圧倒的な緊張感と父親の愛が交錯するアクションスリラー
映画「96時間」は、父親の愛がいかに強力な原動力となりうるかを描いた、息を呑むようなアクションスリラーです。主演のリーアム・ニーソンが演じる元CIA工作員ブライアン・ミルズは、娘を救うために壮絶な戦いに身を投じます。物語はシンプルながら、その緊張感とアクションシーンが観る者を圧倒し、最後まで目が離せません。
物語は、ブライアンの17歳の娘キムが友人とパリに旅行に出かけるところから始まります。しかし、彼女は現地で人身売買組織に拉致され、ブライアンの人生は一瞬にして暗転します。娘が誘拐されるシーンでの電話越しのブライアンの「必ず見つけ出す」という言葉は、この映画の象徴的な瞬間であり、ニーソンの演技が持つ圧倒的な説得力に拍手を送りたくなるほどです。
ニーソンの演じるブライアンは、元CIAの工作員としての高いスキルを駆使しながら、パリの裏社会に単身で潜り込んでいきます。この過程で、映画は息をつく暇もないほどのアクションを次々と展開し、観ている人はブライアンとともにパリ中を駆け巡るスリルを体感します。特に、格闘シーンや銃撃戦は非常にリアルで、緊張感があります。また、ブライアンが自分の使命に突き進む理由は非常に個人的かつ感情的であるため、単なるアクション映画にとどまらず、彼の父親としての愛情が心に深く響いてきます。
映画が人身売買の問題を背景にしている点も見逃せません。パリの地下社会を描くことで、現実世界での暗い側面に光を当てています。社会的なメッセージは直接的ではないものの、映画を観終わった後には、人身売買の恐怖や、被害者家族の絶望感について考えさせられます。
「96時間」は、圧倒的なアクションと父親の愛を中心にしたエモーショナルな物語が融合した作品です。スピード感あふれる展開と、ブライアンの執念深い追跡が描かれ、最後まで観ている人を飽きさせません。アクションファンはもちろん、感情的なストーリーを楽しみたい人にもおすすめの1本です。