知な祐介に野球を教えてくれたのは、野瀬だった。「何事も『出来る』ってイメージを持てば近づける。目をそらすな」と野瀬は言った。「野球やるなら俺が教えてやるよ!」と野瀬が言い出し、2人は仲良くなったのだった。

野瀬と祐介は、牧田が働いているコンビニに着いた。2人は「俺らに謝ってください」と牧田に言う。牧田は「…まだ引きずってたのか…。悪かった」と頭を下げた。そして、相良への謝罪の言葉を野瀬のスマホに録画した。 菜穂は、祐介から牧田と決着が着いたと連絡を受けた。そして、野瀬からスマホを借りて、スマホに記録されている謝罪動画を相良に見せた。

相良は、祐介と野瀬の懸命さに心を動かされて、北高と南高の野球の試合で「私を襲った人たちは大蔵祐介くんと野瀬哲平くんではありません」と話した。
南高の野球部の監督も、相良の言葉を信じ、祐介と野瀬に「お前らのこと信用してやれなくてすまなかった」と謝った。こうして、祐介と野瀬の誤解は解けた。

ファーストキス

すべての誤解が解け、菜穂と祐介に平穏が訪れた。菜穂は「ゆうちゃんを知る前はどんな風に毎日を過ごしていたかな…?思い出せないくらい今はゆうちゃんの事で頭がいっぱい。何か照れる」と菜穂は思った。祐介と公園で会い、2人はベンチで見つめ合った。祐介が「目瞑って」と言う。菜穂は、目を閉じた。そのまま祐介は、菜穂に優しくキスをした。ファーストキスである。

その週の土曜日に、2人は私服で初めてのデートをした。髪を結い、ワンピース姿の菜穂を見て祐介は「今日かわいい」と呟いた。「褒めてもらえて嬉しいっ」と菜穂は祐介に笑顔で言う。「見た目だけじゃわからなかった部分が本当に素敵すぎて会うたびに好きになる」と菜穂は思う。そして「好き」と伝えた。

一つの間違いから始まった恋愛は、運命的な恋に変わった。菜穂が間違えて告白しなければ、今2人はこうして並んでいない。そんな恋愛の不思議さを心に感じながら、菜穂は祐介と手を繋いだ。

『告白する相手を間違えました』の登場人物・キャラクター

北高

神山菜穂(かみやま なほ)

本作のヒロイン。高校2年生。進学校である北高(きたこう)に通う女の子。おっちょこちょいだが、思いやりのあるキャラクター。うさぎのキーホルダーが好き。
南高(みなみこう)に通う野瀬哲平(のせてっぺい)に一目惚れしていた。野瀬は赤髪のヤンキーである。野瀬が通う南高は、菜穂が通う北高とは反対方向なので、毎朝反対側のホームから野瀬を見ていた。野瀬は音楽を聴き、菜穂の存在には気づかない。しかし、菜穂はテスト期間に野瀬が持っているノートを見て名前を知り、純粋に片思いしていた。
菜穂は決意を込めて、野瀬の背中に向かって告白した。「好きです!あなたの赤髪が大好きです!付き合ってください!」と、赤髪だけを見て告白した菜穂。だがその相手は野瀬ではなく、同じ赤髪の大蔵祐介(おおくらゆうすけ)だった。野瀬と祐介は仲がよく、南高では「赤髪コンビ」と呼ばれている。勘違いもいいところだが、祐介が「面白そうだから付き合ってもいい」と返事をしてきた。菜穂は祐介の事は全く好きではなかったが、本当のことを言えずに携帯のアドレスを交換する。菜穂が祐介に「本当は野瀬が好き」と言えないのは、祐介が強面で厳ついというのも理由としてあった。だが、メールでやりとりしていくうちに、案外祐介は可愛い絵文字を使ったり、「ゆうちゃん」と呼ばれている事も知る。祐介は見た目は怖いが、内面は優しい人なのだと知る菜穂であった。
祐介と仲良くなり、南高に遊びに行く。その時菜穂は野瀬から初めて名前を呼ばれる。今まで認識すらされていなかったのに、名前を呼ばれて笑顔で話しかけられたことに、菜穂は赤面する。そんな姿を見て、祐介は菜穂が本当は野瀬のことが好きであることに気づく。それでも祐介は、菜穂のことを本気で好きになっていた。だから、菜穂に本当のことを話すようにお願いする。そして菜穂は、勘違いで祐介に告白してしまったことを話した。
たとえ間違いで告白したとしても、祐介は菜穂のことが好きなので諦めなかった。「絶対俺のこと好きにさせるから」と菜穂に言った祐介。菜穂は、野瀬に気持ちが残りながらも徐々に祐介に惹かれていく。毎日メールをし、学校に行く前に駅で会い菜穂の中で祐介を思う気持ちが大きくなる。そして、菜穂は祐介に「ゆうちゃんが好き」と告白し、2人は正真正銘のカップルになった。
菜穂は、祐介と毎日メールをしていたので、授業中に担任に携帯をいじっているところを見つかってしまう。携帯没収の代わりに、部活動応援委員に任命される。そして、野球部の試合応援に行くことになる。
野球部所属の横山(よこやま)は、菜穂に気軽に話しかけたくれるいい友人である。同じクラスメイトでもあるので、横山と菜穂は仲が良い。だが、横山は菜穂が祐介と付き合っている事に反対していた。なぜなら、祐介と野瀬は過去に野球部マネージャーの相良(さがら)に暴行したという事件があったからだ。菜穂は、信じたくなかったが相良は祐介の名前を聞くだけで青ざめていた。菜穂は祐介と野瀬の過去を知った時ショックだった。さらに横山は菜穂に告白する。その場面を祐介が見聞きしていた。雨の中、涙ながらに祐介は「俺は神山の横に並んじゃいけない人間なんだ」と告げる。祐介自身が暴行事件を認めたことで、菜穂は放心状態になる。そうして、菜穂と祐介は一旦距離ができる。
ボロボロになった祐介を見て、野瀬は祐介が菜穂と一緒にいると幸せになれないと確信する。なぜなら今まで付き合ってきた女の子と同じで、祐介が過去に暴力を振るったと聞けばすぐに去っていったからだ。「祐介にまた辛い思いをさせたくない」という思いで、野瀬は菜穂に祐介と別れるように頼む。だが、菜穂は祐介の事が好きであり、別れる気はなかった。きちんとなにがあったか不明なままで終わることなどできないからだ。そして、相良暴行事件の犯人は、祐介と野瀬ではなく、先輩の牧田(まきた)である事を野瀬から聞く。濡れ衣を着せられたままの祐介と野瀬の誤解を解くため、菜穂は幼なじみの新藤真美(しんどうまみ)と共に先輩捜索に注力する。また、距離が空いていた菜穂と祐介も元通りになる。
さらに、菜穂が祐介が犯人でないということと、祐介への気持ちを横山に話したことで横山も祐介と再会。過去の暴行事件の誤解を解くために、横山も協力してくれることになった。
社会人になった元南高野球部の先輩、牧田(まきた)を探すため、真美のつてで菜穂と横山は、同じく先輩の武石(たけいし)に会う。武石の悪業に一時は危険に晒されるも、野瀬と祐介が助けにきてくれた。そして、野瀬と祐介の2人で牧田を探し出した。牧田から相良への謝罪動画を録画し、相良は菜穂経由でその動画を見る。動画を見た相良は、野瀬と祐介が犯人でないことを北高と南高の野球部に話し、誤解は解けた。
最初は祐介のことが怖かったが、見た目では分からない祐介の素敵な部分に惹かれていった菜穂。また、相良の誤解を解くこともできた菜穂は、物語を通して成長したのである。

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