もぐささん(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『もぐささん』とは、栃木県出身の漫画家・大竹利朋が2013年12月19日から2014年2月13日まで『となりのヤングジャンプ』(集英社)にて、連載していたフードラブコメディ作品。ある日、主人公の小口虎雄は“普段は大人しい女の子“という印象しかないクラスメイト・百草みのりの大食いを目撃してしまう。その後、学校でも異常な食い意地と食欲を周りに隠しながらも、食の魅力に負け、幸せそうに食べるみのりを知っていく。美味しそうな料理と食い意地が張っているみのりの可愛さに心惹かれていく漫画となっている。

『もぐささん』の概要

『もぐささん』とは、大竹利朋が2013年12月19日から2014年2月13日まで『となりのヤングジャンプ』(集英社)にて、連載していた栃木が舞台の日本のフードラブコメディ漫画。その後2014年19号からは本誌の『週刊ヤングジャンプ』に掲載誌を移行し、2016年6・7合併号まで連載した。2016年5月24日に発行された全10巻で完結している。主人公である小口食堂の息子・小口虎雄は、偶然店に来た同級生・百草みのりの異常な食い意地と食欲をを知ってしまう。学校では大人しく控えめな彼女が、普段からは考えられない量のご飯を頬を緩ませ美味しそうに食べる姿を見た小口は、次第にみのりの事が気になりだし学校でも彼女を追いかけるようになる。 そして徐々に、彼女のとんでもない食事の仕方や食い意地に惹かれていく。2人は少しずつ仲良くなり、その後は百草と小口は「食べ友」として色々な店を出回り食を堪能していく。続編である『もぐささんは食欲と闘う』は2016年31号から連載され、栃木から東京の大学に進学したみのりがメインの話となっている。みのりの一人暮らしが始まり食欲と闘うさまや、同学年の水戸忍や島原まりとの出会い、グルメサークル「くいしんぼう」への入部、京都で料理修行をする小口との遠距離恋愛などの内容となっている。2017年9月24日に発行された全5巻で完結した。

『もぐささん』のあらすじ・ストーリー

小口とみのりの出会い

ある日の夜、片久里高校に通う主人公・小口虎雄(こぐちとらお)は自宅でもある「小口食堂」を手伝っていると、偶然にも同級生の百草みのり(もぐさみのり)が客として訪れ、ありえない量を注文するところを目撃してしまう。学校での彼女は大人しく控えめな性格で、普段の様子からはかけ離れている姿に小口は気になってしまう。

美味しそうに食べ幸せそうにするみのりを見て驚きと同時に可愛さを感じる小口。水のお代わりをする際に、みのりに同じクラスメイトの小口とバレてしまいみのりは焦って逃げるように帰ってしまう。

翌日、学校で見るみのりは普段通りの大人しく、控えめなクラスメイトのままだった。小口は昨日大食いしていたみのりの姿は夢だったのかと思いながら、授業中に彼女を観察しているとプレッツェルをこっそり食べている姿を目にする。

周囲に気づかれないように、ごく自然に食べ物を手に持ち絶妙なタイミングで食す「ステルス食い」を初めて見破った小口は、驚きとドン引きという感情をみのりに抱く。その後、授業中の「ステルス食い」について指摘すると、みのりは青ざめて震えながら動揺し、自らの食い意地を激しく卑下した。その焦りようが可愛く見えて、落ち込む彼女に小口は「誰かに迷惑をかけているわけでもない、直したいなら気をつければいいだけ」と優しくフォローした。
しかし、みのりは食に対する異常な執着を恥ずかしく思っており、人に知られたくない一面だと思っているようだった。
みのりは「この異常な食い意地や食欲のことを、なんでもするから黙っていて欲しい」と小口にお願いする。小口は「なんでも」と言われた勢いで「オレと付き合って」とみのりへ告白する。突然の発言にみのりがキョトンとしている間に冷静になった小口は、付き合ってとは恋愛の意味ではなく、すぐそこのソフトクリーム屋に付き合って欲しいという意味だと誤魔化す。

放課後、みのりと約束していたソフトクリーム屋を訪れて、一緒にソフトクリームを食べる2人。その時、小口が持っていたソフトクリームが溶け、液体状になったソフトクリームが垂れた。みのりは咄嗟に「あぶないっ」と言ってしゃがみこみ、溶けた一滴が地面に落ちる前に口で受け止めた。
小口はその行動に驚いたが、ソフトクリーム一滴に対しても美味しく食べようとするみのりを可愛いと思った。

小口による「ステルス食い」の観察・サポート

その後も小口は度々みのりの「ステルス食い」を目撃していく中で、次第にみのりの熱い食への想いを応援したくなり、陰ながらにサポートしていく。

学校からの帰り道、突然みのりから「一緒に帰りませんか」と誘われた時もあった。その理由は帰り道に和菓子屋さんがあり、見てしまうと食べたくなるから一緒に見ないように帰ってほしいとのことだった。小口は「食べたら?」と言うが、夕飯まで完食禁止令が出されており、それはダメらしい。小口は快く引き受け、みのりと一緒に帰ることとなった。和菓子屋の前でみのりは鞄を盾にし、視界から和菓子屋をシャットアウトする。しかし、人とぶつかりそうになったみのりは鞄を落としてしまう。その結果、和菓子屋の豆大福と目が合い「私もう、だめ」と食欲に負けた。小口は一緒に豆大福を食べることを提案し、2人で仲良く食べて帰った。

またラーメン屋で偶然遭遇した際には「外で女の子が豪快にラーメンを啜るのは恥ずかしい」と思っているみのりの気持ちを汲み取った。そして小口自ら豪快にラーメンを啜り「うまいって幸せだな」と美味しく食べることによってみのりを触発した。実際にみのりも「私も小口君みたいに食べようかな」と言って心ゆくまでラーメンを楽しむことができていた。

さらに共に洋食屋へ行った際には、小口が「ゴロゴロ大盛りビーフシチュー」を、みのりが「普通のビーフシチュー」を注文した。料理が届いたらお互いの物を交換し、みのりに大盛りの方を食べてもらおうと思っていた。いざ料理が運ばれ交換しようとしたが、洋食屋の店主がみのりをじっと見ており、みのりは恥ずかしさから普通の方を食べようとする。その時、小口は店主に見えない角度の中で、音を立てずに自分とみのりのお皿を交換した。小さい頃から食堂で皿と接してきた経験を活かし、みのりに大盛りを食べさせるというミッションを成功させた。

平との交流

ある時、みのりがクラスメイトで委員長でもある平ちぐみ(たいらちぐみ)に、授業中の「ステルス食い」を見破られ怒られてしまう。
小口は咄嗟に2人の間に入り、みのりが授業中に食べていたグミは自分のものである、と庇ったが平にすぐ見破られてしまう。反省するみのりに平は「自分で認めていればいい」とその場は収束したが、平の洞察力はみのりの脅威になると小口は本人以上に心配していた。
その後、偶然にも小口は自宅前で平と出会う。平は自分の物言いがきついことを気にしており、先日のグミの件で怒ってしまったことをみのりがどう思っているかを小口に聞いてきた。小口は「百草さんは平のことを怖いと思っていないよ」とフォローし、その一言で平は安心していた。そしてまた高い洞察力で「百草さんのこと好きなんでしょ?」と小口の気持ちを見抜く。言い当てるだけ言い当てて平は帰ってしまい、小口は平がこのことをみんなにバラすのではと不安になる。

後日、小口と小口の友人・佐野夏季(さのなつき)は偶然にもファミレスで平と遭遇する。
プリンアラモードを食べていた平はメロンだけ残しており、佐野がそれを揶揄ったために平はメロンを口に入れた。ファミレスを出た後、小口は再び平に出会う。みのりへ好意を抱いていることを誰かに言うつもりなのかと、小口が平に話しかけると突如、平の口からメロンが飛び出した。予期せぬ展開に小口は驚いていると、平は顔を真っ赤にして自分の好き嫌いが激しいことを告白する。
「委員長で真面目、常にちゃんとしている」というイメージがあるため、好き嫌いが多いことを周囲に言い出せず、平のコンプレックスとなっていた。そのため苦手なメロンも佐野に揶揄われたくないから、という理由から口の中に隠し、後ほどコーヒー牛乳で流し込む予定だったらしい。自分の秘密を知られたことから、本当はみのりとも仲良くなりたいことも平は小口に打ち明ける。そして仲を取り持ってほしいとお願いするのだった。

平自身もみのりと仲良くなるために、みのり達と食事を共にし始める。時折なんでも美味しそうに食べるみのりに感化され、偏食を変えるためにも平は苦手な食材と戦っているがかなり苦戦している。

「食べ友」となった小口とみのり

夏休みに入れば会う回数が減ってしまうと、小口は意を決してみのりを夏祭りに誘う。結果的に佐野や平などいつものメンバーで行くことになった。

夏祭り中、出店のものを次々食べては自己嫌悪するみのりに「食い意地が張っててもいいと思う!百草さんがいっぱい食べてるところ、好きだからさ」と心からの言葉を伝えた。みのりも「そんなこと言われたことないから救われた」と素直に受け取り喜んだ。夏休み中もみのりに会うために、色々なお店を回ったり食べ物の情報を交換する「食べ友」になろうと小口から提案する。
「食べ友」となった2人は夏休み中も洋食屋へ行ったり、商店街で鮎を食べたりなど交流を深めていく。

多部との交流

「食べ友」として中華料理店「喰龍楼」へ行った際に、みのりの小学校の時の同級生・多部千代子(たべちよこ)と遭遇する。
6年ぶりの再会にみのりは喜ぶが、多部は「あたしたちはライバル、友達じゃないぞ」とみのりを強く睨んだ。多部はみのりと同じ大食いで、自らをフードファイターと称するほど大食いに誇りを持っている。そんな多部は昔、「子供大食い日本一」の称号を持っており、それをへし折ったみのりに大差をつけて勝ちたい、という思いがある。

また、みのりは小学校時代、大食いであることを隠しておらず、しょっちゅう多部と大食い勝負をしていた。といっても毎回、多部が勝手にふっかけてきているだけで、みのりはあまりその意識がない。多部の転校により大食い勝負は129勝130敗と負け越していたままだった。
高校生になり、みのりの前に戻ってきた多部はまた勝負をふっかける。「点心5種入りの蒸篭を5個食べた方が勝ち」そして勝者には「1日5個限定の杏仁豆腐」が与えられる。杏仁豆腐を食べたいみのりも仕方がなく大食い勝負に挑むこととなった。

勝負が始まり、多部は初めから飛ばして勢いよく食べ進める。一方、みのりは味わってゆっくり食べていた。両者共に互角の勝負となり、蒸篭の最後は小籠包が5個入っている物だった。この小籠包の皮の中には熱々のスープが入っているため、先に皮を食べて中のスープを冷ましながら食べるしかない。これには流石の多部もスローペースになっていたが、みのりは小籠包を丸々ひとつ口に入れた。熱さを感じることなく味わっているみのりを見て、多部は「はふはふほー」を極めたのか、と驚く。
「はふはふほー」とは多部が編み出した技で、まだ多部自身は極められていない食べ技である。「はふはふほー」とは、「はふはふ」で熱い食べ物を口の中で回転させ、「ほー」で熱を一気に口から飛ばす高難易度の技。舌の動きと回転を合わせることで普通の何倍ものスピードで食べ物の温度を下げることが出来る。
6年前のみのりは何一つ食べ技を持っていなかったのに、ここまで成長しているとは、と多部は感動する。
しかし、みのりはそうではないと否定した。みのりは勝負のために食べ技を覚えたのではなく、多部とただ普通に食べたい気持ちから覚えたのだと告白する。大食い勝負をしている時以外でも、自分に興味を持ってくれるかもしれないと思い習得したのだ。みのりは多部が時折見せる「フードファイター」としてではなく、ただ純粋に「食を楽しむ女の子」としての笑顔が好きだと多部に伝える。
その言葉に照れた多部は、調子を狂わされたと照れながらドローを申し出る。勝負は引き分けとなり、みのりと多部は仲良く杏仁豆腐を食べた。

文化祭で「香山カフェ」オープン

文化祭の時期になり、担任の香山(かやま)が無類のコーヒ好きで、人にコーヒーを振る舞いたいことからみのりのクラスは「香山カフェ」をすることになった。
自分のコーヒーに合う「ふわり天使堂」のシフォンケーキも取り寄せ、香山カフェの営業は始まった。

メイド服を着るみのりに小口はときめきながら、仕事をこなしていく。みのりは接客中に、度々シフォンケーキを食べてしまいたい欲に駆られるが、太ももをつねってやり過ごすなど耐えていた。
そこに多部がやってくる。多部は大食い勝負を仕掛けてくるが、学校のみんなには大食いのことを隠している。そのことを理解した多部は言いふらすことなく、勝負はまた今度となった。代わりに香山カフェでシフォンケーキを食べ尽くしてしまう。
仕事が終わればシフォンケーキを食べられると思っていたみのりは、膝から崩れ落ち愕然とする。みのりは日にちを変えて、いつかシフォンケーキを食べられると気持ちを切り替える。
香山カフェが終わった後も、シフォンケーキを食べられなかったみのりはどことなく寂しそうに見えた。そこで小口は材料を買ってきて、自分でシフォンケーキを作った。それをクラスメイトに振る舞い、もちろんみのりにも食べさせた。みのりは念願だったシフォンケーキを食べられ、幸せそうな顔で小口にお礼を言うのだった。

食べ過ぎからボタンを飛ばすみのり

新年になり、小口と共に近所の神社に初詣へ行く小口とみのり。
そこで並んでいたお餅の出店に2人は行く。そしてお汁粉からお雑煮、きな粉餅など色んなお餅を楽しんでいく。
何十個か目のお餅を食べようとみのりが屈んだ時、腰辺りにあったボタンが耐えきれず弾け飛んだ。その様子を小口に見られ、真っ赤になりながらみのりは恥ずかしがる。みのりは「ボタンも弾け飛ぶ餅食い女でごめんなさいいいいい!!」と卑下する。小口は「ボタンも壊れかけだったのかもよ」とフォローしたが、みのりは去年も餅で太っていたことを明かす。
そしてみのりは、帰り道を遠回りしてダイエットを意識しているようだった。

小口とみのりのバレンタイン

バレンタインの時、平や友人・足利藤子(あしかがとうこ)と共にみのりは小口へチョコを作っていた。
2人から「小口のことどう思っているの?」と聞かれたが、みのりは「分からない」と答えている。小口に対しては感謝をしているし、けれど付き合うこと自体を考えたことがないためのこの答えだった。
しかし小口へのチョコを原形がなくなるほどデコレーションしている様子から、無意識ではあるが好意が芽生えていることが窺える。

多部の地元・厚切町でのラッコガールとなり大食い大会に出場するみのり

2年生になった春、放課後みのりの元に多部が突然訪れる。
多部は地元・厚切町(あつぎりちょう)でフードファイター「ラッコガール」に扮し町おこしをしている。ちなみに名前の由来でもあるラッコは大食いの動物で、1日に自分の体重の4分の1も食べることから命名されている。今日も町おこしの一環として大食い大会が開催される予定だ。

しかし、多部のコンディションが悪く、代わりにみのりに出て欲しいとお願いをしにきたのだった。セーラー服のような衣装と、ラッコの被り物をしているため顔は分からないからとみのりを説得し、みのりが多部のフリをしてラッコガールとして大会に出ることになった。多部がみのりをサポートして欲しいと、小口にも連絡している。

大食い大会の予選は「10分間で何杯わんこそばを食べられるか」という勝負だった。みのりの隣には、数々の大食いイベントで優勝を掻っ攫っていく「デイブ・タイソン」が座っている。のんびり味わって食べるみのりとは正反対に、デイブはお椀に蕎麦が入る前に箸で掴んで食べる「空中輸送(エアトランスポート)」という必殺技を披露する。その様子を見て、多部の名前に恥じないようにとみのりも本気を出すことを決める。蕎麦のお代わりを担当していた小口に「お代わりのスピードをあと3倍早くしても大丈夫」と宣言する。
そしてみのりが披露した技は、蕎麦がお椀に入る前に口の吸引力で蕎麦を吸い込むというデイブの技の上をいくものだった。デイブは驚愕したが予選は1位で通過し、みのりは2位となった。

決勝は「15分間でランダムに来る寿司を何枚食べられるか」そして「10皿ごとに大トロが運ばれてくる」というルールで行われた。予選と変わらず、小口は空いたお皿を避けるなどのアシスタントを務めた。決勝が始まり、序盤からかっ飛ばすデイブだったが、わさびに弱くペースはみのりと変わらない。みのりもいつもより早く食べ進めていく。そして10皿ごとの大トロが来たときには、目を輝かせて幸せそうに味わって食べた。ラッコガールに扮し寿司を幸せそうに食べるみのりの姿が、まさにラッコが食事をしているような可愛い様子に周りからは見えた。
その可愛さにデイブを含めた参加者全員が目を奪われ、結果的にみのりの独走状態になり優勝した。

沢山くいなとの交流

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