銀と金(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『銀と金』(ぎんときん)とは、1992年~1996年に『アクションピザッツ』(双葉社)において連載された福本伸行による漫画、及びそれを原作とするテレビドラマ、Vシネマである。銀王と呼ばれる裏経済界を牛耳る男・平井銀二との出会いをきっかけに裏社会に飛び込んだ森田鉄雄。株の仕手戦や巨額なギャンブルなど、バブル崩壊後の時代にうごめく闇の金脈を求めて繰り広げられる彼らの命を賭けたマネーウォーズが描かれる。

美緒たちとの勝負の際、唐突に桁違いの金額を乗せてレートで威圧しようとする西条たちのやり方に対して、さらにそれを遥かに上回る金額を上乗せし、実際にヒジの高さまで札束を積んで圧倒するときの森田のセリフ。
勝負が始まる前に西条に貧乏人扱いされ鼻で笑われたにもかかわらず軽く受け流したことも伏線となっており、森田の格好良さが際立つ「どや」シーンである。

「差別されたんだ…」

神威編最終盤、秀峰によって喉を撃たれ瀕死の状態になった邦男が森田に対して搾り出すように言ったセリフ。
その言葉に対し、だからといって殺しても仕方がないことや、なぜこんな雑なやり方を選択してしまったのかと邦男に共感するがゆえ言葉数多く感情的に語りかける森田に対して、既に殺され横たわっている勝広の遺体を見つめながら、もう一度同じ台詞を繰り返すシーン。そこにいたるまでの回想描写と相俟って、作中屈指の悲しいシーンとなっている。

「彼らがこう理解してほしいという「思い」のとおりに彼らを理解してやることだ…ころぶよ…オレはこのやり方でもう百人以上…あらゆる階層の人間を落としてきた…」

河野とのサシ競馬対決の際、普段日の目を見ない厩務員や厩舎所属の騎手たちの協力を得るための策略を語る銀二のセリフ。
承認欲求に飢えた人とのコミュニケーションにおいて、一定の根拠に基づいた客観的な見解を口にしても空気を読まない正論の押し付けになるだけだ。人心掌握に長ける銀二の経験に裏打ちされた核心を突いた一言。

テレビドラマ

『銀と金』の概要

2017年1月8日よりテレビ東京系のドラマ枠「土曜ドラマ24」で毎週土曜24:20 - 24:50に放送された同名タイトルのテレビドラマ。全12話。監督は古厩智之・中前勇児、主演は池松壮亮。また、Amazonプライム・ビデオ限定で第1話を1月7日から先行配信、テレビ東京では放送されなかった第13話「連続殺人鬼・有賀編」が3月26日より配信された。

主要キャスト

森田 鉄雄:池松壮亮
平井 銀二:リリー・フランキー
土門 猛:大石吾朗
伊沢 敦士:嶋田久作
梅谷 哲:ダンカン

ほか

7trie05051986
7trie05051986
@7trie05051986

Related Articles関連記事

賭博黙示録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

賭博黙示録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

1996年~ 1999年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。働きもせず、しょぼい酒と博打に明け暮れる自堕落で最悪な毎日を送る若者カイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ足を踏み入れ、その後様々なギャンブルに挑んでいく様が描かれる。

Read Article

賭博破戒録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

賭博破戒録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2001年~2004年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。自堕落でどうしようもない毎日を送るカイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ身を投じていく様を描いた前作「賭博黙示録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する様子が描かれる。

Read Article

賭博堕天録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

賭博堕天録カイジ(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2004年から「週刊ヤングマガジン」にて連載されている福本伸行によるギャンブル漫画。保証人としてかつてのバイト仲間の借金を肩代わりさせられたことをきっかけにギャンブルの世界へのめりこんでいく様が描かれた「賭博黙示録カイジ」、そして膨れ上がった借金の代償として地下労働を強いられ、そこから地上へと戻ってくるまでが描かれた「賭博破壊録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する模様が描かれる。

Read Article

アカギ〜闇に降り立った天才〜(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

アカギ〜闇に降り立った天才〜(福本伸行)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

福本伸行による麻雀漫画。「別冊近代麻雀」(1991年7月号)にて連載開始。その後「近代麻雀」に移行した。「天 天和通りの快男児」に登場する「伝説の雀士」赤木しげるを主人公とするスピンオフ作品。若き日のアカギが不良グループ同士の抗争事件の後、身を隠すためまぎれ込んだ雀荘で麻雀と出会い、幾多の名だたる代打ち雀士たちとの勝負を経て、究極の敵、鷲巣巌との決戦に至るまでが描かれる。

Read Article

1日外出録ハンチョウ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

1日外出録ハンチョウ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『1日外出録ハンチョウ 』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』の主人公とチンチロ博奕で合間見えるハンチョウこと大槻太郎(おおつきたろう)を主人公としたスピンオフ作品である。消費者金融を主とする帝愛グループは多くの劣悪債務者を地下強制労働施設に収容する。そこで勤労意欲を促す最高価勤労奨励オプションが“1日外出券”である。この作品は“1日外出券”を頻繁に購入する大槻が限られた1日をいかに謳歌するかが描かれているギャグ漫画である。

Read Article

目次 - Contents