これは断じてアイドル映画ではない。
日本の場合、漫画作品を映画やドラマで実写化した場合、ほぼ「ハズレ」という気がしてならない。個人的な感覚では9割が「ハズレ」、残りの1割がせいぜい「ソコソコの出来」という具合だ。その原因は何だろう。おそらく、シナリオにも出演者にもあるだろう。とにかく、薄っぺらいのだ。
確かに、漫画は小説などの実写化は、それぞれの原作ファン個々に思い入れやイメージがあるだろうから、そのギャップを埋める、あるいは凌駕するのは難しいかもしれない。ましてや、その出演者が「俳優」を本業としていないアイドルならばなおさらだ。
今回鑑賞した『響』、実は原作はほとんど知らない。邦画には珍しいことに、その予告編に惹かれたからである。
以前から欅坂46の平手友梨奈という存在が気にはなっていたが、彼女は決してこれまでのアイドルらしい風貌ではない。テレビに出演していても芸能人らしくさえない、ただの人見知りのJKのようだ。ただ彼女が「ゾーン」に入った瞬間の目力というか、カリスマ性というか、とにかく圧倒される、クセになる存在なことは間違いない。
この映画で、その平手はアイドルでも、女優でもない。本当に「鮎喰響」そのものだった。演技でも、美貌でも、とにかく圧倒的な存在感。
ただのアイドル映画だと思って、食わず嫌いで観ないのは、絶対にもったいない。
ケチをつけたいなら、実際に観てからにしてほしい。
実際の興行収入はどうだかしらないが、何故か皆が口をそろえて言っている。平手友梨奈がとにかくスゴイ、と。