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4hkannyaのレビュー・評価・感想

乙嫁語り / A Bride's Story
10

何もかも只々美しい中央アジアがテーマの漫画

『乙嫁語り』は森薫(もりかおる)氏の作品で、19世紀後半の中央アジアが舞台となっている作品です。
物語の開始時、町で定住生活を営むエイホン家の少年当主・カルルクの下に嫁いできたのは、遊牧民ハルガル家から嫁いできた乙女アミル。カルルクより12歳年上の彼女を疎ましく思うエイホン家の親族、娘を政略結婚の道具として扱おうとするアミルの実父等々の存在がありながらも、溌溂として誠実な性格のアミルと、年若くも責任感があり夫としての自覚を持つカルルクは徐々に仲を深めていきます。

ここまで書くとこの二人が物語の主役のように映りますが、実は真の主人公は中央アジア一帯を旅し民俗学的、地政学的記録を残しているイギリス人青年スミスです。彼は旅する先々で上記の2人以外にも様々な人物、特に美しい花嫁や乙女、未亡人と出会い、交流を深め現地の文化や情勢を記録することになります(ただし漫画の冒頭で出るアミルとカルルクの出番は作中特に多いです)。

この旅の中でスミス氏が直接知り合う人物たちは女性、男性問わず善良な人々がほとんどです。加えてストーリー中で何か諍いが発生しても、話の区切りは基本的にハッピーエンドよりなので、近代の中央アジアという珍しいテーマの漫画でありながらストレスなく読み進められます。

そしてこの漫画の最大の見どころは、目が痛くなるほど精緻に書き込まれた服や敷物、装飾品、動物の描写です。特にヒロインの婚姻衣装や結納に用いる寝具の類の描き込みは凄まじく、一コマ一コマが芸術作品といって過言ではありません。
これらはどれも中央アジアという、雄大にして美しくも厳しい環境に生きる人々にとって重要な要素であり、作者の絵はそれを文章以上に雄弁に伝えてくれます。

『乙嫁語り』はストーリー構成もしっかりしていて面白いのですが、背景も含めただ美麗な絵を眺めているだけでも癒され、普段は中々触れることがない近代中央アジアの世界に浸ることができます。歴史好き、漫画好きな人は元より、万人が楽しめる作品だと思います。

真夏の方程式
8

ガリレオシリーズ劇場版第二弾!子供嫌いの湯川が少年と交流?!

帝都大学教授の湯川は、乗っていた電車内で「ケータイの電源を切れ!マナーだろ!」と迫る老人と「電源は切れない」と拒む少年、恭平が揉めだしたところに「アルミホイルに包めば、電源を切らなくても電話はかかってこない」と仲裁する。玻璃ヶ浦という海辺の町に着いた湯川。海底資源開発の説明会に専門家として招かれていたのだ。
説明会で反対派の住民、川畑成実に出会う。湯川の宿泊先の旅館「緑岩荘」の経営者夫婦の娘であり、電車で出会った恭平のいとこでもあった。湯川は旅館で恭平と再会し、「博士は成実ちゃんの敵なんでしょ?」と話しかけられ、「非論理的だな。」といつもの調子で返す。科学は真理を追求する地図だと淡々と説明する湯川に「科学って理科なんでしょ?理科って嫌いなんだよね。」と恭平は興味なさげだ。その後、湯川は地酒を飲むために居酒屋へ、恭平は緑岩荘の主人でおじの川畑 重治と花火を楽しむために庭に向かい、それぞれの夜を過ごしたのだった。
翌朝、緑岩荘のもう一人の宿泊客、塚原という男性が旅館近くの堤防で遺体となって見つかる。実はこの塚原、前日の夜に旅館で重治の妻、節子に刑事をしていたと告げ、仙波英俊のことを尋ねようとしていたのだった。明らかに節子は動揺していたが、物理以外に興味のない湯川はその様子に全く我関せず。しかし、恭平は事件に興味を持ち、湯川に話しかけてくるのであった。恭平がふと漏らした、「海の中を見てみたい」の一言を聞き逃さなかった湯川。「だから地図が必要なんだ」と何やら材料を買い込んで、旅館に戻ってきたところへ、警視庁管理官の非公式の命を受けた岸谷刑事がやってきて、またしても意に反して事件に関わることになってしまう。
湯川は事件の真相に辿り着けるのか?そして理科嫌いの恭平に科学の魅力を伝えることができるのか?テレビシリーズや前作でも見せなかった少年と交流する湯川の姿にも注目だ。

終末のワルキューレ / Record of Ragnarok
8

終末のワルキューレ「人間VS神 人類の存続を掛けた神との闘い」

人類の存続を掛けて、人間が神と1対1の殺し合いを繰り広げます。互いに代表を13人(体)ずつ選抜し1試合ずつ行い、先に7勝を挙げた側が勝利となります。人類の代表は漫画オリジナルキャラや歴史上の人物が選出され、神側の選抜も誰もが聞いたことのある神達が選ばれております。漫画表紙を飾っている屈強な男たちが死んでしまうまで闘いを繰り広げます。あっさり神側が勝利すると思われますが、そうではございません。武器に変身できる戦乙女(ワルキューレ)という13人の姉妹が、神に対抗するべく選抜された人間に適した神器に姿を変え、ともに戦います。これにより神に致命傷を与えることができ、3戦目代表の佐々木小次郎は見事ポセイドンに勝利を果たしました。どの試合も互角の戦いが繰り広げられ、最後の最後までどちらが勝つのかわからない内容になっております。戦闘中にキャラたちの過去の回想シーンが度々描かれておりますが、それにより各キャラのここまでの経緯や強さの理由を知ることができます。4戦が終了したところで互いに2勝2敗にまで縺れ込みます。人類がどのように神々に立ち向かっていくのか全く想像がつかないのが、読み続けてしまう理由なのだと思います。読者の期待をいい意味で裏切ってくれる予測不能な究極の戦闘漫画ですので、バチバチの戦闘系漫画を探されている方は必見です。是非読んでいただければと思います。

orange(漫画) / オレンジ(漫画)
8

若いころ亡くした大切な仲間を何とか助けようと奮闘するパラレルワールドの高校生たち

人は誰でも後悔を抱えている。翔の場合は、高校生にはしょいきれない精神疾患にかかった母親の存在だ。高校生は自分のことで精いっぱい、とても母親の気持ちや精神状態を気遣う余裕がない。自分の感情もストレートにぶつけるし、母親が自殺してしまったことで取り返しのつかない後悔を抱える。転校してきたがいつの間にか仲間からかけがえのない存在になっていく。現在の世界では翔は亡くなって存在していない。自殺?事故?真相はわからないのだが翔のいない今を生きる仲間たちの思いが、10年前の高校生の自分たちを動かしていく。もしもこうであったら?こうしていたら?翔が死ぬまでの時間、食い止めるチャンスは何度もあった。時が戻せるなら今とは別の未来が別の世界で作れるかもしれない、そんな現代人の願望が映画の中で少しずつ現実になっていく。翔の子供を産んでいたかもしれない菜穂然り、翔の親友で今は直の旦那である弘人然り。直は現実世界では翔と一緒に生きられないけど、好きな男の子に何とか別世界で生き続けてほしいという願望なんだろうと思う。個人的には翔が死んでボロボロになっていた菜穂を支え結婚して家庭まで持った弘人の方が好感は持てるが。自分の妻のいちずな思いをほっておけなくて協力したんだと思う。人にはいろいろな幸せがあって菜穂は翔と結婚できなかったけど今の現実世界では十分幸せになっているのだろう。翔との思い出もよいが菜穂の弘人との現実世界での心の葛藤や幸せも映画にしてみたいところである。

RHYMESTER
10

日本が誇るKING OF STAGE

1989年に結成された日本を代表するHIPHOPグループ。
メンバー構成はラッパーの宇多丸、Mummy-D、DJ JINによる3人組のグループであり、あのCreepy Nutsも「俺たちの師匠はRHYMESTERさん」と言うほど、数々の有名アーティストに影響を与えている存在。
そんなRHYMESTERの一番の魅力は、HIPHOPが好きな人や初めてHIPHOPを聴く人関係なく、場を盛り上げて見ている人を圧倒し虜にさせるほどのライブパフォーマンス。あまりにもライブがすごいため、RHYMESTERのライブは「KING OF STAGE」と呼ばれるほどである。そのため、HIPHOPのイベントだけでなく、他ジャンルが融合する音楽フェスなどにもよく呼ばれたりしている。
そして、RHYMESTERのメンバーは音楽以外のソロ活動も果敢におこなっている。
宇多丸は映画やアイドルの評論家としての他に、ラジオパーソナリティーとして65年間続いていた野球中継の後釜番組として、毎週月曜から金曜の18-21時に「アフター6ジャンクション」という番組のMCという大役を担い、現在もTBSラジオの目玉番組として局を担う存在である。
そして、Mummy-Dは俳優としてドラマや映画に出演のほか、NHKの「2020東京パラリンピック」応援企画にAwitch、ZORNと共に参加するほど、多才な才能を活かし様々メディアに引っ張りだこな存在。
DJ JINも全国のクラブイベントにゲストとして呼ばれたり、ラジオパーソナリティーとしても活躍。
結成30週年を超えるが生涯現役と言わんばかりの幅広い活躍で、様々な業界に影響を与えているHIPHOPグループである。