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sousaku1122y8のレビュー・評価・感想

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

連載終了後も注目を集め続けている『ゴールデンカムイ』

2022年4月28日に連載が終了した、大人気漫画『ゴールデンカムイ』。
明治末期に主人公の杉元佐一をはじめ、陸軍第7師団や土方歳三などが、金塊を巡って争奪戦を繰り広げるバトル漫画だ。マンガ大賞や手塚治虫文化賞など数々の賞を受賞している。連載終了前後の全話無料公開を機に一気読みをして、ハマった人も多いのではないだろうか。私もその1人で、全話無料で読み終えた後すぐに単行本を買ってしまった。

最後まで金塊争奪戦という軸がぶれずに展開するストーリーは、飽きることなくどんどん読み進めていける。作者の徹底的な取材をもとにしたアイヌ文化の紹介は、自分の知らなかった文化や歴史を学ぶことができるだろう。随所に散りばめられたギャグも思わず笑ってしまうものばかりだ。

個性的なキャラクターたちも魅力の1つである。主人公一味はもちろんのこと、敵対勢力のボスで怪しげなカリスマ性がある鶴見中尉。その鶴見中尉の部下で、常識人だが心に闇を抱えた月島軍曹や、興奮すると早口の薩摩弁になってしまう鯉登少尉など癖の強い登場人物たちが大暴れする。さまざまな勢力を行ったり来たりする尾形百之助も、そのミステリアスさが女性に人気だ。

このような個性豊かな登場人物たちの活躍をぜひ読んで確かめてみて欲しい。面白いだけでなく、歴史や民俗文化も学べるこの作品は、この先も多くの人に愛されるだろう。

ダンジョン飯 / Delicious in Dungeon
9

ある種タブーに踏み込んだ異色のファンタジー作品

剣と魔法の世界を舞台に、勇者が世界を救ういわゆる「ファンタジーもの」は数あれど、「ダンジョン飯」ほど異色なものもあまりないのではないでしょうか?

この作品に登場する冒険者は、別に人助けをするわけでも世界の平和を守るわけでもありません。ただ、個人的な目的のため地下ダンジョンの奥深くへと分け入り、魔物を倒し得たものを糧に生活をしているんです。

主人公たちもそんなしがない冒険者のひとり。ただほかのパーティと違うのは、倒した魔物を調理しておいしくいただいちゃってるんです。

オオカミやドラゴンなんかならまあ許容範囲。おそらく他の作品でもそういう描写もあるでしょうが、この作品雄秀逸なのは、一見食に適さないような魔物に関しても、ちゃんと「生き物」としての生態が存在し、こんな味がして、だからこんな料理にして食べられるんだ……という説明がとにかくユニーク。

たとえば、ミミックという宝箱に化ける魔物はこの世界ではヤドカリのような生き物で、塩ゆでにするとおいしいとか、実は宝箱にコインが詰まっているのは、ミミックを餌にするために寄ってきた「コイン虫」というコインに擬態した虫が正体だから──という感じ。
言ってることがめちゃくちゃなんだけど、なんか納得できてしまう説得力を持っているんです。とはいえ、この世界の冒険者でも、魔物を食べるという行為はゲテモノ扱いされているんですけどね(笑)。

周りの冒険者仲間からも眉をひそめられながらも、ダンジョンの奥地でもくもくと魔物を食べ続ける主人公一行ですが、それにはちゃんと理由があるんです。その理由が、物語の軸として働いているため、単純なキワモノではなく、ちゃんと骨太なファンタジー作品としてのバランスが取れているのもこの「ダンジョン飯」の魅力。設定のユニークさと、緻密さが、唯一無二の世界観を紡ぎだしているので、未読の人はぜひ手にしてみてください。

死役所
9

あの世とこの世の境にある死役所。訪れる数多くの人たちの死に様、生き様に、生きることについて考えさせられる話。

短編集なので、飽きることなくすらすら読めます。
死役所には、事故、病気、他殺、自殺など様々な理由で亡くなった人が訪れます。それぞれの生き様に、やるせない気持ちになったり、憤りを感じたり、生きるということについて深く考えさせられます。
死後に起きた出来事に、生前の自分の行動に後悔する気持ちが生まれても、どうすることもできない。くも膜下出血で植物状態になった真名人に、18年間寄り添い続けた恋人の才。長い年月そばにいてくれたという事実を、真名人は自分の死後初めて知ることになります。この話は読んでいて切ない気持ちになりました。
また死役所で働いている職員がすべて死刑囚という設定というところが感慨深く、職員のハヤシさんの過去は、読んでいてやるせなくて、つらい気持ちになりました。ハヤシさんがしたことは決して許されることではありませんが、ハヤシさんを裏切った妻の行動には酷く憤りを感じます。自分が犯した罪を反省するため、自分の罪と向き合うことを決意するハヤシさんに胸が苦しくなりました。
同じく職員のシ村さんは、冤罪により死刑囚になったという過去があります。これから徐々に明らかにされていくので続きを読むのが楽しみです。