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終末世界を生き抜く二人の少女のゆるい冒険記
原作者はつくみずで、アニメは全5巻ある原作のうち4巻までの内容を映像化している。
内容は人類がほぼ絶滅した終末後の世界をチトとユーリの二人の少女が、食料を求めてサバイバルしながら多層構造になっている都市の上層を目指すというもの。
荒涼とした終わった世界を生き抜く設定だが、悲壮感やシリアスさはほとんど無く、日常アニメのようなのほほんとした作風になっている。原作者のポジティヴな諦観と虚無主義がベースに存在していると言えるだろう。
状況は笑えなくても、肩をすくめてただ一人となりにいるパートナーと向き合っていく。この作風を好きになれるかどうかが、本作に入り込めるかどうかの分かれ目と言える。
アニメ版の特筆すべき点として、サウンドデザインのこだわりが挙げられる。
銃声、銃弾が構造物に当たり弾かれる音、水の音、控え目にくぐもらせた声優の声、適切に編集されたサウンドが世界観に大きな説得力を持たせている。
特にリアルな機械音やノイズは崩壊した都市の重厚感を表現するのに大きく寄与しており、全体的にのほほんとしたストーリーの中にあって、ここが終末後の世界であることを説得力を持って随時認識させてくれるようになっている。
単なる日常美少女アニメとして視ると登場人物の少なさもあって余りオススメ出来るものではないが、「美しい虚無」というテーマに興味を持ったなら、是非とも視てみてほしい作品である。