ガメラ 大怪獣空中決戦(平成ガメラ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガメラ 大怪獣空中決戦』とは、大映製作、東宝配給で1995年3月に公開された特撮怪獣映画。1980年の「宇宙怪獣ガメラ」から15年ぶりとなる”ガメラ誕生30周年記念”作品。平成ガメラシリーズ第1弾。 九州の五島列島で巨大な鳥型の生物・ギャオスが確認され、環境庁は捕獲のためギャオスを福岡ドームに誘導、そこへ永い眠りから目覚めた大怪獣ガメラが現れた。二大怪獣の熾烈な戦いは東京へと舞台を移し、想像を絶する大空中バトルが展開される。

鳥類学者である真弓は、県警の大迫に姫神島で消息を絶った恩師の捜索依頼に行く。そして、その島で島民が「鳥!」という言葉を残して嵐の中を消息不明になった事件を聞いた。興味を持った真弓は、大迫とともに島に渡ると、破壊しつくされた島の変わり果てた姿を見ながら、島の奥へと探索する。すると突然奇妙な鳴き声と共に二人の頭上を巨大な鳥が通過する。思わず腰を抜かした大迫が言った九州弁のセリフ。

普通の女性なのにまったく物怖じしない真弓と、警察官のくせに妙に怖がりでおどおどした大迫との対比が何とも可笑しいシーンである。

「朱鷺は人を喰いませんよ」

福岡ドームでのギャオス捕獲作戦が失敗に終わった後、草薙・米森・真弓の3人は防衛庁から今後の対策会議に呼ばれ、環境庁の斎藤審議官や自衛隊の佐竹陸佐らと今後の対策を話し合う。そこで真弓が、ギャオスはすべてが雌であるという報告をすると、相変わらずギャオスを捕獲を考える斎藤審議官は「繁殖しないのなら、朱鷺以上に重要な野鳥と言えるかもしれん!」と嬉しそうに言う。その言葉にムッとした米森が反論するセリフ。

言われた後に、不服な表情でコーヒーをすする斎藤審議官を演じる本田博太郎の特異なキャラクターが活かされた、会話のやり取りが絶妙なシーンである。

「助けたのは俺じゃない。草薙さん、ガメラは味方です!」

木曾山中に現れたギャオスを追って調査を行なっていた真弓は、逃げ遅れた現地の子供と一緒にギャオスに狙われていた。吊り橋に足を取られて動けない真弓。草薙と一緒に後から駆け付けた米森が二人を救助に向かう。そしてギャオスが空中から3人を襲おうとしたとき、突如ガメラが出現。ガメラはプラズマ火球でギャオスを木っ端微塵に粉砕。もう1匹現れたギャオスが3人に向かって超音波メスを発すると、ガメラは自分の手を犠牲にして3人をガードした。ギャオスはそのまま空中へ逃げ去り、ガメラも飛行して後を追って行った。米森に助けられた真弓は「ありがとう、あなたが来てくれなかったら」と彼に言うが、米森はこの言葉を返した。

「海竜丸」の一件もあり、それまでは人間に害を与える怪獣だと思っていた米森が、ガメラに助けられたことでガメラは人間の味方だと確信する大事なシーンである。

「身勝手過ぎます!」

ガメラの妨害を逃れ、短期間でさらに巨大化した最後のギャオスは東京に出現する。政府はギャオス捕獲をあきらめ、東京都民を避難させた後にギャオス攻撃を行うが、ギャオスは自衛隊の発射した誘導ミサイルを巧みに利用し、東京タワーを破壊させてしまう。真っ二つに折れた東京タワーの上に悠然と佇むギャオスの姿を呆然と見つめる米森、真弓、斎藤審議官と自衛隊の面々。米森が「本当にガメラが最後の希望になってしまった。」と呟くと、斎藤が「ガメラは今何処にいるんでしょうか…」とボソッと言った言葉に対し真弓が斎藤を一喝したセリフ。

斎藤はそれまでギャオスの捕獲ばかりを考え、邪魔なガメラを殺そうとしていたのだから、手のひらを返したような言葉に真弓が怒るのは当然というシーン。
ところでこの「身勝手過ぎます!」は、本編撮影中に、理不尽な指示を監督に受けたときなどにスタッフの間で大流行りしたらしい。

「ガメラは私達のために戦っているの!」

東京での壮絶なバトルを繰り広げるガメラとギャオス。両者はそのまま宇宙へと飛び出したのだが、翼を広げて攻撃を仕掛けようするギャオスの脚に噛み付いたガメラは、そのままジェット噴射を止めてギャオスもろとも落下し始めた。その様子を自衛隊のヘリの中から見ていた米森、真弓、そして草薙と浅黄。ガメラが傷つく度に傷が増え苦しむ実娘の姿に耐えられない草薙が、浅黄に「もういい!なぜおまえがこんな目に合わなきゃならん!この勾玉のせいか!」と怒鳴るが、浅黄はこのセリフを返した。

勾玉を通じてガメラと心を一つにする浅黄が、傷つきながらも最後の戦いに臨むガメラの心情を皆に伝える重要なシーンである。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「ガメラ」復活の影に「ゴジラ」あり

製作元の大映は当初、1966年に製作された大魔神3部作の復活を考えていたが、ゴジラの復活(1984年版『ゴジラ』)を契機にガメラの復活を望む声がファンを中心に高まっていた。
そもそもガメラを復活させようという試みは1980年代からあったのだが、1984年版『ゴジラ』が思いの外ヒットしなかったことから時期尚早と判断され、より怪獣の定着したvsシリーズの大ヒットを受けてようやく制作に踏み切ることとなった。
ガメラ復活の報が流れると、宣伝面でも大きく話題になったが、大映の要請で監督を快諾した監督の金子修介に与えられた制作予算は僅か5億(後に6億に増額)と、平成ゴジラシリーズの半分ほどであり、彼はギャグ映画かコメディにすることを覚悟したという。しかし、脚本に伊藤和典、特技監督に樋口真嗣を獲得したことで、「怪獣映画の王道」を作ろうということになった。また、ゴジラシリーズでは実現できなかった、ゼロからのリメイクや自由な作劇も可能となった。
作品自体の評価は非常に高く、キネマ旬報ベストテンに怪獣映画史上初めて選ばれたりもしたが、興行成績は観客動員90万人、配給収入5億2000万円と、配給収入目標の10億円に届かなかった。だがビデオ化権や放映権を見込んでかろうじて黒字を確保できた製作陣は、ガメラのキャラクターが世間に浸透したと判断し、後のシリーズ化を決定した。

劇中で報道する各局のアナウンサー

製作には日本テレビも関わっているため、劇中に同局系列のアナウンサーや報道番組である『ニュースプラス1』や、長崎国際テレビ・福岡放送・静岡第一テレビの番組やスタッフが登場している。
日本テレビのアナウンサーは「ニュースプラス1」のキャスターとして、真山勇一、木村優子、大神いずみ、新宿アルタのビジョンには永井美奈子、深夜臨時ニュースのキャスターには若林健治がそれぞれ出演。また、長崎国際テレビは、ギャオスが発見された島から中継するリポーターのマイクについた「社名ロゴ」のみ(リポーター役は女優)だが、福岡放送は古賀之士アナウンサーが福岡ドームからリポートした他、同社が契約使用している取材ヘリが登場。静岡第一テレビは田辺稔アナウンサーが同社報道スタジオで臨時ニュースを読むシーンへの協力となっていた。

航空自衛隊が協力を懸念

本作は自衛隊全面協力の元で制作される予定だったが、撮影にあたり自衛隊へ協力を要請したところ、陸と海は承諾したが、航空自衛隊だけは難色を示した。その理由は、原案の中に「ギャオスとの空中戦で航空機F-15Jが撃墜され、有楽町マリオンに墜落する」という展開があり、そこに懸念が持たれたためだった。幾度かの折衝を重ねた結果、このシーンは「戦闘機が出動するが、市街地上空のために交戦できない」というシーンに改められ、航空自衛隊の全面協力を取り付けている。そもそも協力の条件は「自衛隊機を落とさないこと」であり、これを踏まえて今作では意識して「自衛隊に損害が出る」というシーンは極力避けたとされる。
因みに後に製作される続編2作品でも戦車が爆発して陸自隊員が吹き飛ぶシーンはあるが、空自の航空機は1機も墜落しないという展開になっている。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』の主題歌

ED(エンディング):爆風スランプ「神話」

『神話』
作詞:サンプラザ中野、作曲:ファンキー末吉、斉藤かんじ、井上鑑、編曲:井上鑑、爆風スランプ

『神話(しんわ)』は1995年2月22日に発売された爆風スランプの27枚目のシングル。
大映製作の怪獣映画、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のエンディングテーマ曲としてリリースされ、収録アルバム『ピロリ』には、リミックス・ヴァージョンが収録されている。
歌の内容は爆風スランプが映画『バトルヒーター』で知り合った飯田譲治のSFドラマ『NIGHT HEAD』をイメージしたものである。

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