円環する愛情と写真の物語
平凡な生活を送っていたサラ・コナー。バイト先に着くと、自分と同姓同名の人物ばかりが殺害されているというニュースを流れている。周りにはイジられながらも、自分だけ内心ドキドキのサラ。警察に相談しようとしている矢先、そこに”怪しい男”がサラを執拗に追いかける。
バーに逃げ込むサラの元に、また別の大男が銃を向ける。
「死にたくなければ一緒に来い」
先ほどの”怪しい男”が彼女を救出する。仕方なく彼の話を聞くと、さっきの大男は、サラを殺すようプログラムされたサイボーグ「ターミネーター」で、自分は数十年後の未来からサラを救いにやってきたと言う。男の名はカイル・リース。彼は胸元から一つの写真を出すと、そこに写るのはサラの姿。「自分はこの写真をお守りに、とあなたの息子ジョン・コナーに託された」。そう語るカイルを彼女は信じ、行動を共にする。やがて恋仲になりながらも、追いかけ回してくるマシーンを打ち負かすことにするが、カイルはこの世を去ってしまう。
サラは一人、車でどこかへ向かいながら未だ見ぬ息子ジョンに向けてのメッセージをテープに記録する。立ち寄ったセルフスタンドで突然、少年からポラロイドのフラッシュ。少年は「写真を5ドルで買ってくれないと、帰って父に殴らちゃう」と言った。渋々少年から買った写真をふと見ると、それはカイルが彼女に見せたお守りと同じ写真だった。彼女を載せる車の先には暗雲が立ち込め、雷鳴が轟いている。それは彼女とこの世界の運命を暗喩しているようだった。
アクション映画と片付けるのには勿体無い。なんとも実存的な、深読みしがいのある名作だ。