銀と金(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

『銀と金』(ぎんときん)とは、1992年~1996年に『アクションピザッツ』(双葉社)において連載された福本伸行による漫画、及びそれを原作とするテレビドラマ、Vシネマである。銀王と呼ばれる裏経済界を牛耳る男・平井銀二との出会いをきっかけに裏社会に飛び込んだ森田鉄雄。株の仕手戦や巨額なギャンブルなど、バブル崩壊後の時代にうごめく闇の金脈を求めて繰り広げられる彼らの命を賭けたマネーウォーズが描かれる。

丸宝総業グループのトップ。不細工な容姿へのコンプレックスから自身のことを「金を持たなければサル」と認識しその信念のもとのし上がった、銀二曰く「醜男が成功する典型パターン」。日本旭相手に株の仕手戦を仕掛け資産のほとんどをつぎ込み破産しかけていた時に、銀二によって出された助け舟に乗り仕手戦の本尊を明け渡すことになる。

土門 猛(どもん たける)

梅谷が仕手戦を仕掛けた日本旭のメインバンク・帝日銀行の頭取。娘の結婚相手である国会議員の海道を支援したいという親切心から癒着へと関わってしまったり、伊沢が政変時に行ったインサイダー気味の株取引の手法をとがめる正義感を見せたりするなど、本作に登場する有力者の中では珍しく比較的人のいい人物である。

伊沢 敦志(いざわ あつし)

自由民政党最大派閥・竹本会のナンバー2で、政治その他の面でも豪腕ぶりを発揮する実力者。帝日銀行の癒着問題をめぐり拉致されてしまった銀二たちを救うため、森田から力添えを頼まれる。銀二曰く、他の政治家が似合いもしない善人面を装う中、伊沢だけは「悪」を演じることによってその能力の高さを周囲にアピールし、求心の糧とする特異な人物である。

中条 明夫(なかじょう あきお)

銀二と別れた森田が独力で金を稼ごうと躍起になっていたときにターゲットとなった画商。若い頃はセザンヌの描いた一枚の絵画に心打たれ画家を志した純朴な青年だったが、長年画商として絵画にまつわる人間の暗部に触れ続けたことでその心は歪んでしまう。森田との勝負で敗れ4億円もの大金を失ったことで精神に変調をきたす。最終的には川田の下で彼の言うままに働く手ごまとなってしまう。

川田 三成(かわた みつなり)

森田と同時期に同じく中条をターゲットにしていた詐欺師。中条行きつけの高級クラブで常識外の料金をふっかけられそうになっていた森田を助けた事をきっかけに、中条をはめる作戦に協働で臨むことになった。中条から大金をせしめた後、同様の手口で次の相手を探そうとしないことや、その作戦に使ったセザンヌの絵画を土門に返却しようとしたことなどから方向性の違いを感じ、森田と袂を分かつことになる。

西条 進也(さいじょう しんや)

東証一部上場企業・西条建設社長の次男。同じような境遇のボンボン二人とつるみ、若い女性とのイカサマポーカーで金と身体をほしいままにしていた。思いがけず森田に敗北したことでプライドを傷つけられ、周到に準備を整えてリベンジ戦に挑むも森田にイカサマの裏を突かれ返り討ちにあう。そこでの負けを補填するため蔵前と麻雀で勝負するが、そこでも敗北し破綻する。

蔵前 仁(くらまえ ひとし)

巨大企業グループ「誠京」をほぼ一代で作り上げたその総帥。選挙にうって出る若手議員を招いたギャンブルパーティーを開き、議員が勝てば金を支払い、負けても政策で応えてくれれば良いというスタンスのもと低金利の借用書で済ませるという手法で、政治家との癒着を深めてきた。金を積み上げ過ぎた結果、人間を「飼育」と称して檻に閉じ込め、破滅していく様を眺めることが何よりの愉悦とする常軌を逸した嗜好を持つに至る。

神威 秀峰(かむい ひでみね)

家電メーカー大手「カムイ」の会長。家長を頂点にした序列を絶対とする神威家の七代目家長。神威家と勝利を至上とし、そのためなら息子たちを殺すことも厭わないという信念を持つ。そうした信念は、常に兄弟同士でも争うよう強制し、出来の悪い者には容赦なく制裁(虐待)を加えるという歪んだ教育方針へと反映され、結果的に勝広・邦男による凄惨な復讐劇の元凶となった。

神威 勝輝(かむい かつてる)

7trie05051986
7trie05051986
@7trie05051986

Related Articles関連記事

賭博黙示録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博黙示録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

『賭博黙示録カイジ』とは、1996年~ 1999年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。働きもせず、しょぼい酒と博打に明け暮れる自堕落で最悪な毎日を送る若者カイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ足を踏み入れ、その後様々なギャンブルに挑んでいく様が描かれる。

Read Article

賭博破戒録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博破戒録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

2001年~2004年に「週刊ヤングマガジン」で連載された福本伸行によるギャンブル漫画、及びそれを原作とするアニメ、映画のこと。自堕落でどうしようもない毎日を送るカイジが、保証人としてかつてのバイト仲間の借金を返済するためギャンブルの世界へ身を投じていく様を描いた前作「賭博黙示録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する様子が描かれる。

Read Article

賭博堕天録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

賭博堕天録カイジ(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

2004年から「週刊ヤングマガジン」にて連載されている福本伸行によるギャンブル漫画。保証人としてかつてのバイト仲間の借金を肩代わりさせられたことをきっかけにギャンブルの世界へのめりこんでいく様が描かれた「賭博黙示録カイジ」、そして膨れ上がった借金の代償として地下労働を強いられ、そこから地上へと戻ってくるまでが描かれた「賭博破壊録カイジ」の続編として、再びカイジが勝負の世界で奮闘する模様が描かれる。

Read Article

アカギ〜闇に降り立った天才〜(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

アカギ〜闇に降り立った天才〜(福本伸行)のネタバレ解説・考察まとめ

『アカギ〜闇に降り立った天才〜』とは、福本伸行による麻雀漫画。「別冊近代麻雀」(1991年7月号)にて連載開始。その後「近代麻雀」に移行した。「天 天和通りの快男児」に登場する「伝説の雀士」赤木しげるを主人公とするスピンオフ作品。若き日のアカギが不良グループ同士の抗争事件の後、身を隠すためまぎれ込んだ雀荘で麻雀と出会い、幾多の名だたる代打ち雀士たちとの勝負を経て、究極の敵、鷲巣巌との決戦に至るまでが描かれる。

Read Article

1日外出録ハンチョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

1日外出録ハンチョウ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『1日外出録ハンチョウ 』とは原作・萩原天晴、漫画・上原求、新井和也、協力・福本伸行による漫画。福本の代表作『賭博破戒録カイジ』の主人公とチンチロ博奕で合間見えるハンチョウこと大槻太郎(おおつきたろう)を主人公としたスピンオフ作品である。消費者金融を主とする帝愛グループは多くの劣悪債務者を地下強制労働施設に収容する。そこで勤労意欲を促す最高価勤労奨励オプションが“1日外出券”である。この作品は“1日外出券”を頻繁に購入する大槻が限られた1日をいかに謳歌するかが描かれているギャグ漫画である。

Read Article

目次 - Contents