ターミネーター / The Terminator / T1

『ターミネーター』とは、ジェームズ・キャメロンが監督を務めた映画作品。1984年にアメリカで公開。
未来での人間と機械との戦争を発端に、人類の救世主であるジョン・コナーの母親サラ・コナーを抹殺するべく過去に送られた冷徹無比の殺人鬼であるターミネーターT-800と、彼女を守るために過去に送りこまれた青年の兵士カイル・リースとの激闘を描いたSFホラー/アクション映画。
愛をテーマに掲げ、大切な人を守るために得体の知れない強敵に立ち向かう主人公たちの姿は、SFホラー/アクション映画の王道を行く映画作品として人気を博している。
ジェームズ・キャメロンのデビュー作であり、アクションの爽快さだけでなく壮大な世界観の演出や設定、登場人物の心情の変化などが深く練り込まれ、緻密なストーリー展開も特徴的である。
米国議会図書館において、「文化的、歴史的、美学的に重要な作品」として、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されている。

mikimelou0のレビュー・評価・感想

ターミネーター / The Terminator / T1
9

円環する愛情と写真の物語

平凡な生活を送っていたサラ・コナー。バイト先に着くと、自分と同姓同名の人物ばかりが殺害されているというニュースを流れている。周りにはイジられながらも、自分だけ内心ドキドキのサラ。警察に相談しようとしている矢先、そこに”怪しい男”がサラを執拗に追いかける。
バーに逃げ込むサラの元に、また別の大男が銃を向ける。
「死にたくなければ一緒に来い」
先ほどの”怪しい男”が彼女を救出する。仕方なく彼の話を聞くと、さっきの大男は、サラを殺すようプログラムされたサイボーグ「ターミネーター」で、自分は数十年後の未来からサラを救いにやってきたと言う。男の名はカイル・リース。彼は胸元から一つの写真を出すと、そこに写るのはサラの姿。「自分はこの写真をお守りに、とあなたの息子ジョン・コナーに託された」。そう語るカイルを彼女は信じ、行動を共にする。やがて恋仲になりながらも、追いかけ回してくるマシーンを打ち負かすことにするが、カイルはこの世を去ってしまう。
サラは一人、車でどこかへ向かいながら未だ見ぬ息子ジョンに向けてのメッセージをテープに記録する。立ち寄ったセルフスタンドで突然、少年からポラロイドのフラッシュ。少年は「写真を5ドルで買ってくれないと、帰って父に殴らちゃう」と言った。渋々少年から買った写真をふと見ると、それはカイルが彼女に見せたお守りと同じ写真だった。彼女を載せる車の先には暗雲が立ち込め、雷鳴が轟いている。それは彼女とこの世界の運命を暗喩しているようだった。

アクション映画と片付けるのには勿体無い。なんとも実存的な、深読みしがいのある名作だ。