「戦闘」もさることながら「支配者としての在り方に悩む姿勢」も読みどころ
主人公は「MMORPGのキャラになった(転生・転移等の背景については不明)現代人」という、よくある設定の作品ですが、他作品と大きく違うのは「支配者としての立場にある」という点です。主人公は寂れてしまった大型ギルドのリーダーであり、自分たちが作成したキャラたちの支配者という立場として、その立場にふさわしい言動や行動指針をどうするべきかという苦悩と常に戦い続けています。ときに、支配下のキャラクターたちが主人公の意図を超えた行動をすることもあり、それも結果として主人公の功績として配下からの評価がさらに高まるという、ちょっとしたギャグ的な雰囲気も感じられます。戦闘面では、いわゆる「オレ最強」の部類であり、本気を出せば世界を滅ぼせるかもしれない能力を持ちながら、本来はなかった方向性である「世界征服」へと向けて一歩一歩確実に駒を進めるべく、ときに常識の範囲を超えた能力を駆使しつつも、あくまでも「滅亡」ではなく「支配」に方向性の向いた力の使い方をするあたりが他作品とは違う点でしょうか。それと、主人公以外のキャラクターの戦闘描写も多く、むしろ「主人公、あまり戦ってなくね?」みたいな雰囲気を感じるかもしれません。