終末を旅する。
文明が崩壊した後の終末世界を、二人の少女がケッテンクラートという車両に乗り、廃墟となった都市を旅し、様々な文化、宗教、兵器の痕跡を発見する。チトという少女は知的で冷静であり、本が好きだ。その為、賢く、車両の操縦や整備をこなす等手先が器用だ。ユーリという少女は、のんびりとした性格で、食欲が旺盛、読み書きは苦手だが、運動神経が良く、銃の扱いも得意だ。そんな二人が道中で出会った僅かな生存者である、地図を作る事を生き甲斐とする男性『カナザワ』、飛行機を造り、空を目指す女性『イシイ』等と出会い、交流を経てその世界の上層を目指す物語だ。上層を目指す道中、二人は『エリンギ』(原作では名前は出ていない)という生物により、衝撃の事実を知る事となる。それは、『地球が終わってしまう』という事。エリンギ達が上層以外の終末世界を廻った結果、生きている人間はチトとユーリのみであるという事だった。つまり、以前出会ったカナザワとイシイは死亡しているという事になる。それでも二人は、『お互いがいたらそれでいい』と手を握り合う。更に上層を目指す二人だが、僅かに残っていた食糧は尽き、二人の足であり、チトが大切にしているケッテンクラートまでも壊れ、動かなくなってしまう。 懸命に修理するチトであったが、どうしてもそれは不可能だった。ここから彼女達は、荷物になる余計な物を捨て、徒歩で上層を目指す事になる。不安になりながらも二人が辿り着いた上層は一面の雪原と黒い謎の石だった。チトは「私達はこれで正しかったのかな」と弱音を吐くが、ユーリは「そんなのわからないよ」と言い、「でも、生きるのは最高だったよね」と続ける。二人は寄り添い、黒い石に凭れて毛布を被って眠りにつく。物語はそこで終わっている。
しかし、ある考察によると、『二人が凭れた黒い石は時空を転移する装置で、二人は別の、食糧に溢れる世界に辿り着いたのでは?』という意見もあるので、この考察が事実であれば、二人の旅は正しかったと言えるのではないかと思う。