Cutie Honey Universe（第10話『あなたの思いやり、励ましに感謝します』）のあらすじと感想・考察まとめ

「Cutie Honey Universe」第10話『あなたの思いやり、励ましに感謝します』のあらすじ・ストーリー

華やかなファッションショーを襲う2人のパンサークロー怪人。その目的は出演者を誘拐し自分たちの下僕に改造することにあった。しかし、照明が消えた一瞬の間に怪人の1人は倒されていた。スポットライトに照らされたのはキューティーハニーの変身体の一つ、ファンシーハニー。ハニーは次々にその姿を変えて名乗り口上を述べる。「ある時はキャビンアテンダント、またある時は敏腕カメラマン、そしてまたある時はファッションモデル…しかしてその実体は！ 愛の戦士、キューティーハニー！」変身したキューティーハニーはシルバーフルーレを振るい怪人を倒すのだった。

早見家では、団兵衛と順平がファッションショーを襲ったパンサークロー怪人がハニーにより倒されたニュースを視聴していた。夏子が殺害されて以降、ハニーは何かに取り憑かれたようにパンサークロー怪人と戦い続けている。帰って来たハニーをいつものセクハラで出迎える団兵衛と順平だったが、ハニーは笑顔で団兵衛に鯖折りを決める。アンドロイドの怪力で腰を絞められた団兵衛は悶絶するが、「この痛み、癖になっちゃうかも」と懲りる様子はない。

PCISの会議室では、ハニーとジュネが今月のパンサークローによる事件を振り返っていた。ハニーの活躍により人的被害は最小限に留められているが、損壊物が多過ぎると本部から苦情が来ていると語るジュネ。ハニーは思い詰めた表情で「もっと多くのパンサークロー怪人を倒さなきゃ」と言う。あえて派手に戦うことでシスタージルを前面に引きずり出すのがハニーの狙いであった。ジルへの復讐心を滾らせるハニーだが、ジュネは本当にジルと戦うつもりなのかと問う。ハニーは、ジルを倒すためなら犠牲者が出ることも厭わないとの決意を見せる。ジュネは、そんなハニーに「私は最後の最後まで見届けよう」と言うのだった。

そのハニーは夜もまともに眠れず、布団の上で座っているだけであった。夏子の幻に苛まれ、夏子の遺品であるフォトスタンドに語りかけ復讐を誓うハニーは、台所で声をかけてきた青児にもそっけない態度を取る。青児には親友を奪われた気持ちは分からないと言うハニーは、もう如月博士との約束を気にする必要はないと青児に告げる。それは青児への拒絶だった。どんどん心を荒ませていくハニーにしてやれることがなく苦しむ青児。そして、その会話を早見家の屋根の上から聞いていた黒いタランチュラパンサーは、何かを決意したように溜息をつくのだった。

その後も、次々とパンサークロー怪人を叩き潰し、ジルへの挑発を繰り返すハニー。その荒れた戦いぶりを見るジュネは「そうだ…もっと燃えろ、真っ白になるまで」と復讐心に燃えるハニーの姿に満足気であった。

美術館を襲ったパンサークロー怪人を黄金像に化けて待ち伏せし、退治したハニー。彼女を出迎えたのはPCISの面々だけでなく、仕込杖と爆弾で武装した団兵衛と順平もであった。その光景を見て、青児に「PCISに家族見学日があるとは知らなかったぞ」と嫌味を言うジュネ。しかし、そんな彼らをよそにハニーはハリケーンハニーへと変身し次の戦いを求めて去って行った。それを二人を巻き込まないための気遣いだと言う青児だったが、団兵衛たちはお構いなしにハニーの追跡を青児に命令する。

高速道路をひた走るハリケーンハニーだったが、その進路を妨害したのは巨大な蜘蛛の巣だった。そこから現れたのは黒いタランチュラパンサー。戦いに来たわけではないと語る彼女だったが、夏子を殺した白いタランチュラパンサーと誤認したハニーは、問答無用でキューティーハニーへと変身し襲いかかる。しかし、エネルギー切れで不完全な変身しかできていない。そんなハニーを憐れむ黒いタランチュラだが、ハニーはそれでも無抵抗の彼女を路面に突き倒して剣で突き殺そうとする。

追いついた青児たちはハニーの凶行を制止しようとするが、それより早く飛来した槍が黒いタランチュラを救った。槍を投げたのは、黒いタランチュラを護衛するために勝手に出撃してきたドラゴンパンサーだった。ドラゴンパンサーと対決するハニーだったが、エネルギー切れを起こしているハニーでは相手にならず、たやすく弾き飛ばされる。もはやハニーブーメランすら飛ばせないハニーを守るため銃を向ける青児。黒いタランチュラはドラゴンパンサーにハニーと戦わないよう懇願する。まともに戦えないハニーにとどめを刺そうとしたドラゴンパンサーだったが、身を挺してハニーを庇う黒いタランチュラを見てその槍を止める。なおも戦おうとするハニーだったが、ドラゴンパンサーは「この私に弱い者の相手をしろとは、ずいぶんと侮辱してくれる」ともはやハニーへの戦意を失っていた。
黒いタランチュラは、ハニーに「お前にジル様は倒せない」と告げる。ドラゴンパンサーもハニーに対して勝算のない戦いを挑むのは止めろと諌めるが、聞く耳を持たないハニー。黒いタランチュラは、ハニーに「お前がジル様に勝てると思っているところを言ってみろ」と言うが、そこからいつのまにか団兵衛たちを巻き込んでの低レベルな口喧嘩合戦が始まってしまう。その最中に、黒いタランチュラが夏子の名前を出したことでハニーは思わず剣を取り落とし、黒いタランチュラに詰め寄る。「私と夏子は同じ悩みを持っていた」と夏子への共感を口にした黒いタランチュラは、「私は夏子を殺したくなかった！ たとえジル様の命令でもだ！」と叫ぶ。自分はジルへの忠誠と、夏子への共感で二つに引き裂かれたタランチュラパンサーの片方であると告げた黒いタランチュラ。彼女は、ハニーに生きていて欲しいと願う。それが夏子の願いでもあったからだ。
「タランチュラパンサー、なっちゃんのことが好き？」というハニーの問いに「もちろんだ」と答える黒いタランチュラ。それを聞いたハニーは、黒いタランチュラを信じることを決める。パンサークロー怪人を信じるというハニーに狼狽する団兵衛と順平だが、青児はハニーの決断を信じて銃を収めると、パンサークローから離反した黒いタランチュラとドラゴンパンサーを早見家に招くのだった。

早見家で暮らすにはそぐわない姿だと言う黒いタランチュラは糸で自分の姿を人間のように変化させた。そのついでにキューティーハニーの姿にも変身してお色気サービスを披露するが、団兵衛と順平のセクハラがあまりにもひどいのでドラゴンパンサーが巨大な前脚で制止に入る。それを見て、黒いタランチュラははあまりに巨大で邪魔なドラゴンパンサーも人間の姿に変化させる。アダルトなセクシー美女に変身したドラゴンパンサーはその姿にまんざらでもない模様。だが苛烈さはあまり変わらないようで、セクハラに及んだ団兵衛を捕まえてお尻をひっぱたく。巻き込まれた順平も一緒にお尻を叩かれて涙目である。

黒いタランチュラたちがすっかり早見家にとけ込んだ光景を、白いタランチュラは歯噛みしながら見ていた。自分の分身がジルを捨ててハニーの仲間になったことが許せないのだ。白いタランチュラは、自身の手で黒いタランチュラを抹殺しようと怒りを燃やす。

騒ぎも落ち着いて早見家の皆が寝静まった夜、ハニーは屋根の上でぼんやりと月を眺めていた。そこに現れたのは黒いタランチュラ。彼女は、ハニーに伝えたいことがあって接触を図ったのだ。その伝えたいこととは、夏子のハニーへの想い、「何があっても側にいたい」という気持ちだった。黒いタランチュラは夏子が遺した指輪をハニーに渡す。指輪を握りしめ、夏子を守れなかったことを悔やみ泣き崩れるハニー。その姿を見た黒いタランチュラは、糸の力で夏子へと変身した。声までも夏子そのものに変化させた黒いタランチュラを見て、最初は怒りと拒絶でそれを制止するハニー。「いい加減にして！ なっちゃんはもういない！」と叫んだ後に、その言葉の残酷さに再び泣き崩れるハニーだったが、夏子の姿を取った黒いタランチュラはそんなハニーの手を握る。その瞬間、夏子とのたくさんの思い出がハニーの脳裏によみがえるのだった。「ハニー、あなたに出会えてよかった。 ずっとずっと、大好きだよ」と、夏子の伝えたかったこと、ハニーへの愛と感謝を代わって伝える黒いタランチュラは、まるで夏子が乗り移ったかのようだった。号泣するハニーを抱き締める夏子の姿をした黒いタランチュラもまた、その目に涙を溜めていた。
そして、黒いタランチュラはハニーに再びジュネに気をつけるよう言う。しかし、黒いタランチュラがジュネの正体を告げようとした途端にその口は動かなくなる。それはジルへの忠誠心の名残だったのか彼女にもわからなかった。

翌朝、PCISに出勤してきたジュネを待っていたのはハニーだった。守りたい人を守れなかったと告げるハニーは、ジュネに対してパンサークローへの攻勢の決意を伝える。「だから私、もう守らない。 攻める。 あなたしかいない…協力して、ジュネ」吹っ切れたハニーを訝しむジュネ。
パンサークロー怪人に剣を突きつけて尋問するハニーの姿を見て悦に入るジルだが、白いタランチュラはそんなジルに新たな戦力を要求する。ジルはそれに応えると、真っ赤な戦闘用ロボットを白いタランチュラに与えた。パンサークロー本拠地へのハニーの来襲を心待ちにするジルは、今度こそハニーの心を我が物にしようとするのだった。

「Cutie Honey Universe」第10話『あなたの思いやり、励ましに感謝します』の感想・考察

黒いタランチュラパンサーから夏子の遺志を託されての最終決戦への前振り回といったところだろうか。
ドラゴンパンサーまでこのタイミングで離反するとは思わなかったが。
ようやくファンシーハニー登場で全ての変身体が本編で使用された。とはいえ扱いは雑で、ハリケーンハニー以外の存在意義が相変わらず疑われる。
また、大量の色違いパンサークロー怪人が登場してはすぐやられた中で、初登場にも関わらず速攻でやられて台詞も悲鳴しかなかった怪人（黄金像に化けたハニーに倒されたコブラの怪人）がいたのは哀れだった。