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tatunoriのレビュー・評価・感想

JUDY AND MARY / ジュディ・アンド・マリー / ジュディマリ
10

王道ロック

JUDY AND MARYはかつて一世を風靡したロックバンドです。解散してしまいましたが、その後も根強い人気があります。その魅力はどこにあるのでしょうか?それは出だしからグッとリスナーの心を鷲掴みにしてしまう曲のスタイルにあると言えるでしょう。さらにヴォーカルのYUKIの独特な歌唱が支持されたのだと思います。彼女のリズム感の良さと、エレキギター、ドラムなどが快速で駆け抜けるようなサウンド。それらが合わさって人気を博したというわけですね。もちろん、アップテンポの曲以外のミディアムテンポの曲でも彼らの演奏はとても光っています。大ヒットした「散歩道」や「そばかす」以外にも、「RADIO」のようにコーラスも含めて完璧に格好いい曲があります。今でも解散が惜しまれているバンドですが、YUKIはソロになってからも活躍を続けています。彼女の著書によると解散の理由は、内紛や、彼女の私生活における発展のためだったそうですが、優れた演奏技術を持ったメンバーでした。いわゆるバラードよりもアップテンポの曲が目立つところも、いかにもロックバンドらしくて素敵ですね。1990年代には新しいバンドが多く出現しましたが、その中でも優れたアーティストだったと思います。

巨神兵東京に現わる / Giant God Warrior Appears in Tokyo
8

破滅と絶望の10分間

エヴァンゲリオンが好きで、ナウシカが好きで、シン・ゴジラも好きだ!という方にこそ見て頂きたい作品です。
「CGを一切使わない」という制約の元に作られた、有名なジブリ作品「風の谷のナウシカ」に登場する巨神兵が、現代の東京に突如現れて世界を焼き尽くすまでの、この世の絶望という絶望を10分間に濃縮した作品です。
登場人物は、東京に住む「私」と、そこを訪ねてくる「弟」のみですが、同士でのドラマはほぼなく、東京が、世界が、全てが焼き尽くされていく様子を、声優の林原めぐみさんが、エヴァンゲリオンの綾波レイのような、淡々としたナレーションで世界の終わりまでを語っていきます。
巨神兵が破壊の限りを尽くすシーンがほとんどで、人間がそのままでる描写は全然ないのですが、劇中のそこかしこに人が住んでいた・生きていた様子が散りばめられており(集合住宅に洗濯物が干されている等)、「これが全て奪われてしまったのか」と、夢に出てきそうなほどの後引く恐ろしさと絶望を感じさせる描写は他の作品ではなかなか見られないものだと思います。
個人的には「シン・ゴジラ」の後日談的なストーリーなのかな、と思いますが、錚々たるメンバーによって制作された濃密な短編ですので、きっと違うんだろうなと思うと同時に、一般人には一生正解の分からない作品にもなっているのかなぁとも感じます。奥の深い作品です。

コロニア(映画) / Colonia
4

何の話だったのか?

実話をベースにはしていますが、史実的にはあまり正しくない感じかなと思います。そんなにグロくは描いてないけど、実際はもっともっもひどかったのだろうなと思いました。驚愕の実話なんだから、もっと恐ろしいところをいっぱい描いて欲しかったです。でも、その設定だけでもおそろしいし、入ると2度とは戻れないカルト集団に恋人のために入るというのもすごいです。なかなか肝のすわった娘さんだと思いました。
でも、実際、どうするつもりだったのでしょう?なんか、もう少し、他の手立てを考えてみるとかがあり、これしか方法がなかったんだ感が出ていたらよかったかなと感じました。グループに入ってからは、なかなか従順に見せかけていて、あまり何も起きなかったです。服を脱がされるみたいな描写はあったけど、下着の確認とかそんな感じでしたし、ヒロインももっと危険な目に遭う、そういうグループじゃないんかい!とちょっと拍子抜けです。
脱獄系は好きなので、そこらへんの描写好きです。でも、結構何の話なのか?どこに主軸を置いているのかはわかりにくい話でした。結局、ラブロマンスを主としているのかもですが、いや、そこはあまり重要じゃないんちゃう?と思ってしまいます。エマ・ワトソンさんはとても綺麗で凛とした顔が素敵なので、彼女のファンにはおすすめです。

マリー・アントワネット
7

歴史物というよりはファッショナブルな青春映画?しかしそこがマリー・アントワネットらしいかもしれない

非常にソフィア・コッポラらしい演出のマリー・アントワネットです。
主演のキルスティン・ダンストの配役には、いかにもアメリカ人っぽい彼女のイメージがフランス王妃にそぐわないとしてフランス国内から反発があったようですが、キルスティン・ダンストの演技には惹きつけられたし、ソフィア・コッポラの監督作品として十分に堪能できたので良かったと思います。
歴史上の人物として人気の高いマリー・アントワネットの史実として観るよりも、おしゃれな青春映画として観たほうが楽しめるかもしれません。

とはいえ、ストーリーはマリー・アントワネットを研究したツヴァイク女史の著書を原作としており、ちゃんとした伝記になっています。
原作のほうも読みましたが、かなり忠実に映像化しています。
余計につけ加えられた設定のようなものは、まったく見当たりません。

それでも、この映画には歴史物っぽさがあまりありません。
本物のベルサイユ宮殿で撮影しているのですが、重厚感や壮大な歴史を感じさせるわけではなく、ファッショナブルにカメラに収められ、そのうっとりするような美しさを前面に出しています。
音楽にも個性が現れていて、クラシック音楽から、インディーロック、エレクトロニカなどの多様なジャンルが同じエッセンスでまとめられていて面白いなと思います。
サウンドトラック盤もオススメです。

10代で外国に嫁がされて苦悩したマリー・アントワネットを象徴するように、役者達の演技は若々しさに満ち溢れています。
偉大な映画監督を父に持つソフィア・コッポラも、子役として成功していたキルスティン・ダンストも、子供の頃からセレブ界に身を置いてきた女性であるため、生れながら王室の一員であり、フランスに来てからは常に人の目にさらされていたマリー・アントワネットの心情を表現することに、ふさわしい人物だったのではないでしょか。

色とりどりのドレスやお菓子、有名な盛り髪もしっかりと再現されています。
この作品のファッション性の高さが、マリー・アントワネットの特徴そのものを表しているのかもしれません。

デヴィッド・ボウイ / David Bowie
10

変幻自在のカルトスターにしてスーパースター

60年代末から亡くなる2016年まで、約50年にわたり活躍した、イギリスが誇るロックスター。

全盛期と言われる70年代の作品が注目されがちですが、後期の作品にも素晴らしいものがたくさんあります。
特に2013年発表の『ザ・ネクスト・デイ』と晩年の2016年に発表した『ブラックスター(★)』は、70年代の傑作にも匹敵するくらいの出来ではないかと思います。
『ザ・ネクスト・デイ』は全体的に快活でストレートなロックアルバムという印象ですが、歌詞をよく読むとボウイの思想の深さが垣間見えます(ラストを飾る『Heat』という曲には、なんと三島由紀夫の小説『豊饒の海』の一場面を連想させる歌詞が登場します)。
『ブラックスター』は、現代ジャズの要素を取り入れた非常に実験的なアルバムです。
それでいてキャッチーさや美しいメロディも随所にあり、決してリスナーを置いてきぼりにはしません。
死の直前まで音楽のスタイルを変え続けるあたり、さすがデヴィッド・ボウイ!という感じです。

80年代(特に83年に『レッツダンス』を発表して以降)のボウイは、商業主義に走り過ぎ、芸術面では低迷したとしばしば言われます。
確かにそういう面もなくはないのですが、当時の作品を改めて聴き返してみると、楽曲単位のクオリティは決して落ちていなかったのでは、と思います。
特に『ラヴィング・ジ・エイリアン』や『アブソリュート・ビギナーズ』は鳥肌モノです。

とはいっても、やはり70年代の作品も最高です。
ロック史の名盤でもある『ジギー・スターダスト』(72年)はもちろん、個人的には『ステイション・トゥ・ステイション』(76年)も最高にファンキーで大好きです。

これほど音楽性を変え、ときにはキャラクターも変えながら、第一線で活躍し続けたミュージシャンはなかなかいないのではないでしょうか。
カルト的な人気を持っていた70年代から、大衆的な人気を獲得していく80年代以降へ、という過程を追うのも楽しいと思います。

通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー
8

ギャップの塊系ヤンキーお兄さん

ある時、女性が『そしたら旦那「夏の唐揚げは胃もたれする」とか言って残したのよ!?』と電話相手に愚痴っていた時に、アイスを持った息子が走ってヤンキーにぶつかり、ヤンキーのパンツをアイスで汚してしまいます。
その男性は金色の長めな髪に強面という見た人が怯えてしまうようなヤンキーで、母子はもちろん怯えてしまいますがこのヤンキー桜井さんは誰よりも優しく、生活の知恵を多数知っているギャップ系男子でした。

怯える子供の頭を優しく撫で「ちゃんと謝れるの偉いね、犬の柄が入ってかっこ良くなった(アイスのシミが犬の顔っぽい形になっていた)」と安心させ、お母さんには「肉を揉み込む時にこの子の小指ほどのわさびを足して見たらいいかもしれないっす」と、唐揚げの一言アドバイスを添えます。
お母さんは早速それを実践したようで、旦那は残さず唐揚げを食べた模様。

このギャップ系ヤンキーの苗字は桜井と言います。
桜井さんの優しさとギャップに惹かれる人達は続出し、次第に彼の交友関係も広がっていき、中には惚れる女性も少なくありません。同性や子供たちにもモテます。

しかし、その魅力は彼と関わって見なければ分からず、見た目から与える印象はやはり「怖い人」。
彼が誤解を与えてしまうようなファッションをしている理由や、多くの知識を有している理由はどのようなものなのかも気になりますが、何より、桜井さんのような人と友達になりたい、とつい考えてしまう魅力があります。

だがしかし / Dagashi Kashi
8

駄菓子漫画にしては、ターゲット年齢層が高い作品です

連載当初から読んでいましたが、実在の駄菓子がテーマだとすぐにネタが尽きてしまうのでは?と思いました。いざ蓋を開けてみれば全く飽きない展開と、有り余るほどネタに溢れた駄菓子の深い世界です。

美人なのに駄菓子狂いでちょっと変わった蛍さんや、駄菓子屋を継ぎたくないからと漫画家を目指しているのに駄菓子の知識とそれを売り込むセンスがありすぎるココノツ、他にもたくさんの魅力的なキャラクターがいることで退屈する暇はないんですが、それにかまけて駄菓子がおざなりになることなく、しっかりとストーリーのメインには駄菓子が存在しているのが凄い。
ココノツが女性キャラの胸に触れてしまうといった、いわゆる露骨な「ラッキースケベ」はほとんど無いにも関わらず、セクシーさを感じるフェチ表現が各所に描かれ、こだわりの強さを感じます。

それらの要素を見ていると、作者であるコトヤマ氏が本当に駄菓子やフェチズムが好きなんだろうな、と考えたりもします。後で知りましたが、コトヤマ氏はフィギュアなどを含むおもちゃも好きらしく、だがしかしの各所に溢れる駄菓子愛とフェチズムはそう言った趣味と情熱がふんだんに詰め込まれているのでしょう。ハイクオリティ駄菓子漫画だと思っています。