満月をさがして(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『満月をさがして』とは、2002年から2004年まで種村有菜により『りぼん』に掲載されていた、ファンタジー漫画およびアニメ作品である。
喉の病気で余命わずかの少女満月が、死神タクトの力を借りて変身して歌手になるというストーリー。少女と死神の交流を描きながら生と死といったテーマも根底にあり、小中学生から大人まで幅広い人気を集めた。

満月の元に、いずみとジョナサンがやって来る。満月は結界のような空間に閉じ込められ、ジョナサンの正体が死神部長シェルダンであると知らされる。いずみに助けを求めるが、いずみは「もう疲れた。もう傷つきたくない」と顔を伏せる。満月はシェルダンと会話をし、前から疑問に思っていたことを問いかける。「誰があなたたちを死神と決めたの?」と言う満月に、シェルダンは冥府の創立者、死神主人ミスティアの話をする。ミスティアは遥か昔に一番初めに冥界にやってきた人間の魂である。ミスティアは、人間の少女に「死神」と呼ばれたことで、自分を死神だと名乗るようになる。そして同じように冥界にやってきた魂に、死神としての仕事を与えたのだ。しかし、満月はそれを「違う」と否定した。「真白な羽根…、背に翼を持って体をなくした魂を迎えにきてくれる。それは天の使いの証…。私は天使と呼びます!」と満月は言った。それを聞いたシェルダンといずみはハッとする。いずみの心が晴れ、満月を守る側につく決心をする。その時、傷だらけのタクトとめろこが冥界から満月の元へと戻ってきた。タクト、めろこ、いずみの三人がまとめて、満月のことを守ると言う。満月も三人を信じ、生きることを願った。
その様子を、ミスティアはずっと冥界から見ていた。怯んだシェルダンの代わりに、ミスティアが冥界から地上の満月に向けて死神の鎌を振り下ろした。タクトが満月を庇う形で、重なり合った二人の心臓に鎌が刺さってしまう。タクトと満月はそのまま気絶する。取り乱すめろこといずみの前に、ミスティアが現れた。そして、死期名簿を見せる。名簿に書かれていた満月の名前は、ほとんど消えかけていた。ミスティアは、一度記された名前が消えて死期が延びることは、ごく稀にあることなのだと言う。名前が消え始めたのは、タクトとめろこが人間界に降りた日からである。ミスティアは、どうして満月に死神が見えるのかずっと不思議に思っていた。だから真実を知るために、鎌で刺したのだ。ミスティアが「ようやく答えが出たようだ」と言うと同時に、満月とタクトの身体が光り輝く。目が覚めて驚く満月に、ミスティアは優しく真実を伝える。死神の鎌は、身体と魂を切り離すもの。だが、満月の魂を切り離そうとしてもできないのだと言う。それは、死した魂が満月の身体を包んでいるからだった。死神が見えるのも、その魂のお陰である。その魂についてミスティアは「少年だよ、穏やかな瞳で笑う」と言い、満月は英知を思い浮かべた。目に見えなくてもずっと傍にいてくれた英知を思い、満月は涙する。
フルムーンの最後のライブが始まる。たくさんのファンの前でスポットライトを浴びながら歌い、ようやく輝ける場所を見つけたのだと満月は微笑んだ。
一方、その様子を見ていたタクトは苦し気な表情で人気のない場所へと移動する。死神の鎌で刺されたせいか、魂が飛ばされそうになっていた。「守るって言ったのに、ごめんな満月…」という台詞を最後に、タクトの姿が消えた。

3年後のストーリー

最終話で、時は3年後へと移る。フルムーンと同い年になった満月は本来の姿で歌手デビューをしていた。満月の病気は完治し、思い切り歌えるようになっていた。めろこといずみは満月のコンサートを空から眺めながら、いずみが「ミッキー(満月)に会えて本当によかった」と言う。満月の話ばかりするいずみにめろこはやきもちを焼き、いずみのことがずっと前から好きだったと告白する。いずみは「どうして僕がミッキーに会えて良かったと思うのか、めーちゃん分かってるの?」と言ってめろこにキスをした。
コンサートのやぐらの上から円と那智も満月の歌を聞いていた。那智は円に「そろそろ結婚しない?ずっと一緒にいたいな」とプロポーズをする。円は照れながらも笑顔で引き受けた。
コンサートのラストの曲へ入ろうかというところで、突然托人が舞台に現れる。驚きを隠せない満月に、真実が明かされた。托人が半人前の死神だったのは実はまだ生きていたからで、自殺に失敗して昏睡状態に陥っていたのだ。鎌の影響で魂が昏睡状態だった肉体に戻り、しばらくリハビリに励んでいたため会いにくるのが遅くなってしまったと言う。ミスティアとシェルダンの力でタクトの声帯は精製され、声も出せるようになっていた。多くのファンの前で満月は「タクトがすきだよ」と告白をし、晴れて二人は結ばれた。英知の魂はその光景を目にし、優しい笑みを浮かべて空に消えていった。

円と那智の番外編

コミックス6巻に収録されている番外編「ナチュラル・マドンナ」より。
那智は軽い感じで円に「付き合おう」と言い、二人は恋人同士になった。円も、初めはそれほど好きではなかったのだが、次第に思いを寄せるようになっていた。そんなある日、那智のアパートで円は、円の整形前の写真を見つけて、動揺のままその場から逃げ出した。その写真は、数年前に無理やりお見合いさせられた時に撮った写真だった。御曹司である紫堂総一郎とのお見合いで、千暁(円の本名)は「こんなチビでだっさいブ男が婚約者なんて絶対いや!」と酷い断り方をしていた。
円は、那智が総一郎の友人で、復讐のために円に近づいたのだと思い傷つく。手に入れたらすぐに捨ててしまうつもりなのかと弱気なり、那智を避けるようになる。那智が不思議に思っていると、円は「私が千暁だって知っているんでしょう?」と問い詰めた。「本当は最初から知ってたんでしょう?だから私に近づいてきたんだよね?」と言う円に、那智は静かに「うん」と頷いた。円は「もう二度と顔見せないで!」とその場を去った。
後日、円は紫堂家へ謝罪に赴く。お見合いの時に失礼な態度をしたことを詫びようとすれば、母親は「まだ縁談は生きてます。千暁さんさえうんと言うてくれはったら」と言う。円はそれを「好きな人がいるんです!」と遮った。大切な恋人がいて、結婚するのならその人がいいと両手を付く円に、母親は苦笑した。そして「――とおっしゃっていますがどないいたしましょう、総一郎さん」と襖に目を向ける。襖が開き、そこには那智が立っていた。「お久しぶりです、千暁さん」と言う那智に、円は目を丸くした。
那智は、幼い頃に初めて会った時からずっと円のことが好きだった。「円がブ男が嫌だと言うのなら顔なんていくらでも変えてやろう、近づくためなら芸能界にだって入ってやろう」と、純粋に円のことが好きという気持ちで動いていたのだ。那智は「もう一度婚約してくれる?」と言い、円も「はい」と受け入れた。

『満月をさがして』の登場人物・キャラクター

主要人物

神山満月(こうやまみつき)

CV:myco
本作の主人公。5月12日生まれ(アニメ版では4月4日生まれ)。身長142cm、体重34kg、血液型A型。タクトの神術で16歳のフルムーンとなって歌手デビューする。フルムーンは純真無垢なイメージで売り出されたが、満月自身は英知の死の真相を死神たちに秘密にしたりと、心の闇の部分を押し隠している。幼少期から英知に思いを寄せていたが、最終話でタクトと結ばれる。アニメ版では、英知の死を知らなかった。たいやきが大好物。

タクト・キラ

CV:斎藤恭央
死神コンビ「ねぎラーメン」の一人。満月のあと一年という寿命が変わらないように「満月の死を阻止する者」から引き離す任を受けて人間界にやってきた。だが満月と接していく内に彼女の純粋さや強さに惹かれていく。終盤では彼自身が「満月の死を阻止する者」となる。
人間だった頃の名前は吉良托人で、「ROUTE:L」のボーカルをしていた。仮死状態のまま半人前の死神をしていたが、最終話では人間に戻り満月と結ばれる。プリンが大好物。

めろこ・ユイ

CV:本多知恵子
死神コンビ「ねぎラーメン」の一人。タクトの先輩死神で同じ理由で人間界にやってきたが、終盤で「満月の死を阻止する者」となる。タクトに想いを寄せながら、かつてコンビを組んでいたいずみのことも忘れられないでいる。最終話では、いずみとコンビを組み直して恋仲になっている。人間だった頃の名は里匡萌で、カミソリで手首を切って自殺している。心にやましいことがあったり、ぶりっこする時には語尾に「めろ」が付く。

いずみ・リオ

CV:緒方恵美
かつてのめろことコンビ「ミルメイク」を組んでいた死神。現在はジョナサンとコンビ「ヤミナベ」を組んでいる。人間だった頃の名前は泉利緒で、踏切内に立ち入って自殺している。コンビを組んでいた頃からずっとめろこに好意を抱いていて、最終話では無事に結ばれた。杏仁豆腐が大好物。

桜井英知(さくらいえいち)

CV:木村良平
満月より4歳年上の少年。優しく温和な性格をしている。両親の死後、祖父に引き取られるが、その祖父も亡くなったため最終的に施設にやってきた過去を持つ。
2年前まで満月と同じ施設にいたが、14歳の時に桜井家に引き取られアメリカへと向かう飛行機が太平洋沖で墜落し、帰らぬ人となった。その魂はタクトによって天上へ導かれかけるが、それを拒んでずっと満月のそばに留まっていた。
最終話では、タクトと結ばれて幸せになった満月を見て成仏する。アニメ版では満月より6歳年上となっており、設定年齢が異なる。

死神

ジョナサン

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