96時間

96時間

『96時間』(原題:Taken)とは、2008年制作のフランス・アメリカ合作の自警団アクションスリラー映画である。監督はピエール・モレル。脚本はリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメン。主演はリーアム・ニーソン。日本語タイトルの『96時間』は作中でも語られる「誘拐事件の被害者が無事でいられると考えられる猶予期間」より。2012年に続編『96時間/リベンジ』が、2014年には第3作目『96時間/レクイエム』が製作された。
元CIA工作員のブライアンは、離婚した妻レノーアとその再婚相手スチュアートと共に暮らす実娘キムと親しい関係を保とうとしていた。しかし友人と2に院でパリ旅行に行った娘は拉致されてしまい、ブライアンは娘を救うために戦いに身を投じることになる。

hijiki0422のレビュー・評価・感想

96時間
9

最高に爽快なアクション映画

本作はリュック・ベッソン監督の当たり作品である。
主人公であるブライアンは、妻に離婚され、最愛の娘の親権まで奪われている中年のオヤジだ。
序盤はブライアンがいかに元妻や娘に疎まれていて、必要とされていないかが徹底的に描かれる。
だが、これは伏線なのだ。
序盤が終わり、パリに旅行へ言った愛娘が誘拐された途端、ブライアンは元諜報部員という別の顔を露わにする。
そこからの爽快感は復讐系アクション映画に求める、全てが詰まっていると言っていいだろう。
「96時間」という娘を救い出せるタイムリミットが功を奏し、ブライアンは一切の無駄も容赦もなく誘拐犯を追い詰めていく。
屈強な誘拐犯との格闘や銃撃戦は勿論、時には拷問まで冷徹に実行する。
挙句の果てには、情報を出し渋る友人の妻を銃撃し友人の口を割る、という行き過ぎなシーンまで飛び出してくるのだ。
序盤で冴えないオヤジだったブライアンと、誘拐が起こってからのブライアンは別人のごとく執拗で暴力的だ。
だが、この映画のテーマはそこに有るのだろう。
いつも妻と娘に疎まれている父親。
それが娘のピンチには雄々しく立ち上がり、家族を助ける。
このギャップが、何とも男性的な爽快感を視聴者に与えるのだ。
そんな訳で、今作はアクション映画に夢中になりたい、スッキリした気分になりたい、という人におすすめな快作である。