若いころ亡くした大切な仲間を何とか助けようと奮闘するパラレルワールドの高校生たち
人は誰でも後悔を抱えている。翔の場合は、高校生にはしょいきれない精神疾患にかかった母親の存在だ。高校生は自分のことで精いっぱい、とても母親の気持ちや精神状態を気遣う余裕がない。自分の感情もストレートにぶつけるし、母親が自殺してしまったことで取り返しのつかない後悔を抱える。転校してきたがいつの間にか仲間からかけがえのない存在になっていく。現在の世界では翔は亡くなって存在していない。自殺?事故?真相はわからないのだが翔のいない今を生きる仲間たちの思いが、10年前の高校生の自分たちを動かしていく。もしもこうであったら?こうしていたら?翔が死ぬまでの時間、食い止めるチャンスは何度もあった。時が戻せるなら今とは別の未来が別の世界で作れるかもしれない、そんな現代人の願望が映画の中で少しずつ現実になっていく。翔の子供を産んでいたかもしれない菜穂然り、翔の親友で今は直の旦那である弘人然り。直は現実世界では翔と一緒に生きられないけど、好きな男の子に何とか別世界で生き続けてほしいという願望なんだろうと思う。個人的には翔が死んでボロボロになっていた菜穂を支え結婚して家庭まで持った弘人の方が好感は持てるが。自分の妻のいちずな思いをほっておけなくて協力したんだと思う。人にはいろいろな幸せがあって菜穂は翔と結婚できなかったけど今の現実世界では十分幸せになっているのだろう。翔との思い出もよいが菜穂の弘人との現実世界での心の葛藤や幸せも映画にしてみたいところである。