ロストデイズ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロストデイズ』は、2014年に放送されたテレビドラマ。フジテレビの「土ドラ」枠で全10話が放送された恋愛サスペンス作品で、瀬戸康史が連続ドラマ初主演を飾ったことでも話題となった。卒業旅行でサークルの卒業旅行にやってきた6人の大学生。仲のいい彼らだが、旅行を通じて全員が抱えていた秘密が露わになっていき、築いてきた友情は揺れ始める。そんな中、とうとう事態はゲレンデでの殺人事件に発展してしまうのであった。

『ロストデイズ』の概要

出典: www.fujitv.co.jp

『ロストデイズ』は、2014年1月から3月にかけて放送されたテレビドラマ。フジテレビの「土ドラ」枠で全10話が放送され、放送終了から5ヶ月が経った2014年8月にDVD‐BOXが発売された。
大学生の友情や愛憎の動きを描いた恋愛サスペンス作品で、限られた空間の中を男女7名のキャストだけで緊迫した空間を演じている。
俳優の瀬戸康史が連続ドラマ初出演を飾ったことでも話題となり、全10話=10日間の物語で構成された、劇中のリアルタイムで進行する出来事を一緒に追いながら、誰が殺され、誰が犯人なのかを予想してドラマを楽しめる仕様だったこともあって、多くの視聴者からの反響を呼ぶこととなった。
また、フジテレビドラマ初の試みとして、BSフジとCSフジテレビTWOでもドラマ本編と共に楽しめる企画が用意されていた。BSフジの「パラレルドラマ(通称パラドラ)」では、西田尚美、松尾諭、釈由美子が出演するパラレルワールドの作品として、本作に登場する山荘を舞台に、戦国時代の武将が残した埋蔵金「ロストデイズ」を探すというストーリーのショートドラマ『ロストデイズのひみつ』が制作されている。

サークルの卒業旅行でゲレンデを訪れた6人の大学生たち。仲のいい彼らだが、実はそれぞれが誰にも打ち明けることのできない秘密を抱えていた。この旅行で経験した恐怖心と疑念を通じてその秘密が1つ1つ露わになっていき、それはやがて築いてきた友情を壊し始める。それぞれの愛憎が揺れ動く中、事態はとうとう殺人事件へと発展してしまうのであった。

『ロストデイズ』のあらすじ・ストーリー

旅行の始まりと不穏な影

テニスサークル「スフィンクス」の部長を務める篠裕太(しの ゆうた)は、大学卒業を目前にして最後の思い出を作ろうと、仲間たちとの卒業旅行を企画した。行き先は副部長の桜田美希(さくらだ みき)の父が所有する山荘である。この旅行には裕太と美希に加え、佐々木梨花(ささき りか)、笛木茉奈(ふえき まな)、立花五月(たちばな さつき)、高野ナツ(たかの ナツ)の6人が参加し、序盤は雪山でスノーボードを楽しみ、賑やかな時間を過ごした。
しかし、この地域には連続殺人犯が逃げ込んでいるというニュースが流れていた。世間を騒がす事件と閉ざされた山荘という環境が、早くも旅に不安な影を落としていた。
山荘には美希の兄である桜田亘(さくらだ わたる)という先客が滞在していた。画家志望の彼は、アトリエ代わりに別荘を使っているという。気さくに見える態度とは裏腹に、どこか得体の知れない雰囲気を纏っている亘に対し、裕太は本能的に警戒心を抱く。
一方で、仲間内の恋愛模様も明らかになっていった。美希とナツが交際中であること、そして裕太に迫っていたはずの梨花がナツに好意を寄せていることが露呈し、友情と恋愛の均衡が揺らぎ始める。表面上は和やかに過ごしていても、閉鎖的な山荘は人間関係の歪みを少しずつ浮かび上がらせていった。

人間関係の崩壊

翌日からは不可解な事件が続発した。美希がナツにプレゼントされたブレスレットが壊されて捨てられていたり、仲間の会話が録音されて匿名で送られてきたりする。あたかも誰かが意図的に不和を煽っているかのようである事態に、仲間たちは「犯人は誰か」という疑心暗鬼に囚われ、人生ゲームで遊んでいても責任の押し付け合いに終始するようになった。
更に良くない事態は続き、美希が姿を消した際には、兄の亘に背負われて戻るという異様な出来事が発生し、場の空気はさらに険悪になる。これをきっかけにするかのように、亘の存在は次第に不気味さを増していった。
彼はナツを小屋に閉じ込め、レンタカーの鍵が紛失する騒ぎを引き起こしたりするなど、仲間たちの不安を煽るような行動を繰り返す。梨花が夜にこっそり外出していること、五月の行動が妙に不可解であることも発覚し、グループ内で築いてきた信頼関係は足元から揺らいでいく。
山荘という密室の中で、友情や恋愛はもろくも崩れ落ち、互いを疑い合う関係に変えていったのである。

亘の狂気と執着

互いを信用できないサークルのメンバーに対し、亘の異常性がとうとう牙を剥いた。彼は妹の美希への異常な愛情を隠し持っていた亘が、監視や盗聴を行っていたことが明らかになる。亘の行動はますますエスカレートし、仲間たちは恐怖と嫌悪を隠せなくなった。美希はついに兄に対して「出て行ってほしい」と声を荒げた。しかし亘は謝罪の言葉を口にしつつも、裏ではますます狂気を募らせる。アトリエのキャンバスを切り裂き、仲間たちを威嚇し、ついには五月を殴りつけるまでに至っていた。
裕太は勇気を振り絞り、亘に「妹を女として見るのは歪んでいる」と、彼を真正面から否定した。だがそれは、兄妹の関係を暴き、仲間全員の心に消えない恐怖を刻む結果を生んでしまう。亘という存在の影は、完全に山荘を支配してしまったかのようであった。

崩壊と真実

日を追うごとに山荘は疑念と狂気の渦と化し、七人の関係は完全に崩壊する。裕太は亘に正面から「美希を女として見ているのは歪んでいる」と宣言し、亘を否定する。ナツや梨花も限界を迎え、互いに隠してきた秘密をさらけ出すしかなくなった。
その最中、悲劇は起こる。仲間内でもっとも疑いを集めていた五月が、突如として命を落とすのである。密室に近い状況での出来事であり、誰が彼を死に追いやったのかはすぐには判明しなかった。仲間たちは動揺し、互いに責め合い、亘の狂気と五月の死の因果関係を疑い始める。しかし事態の真相は、想像以上に歪んだものであった。
五月が命を落とした出来事の真犯人は、意外なことに梨花であった。梨花は常に「仲間外れにされている」という孤独感と、裕太への報われぬ恋心に苛まれていた。旅行という閉鎖空間の中でその感情は歪み、暴走した結果、彼女は仲間を翻弄する数々の工作を仕掛け、五月を崖から突き落としてしまったのである。
梨花は自らの罪を自覚し、仲間の前で「自分が犯人だ」と告白した。亘の狂気は確かに人の命を奪いかねない恐ろしいものであったが、実際に人の命を奪ったのは梨花の衝動であった。
仲間たちは五月の遺体があった現場の前で手を合わせ、失われた命と、二度と戻らない友情に黙祷を捧げた。卒業旅行は本来、変わらぬ友情を育むための行事であったはずが、信頼を壊し、秘密を暴き、人間の弱さをむき出しにする地獄絵図へと変貌してしまったのである。しかし、共に恐怖を乗り越えた彼らは、梨花が出所した時は再会して本当の友情を育むことを誓い、卒業旅行を終えるのであった。

そして、再会を約束して帰途についた彼らの車の前に、不審なヒッチハイカーの姿が現れるのであった。

『ロストデイズ』の登場人物・キャラクター

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本作『ロストデイズ』の登場人物は7人のみだが、少ない登場人物が、山荘という閉鎖的空間で入り組んだ人間ドラマを垣間見ることができる。この愛憎入り乱れた濃密な展開で、視聴者を楽しませた。

大学テニスサークル「スフィンクス」のメンバー

篠 裕太(しの ゆうた/演:瀬戸康史)

瀬戸康史、フジテレビ「ロストデイズ」主演!

22歳。城慶大学法学部の4年生で、テニスサークル「スフィンクス」の部長。積極的にリーダーシップを発揮し仲間から頼られる性格。コテージで起きるさまざまな出来事を冷静に観察するクールな一面も。桜田美希に思いを寄せており、卒業旅行で告白しようと思っている。

桜田 美希(さくらだ みき/演:石橋杏奈)

22歳。テニスサークル「スフィンクス」の副部長。篠の想い人で、ナツと交際している。この旅行中、自身に異常な愛情を向ける兄・亘の不審な行動が原因で、友人関係に亀裂が入っていってしまう。

佐々木 梨花(ささき りか/演:トリンドル玲奈)

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