重い問題にギャグや恋愛要素が含まれ、面白さが詰まっている漫画
私が小学生時代、「りぼん」に連載されていた尾花美穂が描いた漫画「こどものおもちゃ」が好きです。
小学生の私には衝撃的だった作品を、大人になった何十年後に再読すると、ストーリーの究極の奥深さに気づきました。
1話目から衝撃的なこの漫画の発端は、いじめ、学級崩壊、先生いびりです。
男子たちはクラスを牛耳る、葉山の言いなりのうえ、女子は毎日そんな男子に怯えていますが、先生も頼りになりません。
主人公であるクラスの人気者で正義感の強い女子の紗南と葉山で、クラスの問題を中心に学級がどうなっていくのか、物語が進んでいきます。
「学級だけの問題」と思いきや、紗南が気づいた闇“葉山の問題”を解決すれば、「学級崩壊などが収まる」と考え、葉山の心に踏み込んでいきます。
正義感の強い紗南が知った闇、“とても重い家庭の問題”をどうにかし、葉山を「更生させたい」と考えます。環境がわかり、同情や助けたい思いを抱いた紗南と葉山の関係が、段々近くなっていきます。
一方、知らない自分の過去や母親との関係を知った紗南は大きなショックを受け、自身の問題と向き合わなければなりません。
別々の問題を抱え、自然に必要な存在になっていく2人の関係性が変化したり、周囲が変わったりする展開にハラハラドキドキし、目が離せません。
笑える場面もある中、個性的で強烈な登場人物たちの問題がどうなっていくのか、気になってしまいます。
物語に多く取上げている重い問題の中にギャグ的要素も含まれているため、気分が落ち込まずに読めます。
紗南や葉山が登場人物たちとどう関わっていくのか注目すると同時に、問題にギャグや恋愛要素も含まれ、とても楽しく読めます。
息をのむシビアな問題や、吹き出し笑ってしまう、胸キュン場面もあり、わかりやすく、共感しやすく登場人物たちの心情や心の動きが描かれ、面白さが詰まっています。
時世にある問題が描かれ、多くの重い問題が解決すると、一緒に安堵してしまう作品です。問題定義とギャグのセンスがかなり良く、自分にぴったりの作品です。