リリィ・シュシュのすべて

リリィ・シュシュのすべてのレビュー・評価・感想

レビューを書く
リリィ・シュシュのすべて
8

邦画の良さを表す映像美

本作品の監督である岩井俊二監督は、日本の四季を音楽とカメラワークで、美しさを上手く表現していると思います。

イエン・タウン・バンド、リリィ・シュシュなど、映画から話題になったアーティストがいるのは、意外と少ないかもしれません。もちろん元々有名なアーティストですが、それぞれが元々アーティストだからというわけでありません。映画の作品がしっかりと評価を得た上で、作品の中で存在感があるからこそ話題になった思います。若い頃の蒼井優さんや、市原隼人さんなど、キャスティングしているので、才能を見る目も間違いなしです。
特に二人が共演している映画の、リリィ・シュシュのすべては、その当時の社会問題であるいじめ、援交を題材にし、14才のリアルを忠実に表現しています。
ネットの書き込みと平行して物語も進んでいくので見応えのある作品になっています。作品全般的にセリフがそこまで多くなく、映像とBGMで視聴者に考えさせ、感じてもらうようなメッセージ性もあるので、観た人、観た時によって捉え方が違うので、何回見ても面白い作品だと思います。
ただ、元祖胸糞映画みたいなところはあるので、気分が落ちているときにいると更に落ちることもあるので、注意は必要かもしれません。気分が落ちているところを作中のリリィ・シュシュに癒され、救われる描写があり、視聴者も一緒に癒されるところがあるので中毒性があります。
エーテルの意味を表現出来ませんが、作品を見て頂いた方には、エーテルを感じて頂けると思います。

光の反射や映像の奥行き感、映像の味わい深さ、色の使い方とても上手く表現されている作品です。映画に音楽と映像美を求めている方、映画を見て自分で答えを出したい方にオススメです!

リリィ・シュシュのすべて
8

電波と田園を描いた理由の一つについて

蒼井優と市原隼人の映画デビュー作としても有名。岩井俊二監督作品としては扱うテーマが非常に暗く、重たい印象を与える。
要約すると、現実の世界と架空のネット世界においての存在価値のギャップを如実に表した初めての作品だと思われる。BGMとしてドビュッシーの『月の光』や『アラベスク』『亜麻色の髪の乙女』をフューチャーしている点も作品に透明感と深みを与えている。
とにかく映像が美しい。これは岩井俊二作品全般に言えることであるが、それでもなお強調しておきたい。岩井俊二監督自身が映画を撮り終わった際にこの作品を遺作にしたいと言っていたのが一時期話題にもなったが、特殊な作品であるのは間違いないので、必ず観ておきたい作品だと言える。
おそらくは岩井俊二監督作品の中では最も画面も感情も歪んだ映画だと思うので、この映画を転機に初期の『ラブレター』のような恋愛映画が増えていくのではないかと思います。いい意味合いにおいてガス抜きになったような感じもします。映画のディテールだけを追ってみるのではなく、独特の世界観や登場人物の台詞などに注目して観るのも面白いと思います。
映画音楽ってやっぱり重要なんだとあらためて感じました。