非常に細かく設定がされている
前置きというか状況把握がわりと長かったけど、それでも展開がうまいからか、間延びとしたは感じはなく、難しい言葉はほとんど使ってないのにもかかわらず、しっかりと中身を伴う文章です。文字で読んだ方が解りやすいかと思ったが、アイテムや魔法の用語は長いので文字で読む方が逆に大変だった。知らない言葉が多く登場するが、恐らくファンタジーとしては「普通の人は雪女という妖怪を知っている」という程度の前提的な知識なのだと思われる。読めば何となく意味は分かるので、意外にも物語には入り込みやすかった。設定が凝っていてゲーム知識が無い人でも興味深く読めると思います。飽きもしませんでした。めちゃくちゃ強いのにじわりと不安を燻る書き方によって作品全体に微かな緊張感を作り出し、読み進むモチベーション維持の一助となったと思います。視点変更による緊張感の作り方もうまかった。そして書き方によってか、広げればどこまでも広げられる広大な世界になれると感じました。何より細かい情景や心情を描写しているのが大変嬉しい。想像力をかきたてるという小説の楽しさを十分に味あわせてくれる。絶対なる支配者として何の迷いもなく服従している配下に対し、単なるサラリーマンでしかない主人公が配下に見限られないようおそるおそる支配者を演じるというギャップがコメディとして非常に面白い。一方戦闘シーンでは、死を体現する超越者(オーバーロード)として君臨し、敵を蹂躙していくというシリアスな描写。これらコメディとシリアスのバランスが見事です、大変読み応えがある一作となっています。