不思議な少年(A Wonder Boy)のネタバレ解説・考察まとめ

2001年から『週刊モーニング』で不定期連載され、『モーニング・ツー』に2006年から移籍した山下和美の漫画。様々な時代、国、シチュエーションに「少年」が現れ、そこにいる人間たちの営みを見つめ続ける。「人間とは何か」という疑問を投げかけ続けるドラマティック・ストーリー。2014年までで9巻発行されている。

6巻69P『NX-521256号』より。
地球以外の惑星をテラフォーミングするロボットのうち、司令をしたり連絡を受ける特別なロボットとして彼は開発者のサンドラに帽子を被せられた。
仲間たちが次々と壊れていくのにまったく感情を表さないが、サンドラからのメッセージが届き、それが「サンドラがとっくに壊れて(死亡して)しまっている」ということを示すものだと理解した時に、彼は初めて感情というものを知る。

「歌です」

6巻165P『THE MAN』より。
神学校に潜入している少年は、教師から「人類が手にした最も偉大なものはなにか?」と質問される。
そして意識を縄文時代まで飛ばし、とある青年の生活に密着する。その青年が妹を殺された悲しみのあまりに咆哮した声がメロディとなるところを見届け、神学校に意識を戻して「歌です」と答える。
教師はそれを間違いとして、「人類の手にした最も偉大なものは信仰だ」とするが、少年の中でこの答えこそが真実でそれは揺るがない。

「これがわしの仕事なんじゃ!」

7巻158P『ペーター・ユルゲン』より。
郵便屋の仕事を毎日真面目にこなしていた男。最後の仕事の日に少年が現れ、あなたが今届ける予定の手紙は争いを産むと、その手紙が正常に配達された場合引き起こされるありとあらゆる災難をみせる。
それでもペーターは自分の仕事に誇りを持っていて、このセリフを言う。
しかしペーターはしばらく歩いたあと、少年に「わしを永遠にエンデさん(配達先)とこに着かないようにしてくれないかな」と涙を流し少年に頼み、少年はそれを受け入れる。

「あなたは見つからなくても永遠に捜しつづける人だわ」

7巻262P『ヨコハマ・リリィ』より。
都市伝説になる程異様な風貌をしている娼婦のリリィさんが待ち続けるのは愛する人。それは年老いても変わることなく、ずっとただ一人を待ち続ける。
そしてその待っている相手は少年が姿を変えたアメリカの将校だった。その少年がアメリカに帰った後も、リリィさんは待ち続けた。
そして現在の姿である少年をあの時の将校だと見抜き、探し物はやっぱり見つからなかったでしょう、と言う。
それでも少年の生き方を否定することなく、リリィさんも少年にもう一度会ったことで自分の新たな人生を歩み始める。

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