告白する相手を間違えました(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『告白する相手を間違えました』とは、2015年にBコミから発売された、原案がちゃいで、作画がちごによる恋愛漫画である。ちゃいのケータイ小説を基に漫画化された。『コミックシーモア』や『Kindle』で閲覧可能な電子書籍である。神山菜穂(かみやま なほ)は、野瀬哲平(のせ てっぺい)に思い切って告白。しかし、振り返ったのは野瀬と同じ赤髪の見知らぬ青年、大蔵祐介(おおくら ゆうすけ)だった。間違いの告白から始まる恋愛物語である。

武石(たけいし)

元南高の野球部員。野瀬と祐介の先輩である。
一年生であった野瀬と祐介の態度が気に入らないという理由で、2人に因縁をもつ牧田に加担していた。牧田に生意気な態度をとった野瀬。それを発端に牧田は北高の野球部マネージャー暴行の犯人を野瀬と祐介に仕立てあげた。武石は、牧田が相良を殴っている間相良を押さえており、直接手は出していない。
社会人になっても、武石は素行が良くなかった。就職した会社のお金を持ち出して、急に辞めた。社員が電話をかけても出ず、家に訪ねても居留守をつかっていた。
菜穂、真美、横山が武石宅に訪ねた時も、昔の暴行事件に対して反省していなかった。そして、金を届けて欲しいという嘘をつき、横山を追い出す。真美と菜穂を家に閉じ込めた。だが、横山がすぐに祐介にメールをし、野瀬と祐介が2人を助けに現れた。110番通報をしようとした祐介を見て、武石は降参する。そして、反省はしていないものの、牧田の働いている居場所を野瀬と祐介に教えた。

監督

南高の野球部の監督。名前は不明。祐介と野瀬が野球部に所属する頃から監督をしている。
相良が、本当は先輩の牧田から暴行を受けたにも関わらず、野瀬と祐介を犯人として学校に報告するように脅迫を受ける。当時の監督は、相良の言い分を信じ、野瀬と祐介を信じてあげなかった。「なんでも暴力ですませるな」と野瀬と祐介を𠮟責し、2人を野球部から強制退部させた。
だが、菜穂が真実を知り、真美、横山と誤解を解く為に奮闘。そして、野瀬と祐介も行動し、本当の犯人である牧田に謝罪させることができた。相良は、牧田の謝罪動画を見て涙をこぼす。今まで自分が嘘をついていたこと、そして祐介と野瀬がいかにいい人であるかを南高、北高の野球部の前で話す。それを聞いた監督は、祐介と野瀬に頭を下げて謝った。「お前らのこと信用してやれなくてすまなかった」という監督の言葉で、すべての誤解が解けたのであった。

『告白する相手を間違えました』の用語

北高(きたこう)

菜穂が通う高校。男女共学である。勉学もさることながら、部活動もさかんな学校である。特に野球部は放課後だけでなく、朝練習もこなしている。
進学校までとは言わないが、それなりに校則は厳しい。毛染めは禁止である。携帯は持ち込みOKだが、授業中に操作しているのがばれると携帯没収の罰が下る。菜穂は、祐介と授業中にメールをしていて教師にばれた。没収を免除してもらうべく、菜穂は「部活動応援委員」に指名された。「部活動応援委員」は委員会のひとつでいろんな部活の応援に行く委員会である。部の試合やコンサートがあると必ず応援にいかなければならない。
かつて南高の野球部に、北高の野球部マネージャーが暴行された。その犯人が野瀬と祐介であると濡れ衣を着せられ、北高野球部は野瀬と祐介のことを嫌っていた。だが、菜穂や真美の計らいで暴行事件の犯人は一個上の先輩たちであったことが判明した。よって、野瀬と祐介の濡れ衣は晴れて、北高と南高の交流も復活した。

南高(みなみこう)

祐介と野瀬が通う学校。男女共学。北高とは違い、不良率の高い高校である。髪の色も、赤や金など派手な生徒が目立つ。特に野瀬と祐介は「赤髪コンビ」として名が通っているほどだ。
菜穂が初めて南高に遊びに行ったとき、正門から校舎に入るまでの通路に生徒たちがたむろしていた。みな、授業は真面目に受けずに時間を持て余す。見慣れない顔の菜穂を見て、南高の生徒たちは珍しがっていた。
南高にも野球部はあり、現在でも活動している。だが、野瀬と祐介が在籍していた頃は強かったのだが、2人が暴行事件をきっかけに退部した後から弱小チームになった。結局、北高の野球部マネージャーへの暴行は、一個上の先輩の仕業だということが判明し、野瀬と祐介の濡れ衣は晴れた。南高の野球部監督も、野瀬と祐介を信じなかったことを謝罪した。

祐介‘s SNS

本作で度々出てくる祐介のつぶやき。祐介のリアルな気持ちが分かるツール。
作中では一コマで「祐介‘s SNS」が出てくる。祐介は「菜穂が可愛い」「菜穂と手を繋ぎたい」など、本音をつぶやく。祐介が使っているのは従来型のガラケーなので、菜穂やほかの友達からは呟いているところは見えない。いわば、読者のみぞ知ることの出来る祐介の気持ちだ。菜穂の前では不愛想な祐介でも、本当は菜穂と一緒に過ごしたことを幸せに感じていることが、このSNSから読み取ることができる。

『告白する相手を間違えました』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

大蔵祐介「ひとつの間違いから俺はお前に惚れたんだ」

菜穂は、祐介に本当は野瀬に告白しようとして勘違いして祐介に告白してしまったことを話した。この場面で、ようやく菜穂は本当のことを話すことができた。菜穂は赤髪という特徴だけで勘違いしたことを恥ずかしいと思っている。祐介に合わせる顔もなく、菜穂は反省する。だが祐介は、すべての話を聞いてから菜穂の手を握った。そして「…でもお前に出会えた」と菜穂の目を見た。「ひとつの間違いから俺はお前に惚れたんだ」と菜穂の手をさらに強く握る祐介。祐介は、菜穂の勘違いを肯定し今の自分の気持ちを大切にした。菜穂の告白が、本当は野瀬へのためだったとしても、祐介は菜穂とやりとりするうちに本気で好きになったのである。だから、この「好き」という気持ちを祐介は大事にしたいのだ。
祐介は間違えて告白され、最初は「面白そうだから付き合う」ということだったが、祐介はだんだんと菜穂のことを本気で好きになった。「ひとつの間違いから俺はお前に惚れたんだ」という祐介の言葉はこの物語がこれから進む上でも重要なセリフだ。祐介は間違いを否定せず、菜穂のことを本気で好きになった気持ちが表された名セリフである。

神山菜穂が「祐介を支える」と宣言する場面

今まで祐介が付き合った彼女たちは、祐介が彼女を暴行したという事実を聞くと去って行った。そのたびに傷ついていた祐介を見て、野瀬は祐介を守らなければいけないと思っていた。野瀬から祐介の恋愛遍歴を聞き、「そんなことがあったんだ…。野瀬くんの行動はゆうちゃんを思ってのことだったんだな」と感じた菜穂。「私…最初はゆうちゃんのこと少し怖かったです」と菜穂は話し始めた。「仏頂面であんまり喋ってくれないし。でもゆうちゃんを知っていくうちに、実はすごく優しいし可愛いし、私はそんなゆうちゃんが大好きなんです」と話す菜穂の頭には、2人で並んで歩く祐介との景色が浮かぶ。祐介の大きな背中や、満面の笑み。それらすべてが菜穂にとって愛おしいものだ。「だから別れたくないんです」と菜穂は言う。うつむく野瀬に菜穂は「野瀬くん、野瀬くんのその役、私じゃダメですか?」と言った。野瀬は「え?」と驚いた様子だ。「私もゆうちゃんを守りたいです」という菜穂の言葉は、不良というレッテルを拭ったありのままの祐介に対する気持ちだ。「ゆうちゃんを支えたい。彼女としてこの先ずっと」という気持ちが菜穂のなかで確立されている。菜穂は、いつでも強いキャラクターではない。しかし、純粋に人に恋をする素晴らしさ、汚れのない誰かを思う気持ちが現れた場面である。菜穂から放たれる強い意志は、野瀬の心を変えた。

野瀬哲平「何事も『出来る』ってイメージを持てば近づける。目をそらすな」

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