君の名は。 / Your Name.

『君の名は。』とは、新海誠が監督・脚本を手掛けた2016年公開の長編アニメーション映画。ロックバンドのRADWIMPSが音楽を制作。興行収入は250億3000万円を超え、歴代興行収入ランキング5位。
物語の主人公は東京に住む男子高校生の立花瀧(たちばなたき)と岐阜の田舎に住む女子高生の宮水三葉(みやみずみつは)。時々体が入れ替わるという奇妙な生活を送ることになった2人の、切ない恋愛模様を描いた感動作である。
本作品は日本国内外で数々の賞にノミネートされ受賞した。第40回日本アカデミー賞の優秀監督賞、最優秀脚本賞受賞はアニメとしては史上初。RADWINPSは、第40回日本アカデミー賞の最優秀音楽賞を受賞。その他にも複数受賞している。第11回声優アワードでは主演男優賞に立花瀧役の神木隆之介、主演女優賞に宮水三葉役の上白石萌音が受賞した。
映画の公開の2か月前に『小説 君の名は。』が角川文庫より出版。その他にも『君の名は。』(角川つばさ文庫)『君の名は。Another Side: Earthbound』(角川スニーカー文庫)が出版されている。

君の名は。 / Your Name.のレビュー・評価・感想 (2/2)

君の名は。 / Your Name.
8

よくできたストーリー展開

テレビのニュース番組で、新海誠監督の作画へのこだわりについてのインタビューや、舞台となった場所のマニアによる「聖地巡り」の話題を見て気になり、つい映画館にまで足を運びました。
映像は美しいし、物語の世界観にハマってしまうと映画の聖地を巡りたくなるわな、というくらい後を引く作品です。
高校生の男女の体が入れ替わる現象から始まる序盤は、昔々そんな映画あったなー、「転校生」? タイムリープっぽい仕掛けは「時をかける少女」?「ドラえもん」? 似たモチーフの作品を思い起こしつつ観ていくうち、 急ピッチでどんどん壮大な展開になり、ぐいぐい物語に引き込まれ、色んな伏線も明らかになります。
クライマックスでは主人公2人の切ない思いに感情移入し、ラストは清々しい余韻を残しつつRADWIMPSの前前前世に浸る…。最初ぼーっと見ていると、疾走感溢れる終盤にかけては置いてけぼりにされかねない、意外とつじつまを考えながら観ていないと混乱してしまう、そんな107分です。
でも、東京と飛騨の美しい風景のそこかしこに青春の瑞々しさが溢れ、なぜか自分の高校時代を懐かしんでしまう。登場人物のキャラ設定もそれぞれ魅力的で、少女マンガ好きにも少年マンガ好きにも楽しめる作品です。

君の名は。 / Your Name.
10

若さがありエネルギーに満ち溢れた映画

最初から最後までずっと新開監督の世界観に引き込まれっぱなしでした。
二人の人格が入れ替わるという設定はよくある話なのですが、年が違っていたり、田舎と都会で相対する境遇の二人を上手く1つの世界に溶け込ませているので二人の距離が近くなったり遠くなったりするハラハラドキドキが非常に見ている人を楽しませました。正反対の二人をつないでいるものが切れた時、主人公が必死に助ける姿は同世代の人たちの心を動かすものがあったと思います、また上の世代の人たちも若い頃を思い出し今を生きようとするエネルギーに満ち溢れたこの作品で一瞬一瞬を大切に生きようと思うような気がしました。
この作品を通して大勢の人が感動した事は間違いないですが、新開ワールドはストーリーもさることながら背景や人物の描写がすごく美しいので見た人はその部分でも楽しめたと思います。都会的な描写でいうと、満員電車だったり、おしゃれなカフェだったり整備された街並みは相対する田舎とのギャップを上手く表現していると思います。1日に数本しか電車が来なかったり、コンビニが夜しまったら、山に囲まれた田舎独特の空気は、田舎で育った人の共感を特に得ていると思います。また、都会に住んでいる人は田舎ののんびりした空気を羨ましいと感じることもあったと思います。
そんな対比を見事に描写しており、万人受けする作品になっていると感じました。

君の名は。 / Your Name.
6

綺麗にまとまった良作

遠く離れた男女の精神の入れ替わりを描いたアニメ作品。
序盤は主人公二人の立花瀧と、宮水三葉の入れ替わりによって起こるドタバタを楽しく描写していてコメディとしても楽しめる。
特に男女の身体の違いの戸惑いの下りはありがちだが笑えるものだった。
その後二人は入れ替わりを通して、親睦を深めて(恋愛感情も芽生えていく)いくのだが旧に入れ替わりが起こらなくなり、展開が変わっていく。
この時の展開の変化は、二人の入れ替わりを好意的に感じてきていたので、かなりの驚きと次の状況への興味を引かせている。
それからは二人の入れ替わりには時間のズレが有り、さらには三葉の暮らしていた糸守町は三年前に隕石の衝突で消滅していたという事実が明らかになる。
そして物語は再び三葉の身体に入れ替わった瀧が、隕石から町を守るために友人たちと奮闘してく話になっていく。
ここでの避難作戦は、青春映画として上手く描写されていて感情移入して観ることができた。
しかし最終的に避難が成功したかどうかはっきりとは描写されず、8年後に時間が飛ぶ。
見る限り避難は成功したようであり、ホッとさせるが二人の入れ替わりも既にもう消滅している。
ここで予想できるといえばできるのだが、8年後の瀧と三葉が町中で偶然出会い、お互い名前を尋ねるという王道のラストへとつながる。
再会した後の二人は…と余韻を残した終わり方だが、それを描くのは蛇足だろう。あそこで終わるのが爽やかでいい印象だった。