歴史物というよりはファッショナブルな青春映画?しかしそこがマリー・アントワネットらしいかもしれない
非常にソフィア・コッポラらしい演出のマリー・アントワネットです。
主演のキルスティン・ダンストの配役には、いかにもアメリカ人っぽい彼女のイメージがフランス王妃にそぐわないとしてフランス国内から反発があったようですが、キルスティン・ダンストの演技には惹きつけられたし、ソフィア・コッポラの監督作品として十分に堪能できたので良かったと思います。
歴史上の人物として人気の高いマリー・アントワネットの史実として観るよりも、おしゃれな青春映画として観たほうが楽しめるかもしれません。
とはいえ、ストーリーはマリー・アントワネットを研究したツヴァイク女史の著書を原作としており、ちゃんとした伝記になっています。
原作のほうも読みましたが、かなり忠実に映像化しています。
余計につけ加えられた設定のようなものは、まったく見当たりません。
それでも、この映画には歴史物っぽさがあまりありません。
本物のベルサイユ宮殿で撮影しているのですが、重厚感や壮大な歴史を感じさせるわけではなく、ファッショナブルにカメラに収められ、そのうっとりするような美しさを前面に出しています。
音楽にも個性が現れていて、クラシック音楽から、インディーロック、エレクトロニカなどの多様なジャンルが同じエッセンスでまとめられていて面白いなと思います。
サウンドトラック盤もオススメです。
10代で外国に嫁がされて苦悩したマリー・アントワネットを象徴するように、役者達の演技は若々しさに満ち溢れています。
偉大な映画監督を父に持つソフィア・コッポラも、子役として成功していたキルスティン・ダンストも、子供の頃からセレブ界に身を置いてきた女性であるため、生れながら王室の一員であり、フランスに来てからは常に人の目にさらされていたマリー・アントワネットの心情を表現することに、ふさわしい人物だったのではないでしょか。
色とりどりのドレスやお菓子、有名な盛り髪もしっかりと再現されています。
この作品のファッション性の高さが、マリー・アントワネットの特徴そのものを表しているのかもしれません。