たった2人の少女が旅の果てに見たものは
少しゆるさを感じさせる少女2人の物語は、無機質なガラクタの中をずんずん突き進んでゆく。ただひたすらに、上に上にと登ってゆく。
世界から人々が消え、2人の少女が『その痕跡』をたどりながら、ときに迷い、ときに喜び、そして心を揺さぶられる。
限りある食料が尽きたら旅が終わってしまうかもしれないのに、そんな厳しさを感じさせない2人のやり取りに笑ってしまうこともしばしは。読者の私たちが知っていることを2人は知っていたり知らなかったり。読み進めて行くうちにいつの間にか2人の世界に入り込んで、これはなんて書いてある?この建物にはどんな生活があったのか。
今ある文明の先、そして2人の世界に至る過程に、一体何があったのか。時々ものものしさを感じさせる描写もあり、ぎょっとしてしまうことも。それでも2人の『少女らしさ』が表現を和らげ、世界を優しいものに見せてくれる。
2人きりの旅だけれど、旅の途中で『何か』と出会うことの不思議さにも驚く。2人きりな事の方が驚くべきなのに、『何か』が存在していたことにまた、それまでの時間に想いを馳せる。『何か』は2人の前に現れて、過去何があったかの片鱗を見せてくれる。
出会うたびに2人は考え、そしてまた2人に戻る。2人の旅はどこまで続くのだろう。