美しい自然の映像美で覆われたどん底鬱映画
この映画は岩井俊二監督により2001年に公開された映画です。
主演は市原隼人、出演に忍成修吾、伊藤歩、蒼井優などをおき、今でこそ名だたる俳優である彼らがこの映画ではまだ幼く、あどけない表情で芝居をしている。
あらすじはある中学生の一クラスで起こるいじめや暴走を、傍観者でいるしかない主人公の目線でずるずると描いている。主人公の親友がある事件をきっかけに暴走していったり、その影響でクラス中の男女の関係がぐちゃぐちゃになっていくのを最も近くで目の当たりにする主人公。しかしどうすることもできないまま、どんどん悪化していく状況を見ている事しかできない虚無感や、巻き戻す事の出来ない時間を悔しく思う気持ち壊れた関係は元には戻らず、何もかもが手遅れな状況、この映画はそういう事をとても深く実感できる映画だ。
この映画はただの鬱映画ではない。この映画の主なロケ地は栃木県足利市で、俗に言うド田舎だが、田園の緑と鉄筋コンクリートが馬鹿みたいに美しい。何と言うか、思春期の複雑な心理状況や、美しい登場人物の中の大きな闇を、1シーン1シーンの画で無意識に感じさせられているような気がする。美しさの中の闇、中学生の不安定な心理、そんな物をじっとりと感じられる2時間半にわたる映像美。じっとりとした映画で泣きたい方におすすめ。