一流ホテルで繰り広げられるミステリー映画
本作は、東野圭吾の長編ミステリ小説「マスカレード」の第1作目を原作とした映画である。
長澤まさみ演じる山岸尚美(やまぎし なおみ)は本作の舞台「ホテルコルテシア」で働くホテルマンだ。映画の冒頭、理不尽なクレームを寄越す宿泊客を華麗に対処してみせる尚美は、まさに優秀なホテルマンと言える。そんな一流ホテルで、木村拓哉演じる捜査一課の警部補・新田浩介(にった こうすけ)がホテルマンとして潜入捜査をすることから展開していく。潜入捜査が始まってすぐあたりで、ホテルマンにふさわしい身嗜みを強要された新田が散髪をするシーンがある。短髪になり、ホテルマンの制服に身を包む新田だが、その姿は少々板につかない。しかし、映画を通してどんどん様になっていく姿はこの映画の見どころの1つと言える。
ホテルマンとして宿泊客を尊重する尚美、そして刑事として宿泊客の安全を第一に考える新田。それぞれの信念を持つ2人は、最初こそそりが合わないものの徐々にお互いの正義を理解して事件解決を目指すようになる。
本作には様々なクセの強い宿泊客が登場するが、そんな「クセ強」宿泊客が織りなすサイドストーリーも、メインストーリーに劣らぬ面白さがある。そして、メインストーリー、サイドーストーリーに散りばめられた違和感が繋がったとき、本作は急展開を迎える。どんな展開になるかは、実際に見てみてほしい。