響~小説家になる方法~ / 響 -HIBIKI-

響~小説家になる方法~ / 響 -HIBIKI-

『響~小説家になる方法~(HIBIKI)』とは、柳本光晴による日本の漫画作品およびそれを原作とした映画作品。
出版不況に苦しむ文芸業界。太宰の再来でも顕れないかと嘆くとある編集部に直筆の原稿が届く。編集部員の花井は、応募条件を満たさず、ゴミ箱に捨てられていたその原稿を手に取った。目を通した作品は、これまでにない革新的な作品だった。作者へとつながる唯一の手がかりは、原稿に書かれた名前だけ。これを機に、止まっていた文芸界の歯車が回り出す。

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響~小説家になる方法~ / 響 -HIBIKI-のレビュー・評価・感想

響~小説家になる方法~ / 響 -HIBIKI-
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原作マンガで描かれている臨場感や主人公の異常性にはまだまだほど遠い…

原作マンガ「響」では主人公の天才であるが故の異常性が表情などの細かな部分にも描かれており、その一つ一つを読み手側が回収していくことで異常性の中にある純粋な文学への思いや、一人の人間としての喜怒哀楽を読み解いていくことができる。映画「響-HIBIKI-」では映画初出演にして、初主演である欅坂46 平手友梨奈が原作と類似する容姿・雰囲気を利用し、そのような難しい一種の伏線のようなものを見事に演じることで原作ファンをも納得させる演技を披露した。しかし、どんなに好演をみせても脚本が面白くなければ意味がない。原作マンガとは少しずつ時系列をズラした内容の映画になっていた為、原作ファンとしてはあるべき場所に伏線がなく、考えることも、盛り上がることもなくオチがやってきてしまう。本来であれば話が進むにつれて膨らむはずの想像や臨場感などはほぼ皆無。少し物足りないような感覚に陥ってしまう。映画ラストでは結局のところ今後の主人公がどうなるのかもわからず、不完全燃焼の状態で終わってしまう。その後PRの為のテレビ出演時やメイキング映像の中で監督と平手友梨奈のエピソードとして、『初めて監督とあった際、(脚本の内容が)「つまらない」と伝え、その後脚本を少し変更した。』というものがある。変更した上での出来上がった映画がこれであるならば、最初はどれほどの酷かったのか…

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圧倒的「才能」の暴力

出版不況に苦しむ文芸業界。そんな編集部にある日、一作の新人賞応募作が届きました。
その作品は応募要項を全く満たしておらず、作者の名前以外は連絡先さえわからないという始末。見かねた編集部は一度はボツにしたが、その作品は紛れもない「傑作」だった――。
これはそんな作品「御伽の庭」と、作者である主人公・鮎喰響を中心に繰り広げられる現代ヒューマンドラマです。
本作品の魅力的だと思う点は、まず何といっても主人公だと思います。
高校生ながら他を寄せ付けない圧倒的な文才と感性という才能を持つ主人公。破天荒で歯に衣着せない物言いや思ったことをすぐに実行する行動力から、周りとの衝突も絶えません。そんな主人公が作品を生み出し、小説家としてどのように成長していくのか、そして主人公が抱いた夢とは――。という内容を主人公の高校三年間に密着するように展開されていきます。
そんな主人公を横で支える編集者・花井ふみもある意味では主人公と言えるかもしれません。「文芸の時代を創る」と志した彼女に注目して読むと、また違った楽しみ方ができると思います。
純文学という大衆にあまり馴染みのないジャンルの業界や編集部というものがどのような存在なのかということがリアルに感じられつつ、主人公の才能によってどんどんと展開されていくストーリーがとても秀逸で面白い作品でした。

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主人公 響の特殊性

この作品を見て私が一番はじめに感じたことは「主人公に共感できない」という事でした。
普通どの映画を見ても主人公にある程度は共感できる部分があるものなのですが、この作品の主人公「響」には全くと言って良いほど共感できませんでした。しかし、最後まで見ると、「この作品はそれでも良いのだ」と感じることができました。

響は誰もが認める天才ですが、おそらく誰もが認める変人です。その天才で変人の響に振り回されながらも、響の言葉に心を打たれ動かされる周囲の人たちこそ、私たち凡人に近く、そして周囲の人たちにこそ共感しやすい、そんな作品だと思います。特に、天才の隣で彼女と自分を比較して落ち込んでしまうリカの複雑な心境には、共感できる人は多いのではないでしょうか。
自分がどれだけ努力してもかなわないほどの天才に出会った時、自分の才能に自信がなくなり卑屈になってしまうリカの姿はとても人間らしく、共感できました。

また、この作品で初めて主演を務めた平手友梨奈さんの演技にも注目です。彼女の演技は初めての映画ということもあり、多少拙さは残るものの、おそらく多くの人がスクリーンの中にいるのが「平手友梨奈」であると意識しないはずです。そこにいるのは紛れもなく「響」であり、その役の入り込み方に彼女の将来性を感じました。
そんな将来性が期待できる女優を起用できたという点も、個人的にはこの作品を評価できると思います。
ただ、「響」という作品を2時間という時間にまとめるのは難しかったのか、響の才能と暴力性が際立ってしまい、彼女の信念や人柄について視聴者に伝わりづらかったのではないかと感じる点が少し残念ではあります。

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文芸界を震撼させる社会現象を巻き起こす天才小説家の誕生

女子高生の響が、小説をとある雑誌の新人賞に応募したことから物語がはじまります。
応募要項を満たしてないと、読まずに捨てられそうだった手書きの原稿用紙を、若い編集者に拾われその小説は新人賞へ。
プロの小説家達が審査員としてその応募作を読むことで静かに話題が広まっていき、響の小説は新人賞を受賞します。
その新人賞の授賞式で響は暴力事件をおこしてしまい、マスコミにも注目されることに。
そして響の友人であり、文芸界のトップにいるとされる小説家の娘であるリカや、響と共に新人賞を同時受賞した田中、数年にわたり小説家をやりつつ芥川賞を狙う山本などの人物の生活や響からの影響、響との対比も描かれつつ舞台は直木賞、芥川賞の発表の時期へと移っていきます。
史上最年少での直木芥川同時受賞という快挙を達成してまた会見の舞台へ。
マスコミからの嫌がらせは響のみならず担当の編集者に矛先が向き耐えかねた響はまたもや暴力事件をおこしてしまいます。
その会見の帰り道に会場を離れた響と芥川賞にノミネートされたものの受賞を逃してしまった山本が出会ってしまいます。
破天荒ながらもかわいらしい女子高生として描かれていた響と周りを取り囲む友人や様々な境遇に立たされている大人たちとの対比がおもしろくストーリー展開もスピード感があって漫画の実写映画であることを忘れて最初から最後まで魅入ってしまいました。本当にオススメできます。

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映画『響 -HIBIKI-』はガチの面白さ

原作の『響 〜小説家になる方法〜』を読んだ上で映画を観ています。
本作はマンガ大賞2017大賞を受賞していますが、実はそれなりにアンチが多いと感じられる作品です。
表紙からもわかるように画力が高いとは言えませんし、主人公の思考がぶっ飛びすぎてついていけない、非現実的すぎる、と感じる読者も多いようです。
しかしこの作品は他の漫画にも共通するようにフィクションとして割り切って見れば、実はとても面白い作品なのです。

映画の主演は欅坂46のセンターである平手友梨奈です。
劇場では、おそらく彼女のファンであろう方々が半分以上だったのでは、と感じられる客層でした。
メディアにも滅多に出演しなかったミステリアスな彼女ですから、初主演の話題性は大きかったと思います。
しかし、実際に映画を観たら決して話題性だけで彼女を主演にしたわけではないと、いやでもわかるような気合の入れ方が感じられました。
あれは響です。決して自分の信念を曲げず、人と対立することを恐れず、大事な人を守るためなら全力で大人の男を蹴り倒す友達思いの響です。

小説家の話なので派手なストーリーではありませんし、映像化しやすい作品だと思います。
だからこそこのテーマで話を面白くするのは難しいと思うのですが、素晴らしく面白い映画に仕上がっていました。

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これは断じてアイドル映画ではない。

日本の場合、漫画作品を映画やドラマで実写化した場合、ほぼ「ハズレ」という気がしてならない。個人的な感覚では9割が「ハズレ」、残りの1割がせいぜい「ソコソコの出来」という具合だ。その原因は何だろう。おそらく、シナリオにも出演者にもあるだろう。とにかく、薄っぺらいのだ。
確かに、漫画は小説などの実写化は、それぞれの原作ファン個々に思い入れやイメージがあるだろうから、そのギャップを埋める、あるいは凌駕するのは難しいかもしれない。ましてや、その出演者が「俳優」を本業としていないアイドルならばなおさらだ。
今回鑑賞した『響』、実は原作はほとんど知らない。邦画には珍しいことに、その予告編に惹かれたからである。
以前から欅坂46の平手友梨奈という存在が気にはなっていたが、彼女は決してこれまでのアイドルらしい風貌ではない。テレビに出演していても芸能人らしくさえない、ただの人見知りのJKのようだ。ただ彼女が「ゾーン」に入った瞬間の目力というか、カリスマ性というか、とにかく圧倒される、クセになる存在なことは間違いない。
この映画で、その平手はアイドルでも、女優でもない。本当に「鮎喰響」そのものだった。演技でも、美貌でも、とにかく圧倒的な存在感。
ただのアイドル映画だと思って、食わず嫌いで観ないのは、絶対にもったいない。
ケチをつけたいなら、実際に観てからにしてほしい。
実際の興行収入はどうだかしらないが、何故か皆が口をそろえて言っている。平手友梨奈がとにかくスゴイ、と。

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