海の上のピアニスト / The Legend of 1900

海の上のピアニスト / The Legend of 1900

『海の上のピアニスト』とは1998年に製作された、あるピアニストの生涯を描いたイタリア映画である。船の中で生まれ育った、「1900」と名付けられた主人公のピアニストとして活躍、ともに演奏するトランペット吹きの男との友情、とある少女への恋などを巨匠エンニオ・モリコーネの作る音楽に乗せて描く。監督は『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレで、主人公のピアニストをティム・ロスが演じ、プルイット・テイラー・ヴィンスらが共演した。

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海の上のピアニスト / The Legend of 1900のレビュー・評価・感想

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海の上のピアニスト / The Legend of 1900
9

天才ピアニストの数奇な運命が、唯一の親友の回顧録として語られる一大叙事詩

この珠玉の名作「海の上のピアニスト」は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、一人芝居として有名なアレッサンドロ・バリッコの原作をもとに映画化し、私のように心から映画を愛する者に、また一つ忘れ難い感動を与えてくれた作品です。

船上で生まれ育ち、生涯一度も船を降りなかった天才ピアニストの数奇な運命が、唯一の親友の回顧録として語られる一大叙事詩となっています。

この映画の冒頭の客船に迫る自由の女神を目前にして、移民たちが、「アメリカだ!」と叫び、狂喜するシーンを観た時、「この映画は絶対好きになるに違いない」と確信しました。
このシーンこそが、このように”素晴らしい寓話”への入り口なんだと——-。

そして、今は落ちぶれたトランペット奏者のマックス(プルート・テイラー・ヴィンス)が、楽器屋の主人に話して聞かせるという構成で、この感動の物語は展開していきます。

生年に因んで1900(ナインティーン・ハンドレッド)と名付けられた子供は、船倉で育つ事になります。
ピアノとの出会いは、8歳の時で、一等客室に忍び込んで、ダンスホールのグランドピアノを弾きこなし、船の人々を驚かせたりします。

そして、成長したナインティーン・ハンドレッド(ティム・ロス)は、船に乗り合わせた人々が語る、陸の世界の風景や彼らの表情に浮かぶ生き様といったものに、インスピレーションを得て、その”夢や憧憬”を鍵盤に託していくのです——-。

その余りにピュアで、美しい音楽は、無垢なナインティーン・ハンドレッド自身の姿そのものなのだと思うのです。

ジャズの創始者であるジェリー・ロール・モートンの挑戦を受けて弾く、ピアノの力強さも実に聞き応えがあり、ユーモラスな雰囲気も手伝って、忘れられない名場面になったと心から思います。

陸から見える海の美しさを語り、人生をやり直すべくアメリカへと旅立った男との出会い、最初で最後の録音演奏中に、窓越しに見かけた美しい少女へのほのかな恋心。
そして、彼は船を降りる決意を固めていくのです。

しかし、果てしなく広がる摩天楼を前にして、彼は船へと引き返していくのです——-。

果たして、自分の世界に閉じこもる事を選んだ彼は、我々が共感すべくもない臆病な、人生の敗北者なのか?
いや、それは違うと思うのです。我々は彼が現代の外界が抱える”不安や毒”に触れてしまう事を望まないのです。

寓話は寓話として、美しいまま幕を閉じる事を切に臨むのです。

私は、マックスとナインティーン・ハンドレッドとの出会い、そして別れのシーンが大好きで、嵐の夜、激しく揺れる船内で、ストッパーを外したピアノの前にマックスと並んで座り、くるりくるりと回るピアノを奏でるナインティーン・ハンドレッド——-。
何ともファンタジックで、夢のような時間に酔いしれてしまいました。

そして、爆発前の船を降りて行く、マックスを見送る最後の瞬間、名残惜しそうに一度、二度と声を掛けるナインティーン・ハンドレッド。
彼のどこか弱い人間臭さを感じて、目頭が熱くなるのを禁じ得ませんでした。

とにかく、伝説のピアニスト、ナインティーン・ハンドレッドを演じたティム・ロスが、一世一代の名演技だったと思います。
穏かな表情の奥に、”先行きの見えない人生への不安”を見え隠れさせて、見事というしかありません。

そして、そんなナインティーン・ハンドレッドの切ない心情を映し出す、エンニオ・モリコーネのオリジナル・スコアの素晴らしさ。
一度きりの瞬間、瞬間を捉え、二度目はないという音楽は、様々な表情を見せ、たっぷりと感動の余韻に私を浸らせてくれました。

そして、「いい物語があって、それを語る人がいるかぎり、人生は捨てたもんじゃない」というナレーションは、そっくりそのままジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画に対する取り組み方を表していると思います。

感動のツボを押さえた語り口のうまさは、もはや名人芸に達していて、いい物語を聞かせてあげたいというトルナーレ監督の、”温かく優しい思い”で溢れていて、楽器屋の店主が、マックスに大事なトランペットを返してやるラストの人情劇も、とても心が温まる思いで、名画を観終えた後の感動が、私の心の中でいつまでも爽やかな余韻として残り続けたのです。

海の上のピアニスト / The Legend of 1900
8

生涯をたった一つの船の中で

物語は主人公の親友マックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)を語り部として幕が開く。
楽器屋を訪ねたマックスは、そこで一枚のレコードと再会する。
このレコードには、かつての親友ピアニストの1900(ティム・ロス扮する主人公の名ナインティーンハンドレッド)の貴重な一曲が収められていた。
1900は、1900年に豪華客船の中でピアノの上に置き去りにされた赤ん坊だ。
機関士のダニー(ビル・ナン)に拾われ、船員達に愛されて育った1900は8歳で再び天涯孤独となる。
そんな幼い1900が生まれて初めて奏でるピアノは彼の健気で切なげな気持ちが表現されていて、映画を観る側の心を一気に惹きつけてしまう。
そんな愛らしいシーンの後に続くのは、もうすっかり過去の遺物となった豪華客船ヴァージニアン号の変わり果てた姿とそこにダイナマイトを運び込む作業員達の姿。
その取り壊される寸前の船に1900が乗っているとマックスは確信する。
かつての豪華客船ヴァージニアン号での1900とマックスは親友として素晴らしい日々を送っていた。
やがて主人公にも淡い恋心が芽生える。相手の女性を目で追いながら奏でるメロディは限りなく壮大で美しい旋律だ。
恋をきっかけに船を降り新たな人生をと決めた1900だが、いよいよという段階でふと目の前のニューヨークの街を眺める。
この時の彼の目に映った景色は夢の新天地アメリカを目指して船旅をする希望に満ち溢れた乗客達とはまるで違ったものが映し出されていた。
過去と現在の時間の流れを容赦なく描いていくドラマは、音楽はもちろんの事、登場人物においても実にアーティスティックに描かれている点も見どころだ。
映画の音楽を手掛けたエンニオ・モリコーネはニューシネマパラダイス等で数々の賞を受賞した有名なイタリアの作曲家である。
本作品は2020年にイタリア完全版として40分以上の未公開シーンが組み込まれた修復版も公開されている。
人物の心の深いところまでを読み解いていくなら、こちらも必見だ。

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