義母と娘のブルース(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『義母と娘のブルース』とは、桜沢鈴によって描かれ、株式会社ぶんか社から発売された漫画。4コマ漫画形式で、血の繋がらない母娘の物語が展開される。
4コマ漫画では登場人物が成長したり、亡くなったりすることをタブー視するが、この作品は小学生の女の子が父の死を乗り越えて、父の再婚相手と心を通わして本当の親子になっていく20年間の軌跡を描いている。
テレビドラマ化もされており、女優の綾瀬はるかが主演を務めた。

『義母と娘のブルース』の概要

『義母と娘のブルース』とは、2011年3月に株式会社ぶんか社から発売された漫画である。作者は桜沢鈴で、『主任がゆく!スペシャル』の2008年Vol11、2009年Vol13~2010年Vol30に掲載された作品と書き下ろし原稿により構成されている。
4コマ漫画形式で、1ページに縦4コマの2列で構成される。1行の4コマ内で起承転結があり、次の行の4コマにはその続きの起承転結がある。基本的に1つの話は見開き2ページで完結し、その構成が続くことによりストーリーが展開していく。
4コマ漫画では一般的に、時間の経過や死を扱う事はタブーとされるが、この作品は物語の中で時間が流れて登場人物が成長し、死を扱うシーンもあった。
テレビドラマ化もされており、主演は女優の綾瀬はるかが務めている。

物語は、小学生の娘をもつシングルファザー・宮本良一(みやもとりょういち)が再婚するところから始まる。再婚相手は、やり手のキャリアウーマン岩木亜希子(いわきあきこ)である。彼女は自己紹介するときに娘・みゆきに名刺を差し出した。亜希子は子供の扱い方を知らず、まるで仕事相手にするように接するのである。父の再婚に戸惑うみゆきと、仕事しかしてこなかった亜希子との生活は、かみ合うところがない。しかし時を経るにしたがって、本当の母と娘のように溶け合っていった。

『義母と娘のブルース』あらすじ・ストーリー

義母の家事1篇

つれ子のみゆき(右下)に名刺で自己紹介する亜希子(右上)

キャリアウーマンの岩木亜希子(いわき あきこ)は、営業部長として会社に貢献し、社員からは尊敬されていた。このまま会社で働き続けても、順風満帆の日々を送れる。しかし、その職を辞して、宮本良一(みやもとりょういち)と結婚して専業主婦になり、彼の娘・みゆきの母となる事を決めたのだ。

実際にみゆきに会い、新しいお母さんとして紹介されたところ「なんかやだ、この人」と拒否され、顔合わせは大失敗となる。亜希子は仕事一筋で生きてきたため、家庭生活や子育ては全く未知の分野だ。それでもみゆきの事を知り、自分を受け入れてくれるように努力を怠らなかった。
亜希子は、相手から理解される方法や受け入れてもらうスキルを営業職時代に積み上げている。仕事しかしてこなかったため、小学生のみゆきに対してもおなじ方法を試していた。一方、みゆきにとってそれらは突拍子もない事ばかりだった。そのせいで、みゆきは亜希子をよく分からない苦手な人と感じていたのだ。
家にいても亜希子にはアドバイスを求める電話がかかってくる上に、その相手は大企業の大物である。「まるで家に大物のオッサンがいるようだ」と、みゆきは感じていた。しかし、それらの出来事は彼女が会社でとても活躍した人材であることの表れでもあった。

ある日、亜希子はみゆきがいじめられていることを知り、会社での課題解決方法の基本である「問題点の洗い出し」を始めた。みゆき本人といじめっ子たちを調査し、リーダーをあぶりだし、そしてみゆきにリーダーと交渉するように言う。渋る彼女に対し、まるで部下に接するように励ましてリーダーの元へ行かせた。

亜希子は何事にも全力を出し、自分の能力を最大限に発揮する。例えば、スーパーマーケットでの買い物で製品の改善の提案が思いつくと、その会社に直ぐに連絡を入れたり、みゆきに気に入られたい一心で子供に人気の作品「プチキュア」の変身ポーズを練習したりする。家に押し売りが来たときはみゆきにその対処法を教えた。
彼女は仕事のことは不得手で、特に家事や手作業が苦手だった。黒焦げのご飯を作ってしまうなどの失敗をしながらも、一生懸命に様々なことに取り組む亜希子を見て、みゆきも少しずつ心を開いていく。

家族の生活篇

家事が下手でみゆきに呆れられていた亜希子だが、ある日学校の保護者会という挽回の機会が訪れた。
その保護者会には「ボス」と言われる人物がおり、どんな要望もその人物の意見が通る。みゆきはそのボスとは逆の要望を持っており、それを知った亜希子は、ボスを論破することを決心する。
亜希子は完璧なリサーチと論理構成が得意で、人を魅了するプレゼン能力を持っている。その能力を使って、奥様方から情報を収集し、資料を作り、保護者会に参加し、保護者会のボスを論破することに成功した。その勝利はみゆきにも影響を与え、ボスを倒す頭のいい義母を持つ娘として周りの女の子から注目される。

みゆきには、いつも遊ぶ相手に同級生の男の子・ヒロキがいる。彼はみゆきの事を大事に思う良い友人だ。
ある日、みゆきは亜希子の作った弁当を持って、林間学校に行く。彼女は可愛いキャラクターが人気の「ヨンリオ」のキャラ弁を頼んだつもりだったが、ふたを開けるとご飯の上にヨンリオ社の株価チャートが海苔で貼ってあった。女友達にそのお弁当を見られ動揺していた彼女を見て、ヒロキは心配の眼差しを向けていた。
みゆきが家にいない間、良一と亜希子はデートをする。そこで良一は、「不治の病でもう長く生きられない事」と「みゆきを1人にしない為に愛情の無いまま結婚した事」を話した。娘の母親が欲しかった良一と、人恋しかった亜希子の利害が一致した結果が結婚だったのだ。
その頃、林間学校にいるみゆきは、父・良一と母・亜希子がいる自宅が1番居心地がいいという理由で、家を恋しがっていた。再婚して数か月経ち、亜希子とみゆきは一緒にテレビを観たり、料理をしたりと仲よくなってきている。良一はそれを見て安心する反面、自分の居場所がないように感じて寂しい思いを抱えていた。そのため、亜希子とみゆきが喧嘩した際に仲直りさせることで、自分の役割を果たせた喜びを味わっていた。

父の死篇

良一は不治の病となり、それが悪化して会社からも出社を断られ、家で過ごすようになっていた。
ある日、家族で公園にピクニックにいく。みゆきには病のことは隠していたため、彼女は父が会社に行かず、自分が学校を休んでまで公園でピクニックすることを不思議に思っていた。
公園では、みゆきは良一の助けを借りながら自転車に乗る練習をした。良一は、倒れても何度でも起き上がり再び自転車に乗る娘を見て、「みゆきは強い子だからきっと自分が死んだ後も、立ち直ってくれる」と思うのであった。そしてこのピクニックの最中に良一は倒れ、病院に担ぎ込まれる。

病院運ばれた良一は、もう死ぬ覚悟ができていた。前妻を愛していたため、死ぬことで彼女のところに行ける事を喜んでいる部分もある。
亜希子との結婚は、良一にとっては自分が死んだ後に娘を託すための手段だった。しかしいざ死を目の前にすると、これまで彼女と一緒に生活してきた思い出が頭に浮かび、死にたくないと思うようになっていることに気付く。
一方、亜希子も良一と前妻との思い出の品を見て、彼女に嫉妬していることを自覚していた。看病に行くたびに良一は「出来るだけ長く生きたい」と言いキスをしてきたが、入院して3日後に亡くなってしまう。

葬式の日、父母を失ったみゆきは、これからは1人で生きていくつもりでいた。そんな彼女の態度を見た亜希子は冷静さを無くし、これからも本当の母と娘として一緒にいる事を話すのであった。

高校生篇

葬式から7年後。亜希子は「アラフォー」と呼ばれる年齢になり、みゆきは高校生になっていた。
亜希子は家事は完璧にこなすようになったが、いまだに日常的にスーツを着ている。みゆきへのしつけは完璧で、高校での彼女は、「勉強はできないけど作法の良い子」として認識されていた。
亜希子の教育は、子供への教育というよりサラリーマン教育に近い。例えば、みゆきが高校生活のアドバイスを求めると、ビジネスでやってきた方法を教えた。そのため学校での彼女は、ビジネス用語を使う少し変な子になっていた。
みゆきは高校では男子にモテているが、両親を亡くした経験があるからか交際には慎重だった。そんなみゆきは、亜希子に「お父さんと結婚したのに直ぐに死んでしまった事、結婚した事に後悔はないのか」と聞いた。すると亜希子は、「後悔は全くない」と微笑ながら返す。その微笑を見たみゆきは恋をする勇気が湧いた。
それから沢山の男子と恋をする決意をしたみゆきは、幼馴染のヒロキを筆頭に、高校の気になる男子たちに思いを馳せる。ある日、気になっていた1人である相川優人(あいかわゆうと)から告白された。相川は「勉強出来ない子は好きじゃない」と言っていたため、彼の恋人になれないと思っていたみゆきは嬉しくなり、「好きになるように努力する」と答える。
同じ頃、亜希子は近所のパン屋で働き始めた。働いて得たお金はみゆきの結婚資金にするつもりである。パン屋での仕事は壊れやすい動物パンを扱ったり、食パンをスライスしたりと、キャリアウーマン時代には全くやったことのない分野だった。パン屋の店長は、初めは亜希子のキャリアに驚いて対応に困っていたが、不器用ながらも一生懸命に仕事をする彼女に好感を持つようになっていく。

『義母と娘のブルース』の登場人物・キャラクター

主要人物

宮本亜希子(みやもと あきこ)/岩木亜希子(いわき あきこ)

演:綾瀬はるか

この作品の主人公の1人で、題名の「義母」とは彼女のことである。良一と結婚したことで、苗字が「岩木」から「宮本」になった。
務めていた会社では、部長職に就くバリバリのキャリアウーマンだった。しかし仕事を続けるだけの人生を送る事に疑問を持ち、32歳の時に小学生の娘を持つ取引会社の営業マンだった良一と結婚する。

宮本(みやもと)みゆき

演:横溝菜穂(子供時代)/上白石萌歌(高校生時代)

作品の主人公の1人で、題名の「娘」にあたる人物。宮本良一の娘。良一が亜希子と結婚したため、彼女とは義母と娘の関係にある。

宮本良一(みやもと りょういち)

右の男性が宮本良一。

演:竹野内豊

岩木亜希子の結婚相手。前妻を亡くし、娘みゆきと2人暮らしをしていた。
不治の病で余命が少ないため、岩木亜希子に娘を託すために書類上の結婚をした。

下山(しもやま)

sas97919
sas97919
@sas97919

目次 - Contents